NX/Q5/XC60を徹底比較 ~2リッターターボ搭載のミドルサイズSUV 対決~(4/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂 幸正
トヨタ車の良さが明確に反映され、プレミアムブランドの中でも独自の地位を確立
レクサス NX200tが搭載する2リッターのターボは、実用回転域の駆動力を重視する。高回転域の吹き上がりは機敏ではないが、2000~4000回転付近で余裕があり、運転がしやすい。ATは6速タイプで、ギヤ比の割り方が細かいために動力性能を有効活用できる。
ターボだから1500回転を下まわると駆動力が低下するが、運転がしにくく感じることはない。なので実用的には十分だが、躍動的な外観とのバランスを考えると、もう少しスポーティー感覚が欲しい。
この不満を補うのが操舵感だ。安定性はどっしりとした欧州車に見劣りするが、NX200tには独特の軽快感がある。後輪を相応に安定させた上で良く曲がるから、運転がしやすく感じられる。
これはレクサスというよりも、製造メーカーのトヨタに代表される日本車の持ち味。重厚感とか骨太感はあまり強くないが、適度なスポーティー感覚を味わえて、誰にでも馴染みやすい。
レクサス NXは、日本のユーザーが運転すると「普通のクルマ」という感じで有り難みが乏しいが、世界の中では、これこそ日本のレクサスが持つ個性だろう。
だから購入時には、ここで取り上げたアウディ Q5、ボルボ XC60、さらにBMW X3なども試乗して、レクサス NXと比べてみたい。海外の名ブランドに魅力を感じながら、本音では「やっぱり日本のトヨタが手掛けたレクサスNXがイイ」と思うこともあるだろう。
レクサスは国内で販売を開始してから10年近くを経て、プレミアム市場の中で独自の魅力を確立させている。
吹き上がりの良いエンジンと快適な足まわりに特徴がある
アウディ Q5の2リッターターボは、高回転域の吹き上がりが活発だ。6000回転前後まで滑らかに回る。ATも8速タイプとなり、さらに加速したい時は、アクセルペダルを深く踏み込むことで高回転域を維持できる。動力性能はけっこう高い。
Q5 2.0TFSIクワトロが標準装着するタイヤは18インチだが、今回の試乗車は20インチ(255/45R20)をオプション装着していた。銘柄はブリヂストン デューラーH/P。このタイヤとの相乗効果で操舵感が少し機敏になり、向きを変えやすい印象になった。
乗り心地は20インチタイヤを装着しながらあまり硬くない。低い速度で市街地を走ると少しコツコツするが、大きめの段差を乗り越えた時などは、直接的なショックは伝えにくい。
この持ち味は、A4やA6といったセダンやワゴンとも共通だ。Q5は「SUVである以前にアウディ」と感じさせ、ユーザーの満足感も高まるだろう。
そしてアウディの漠然とした商品特徴をイメージしながら購入しても、期待を裏切られる心配が少ない。内装のデザイン、シートの座り心地についても同様だ。
なので選択のしやすいクルマだが、ドアミラーが大きめで全幅も1900mmに達するから、クルマに潜り込んだ感覚が少し強い。街中の試乗で確認しておきたい。
対処方法としては、ペダル操作に支障がない範囲で、着座位置を高めに調節すると良い。見晴らしの利きが向上し、丸みのあるボディながらボンネットも見やすくなる。アウディならではの上質な乗り心地とリラックス感覚を満喫できるだろう。
各種の先進装備と相まって守られている安心感を高めた
ボルボ XC60が搭載する2リッターのターボは、実用回転域の駆動力に重点を置く。8速タイプのATを採用したこともあって、加速感は滑らかだ。SUVらしい余裕を感じる。
サスペンションは、ゆったりと伸縮するタイプ。試乗車はT5の「Rデザイン」と呼ばれる仕様で、外観がスポーティーにアレンジされ、タイヤサイズは20インチ(255/45R20)を装着する。銘柄はピレリ・スコーピオン・ゼロであった。20インチタイヤとあって乗り心地は少し硬めだが、接地性は高い。加えてアクセル操作により、車両を内側に向ける自由度も併せ持つ。
ボディはアウディ Q5と同様にワイドで、日本で使うには大きすぎる面もある。着座位置を高めに調節して視界を確保し、取りまわし性を確認したい。
もっとも、ワイドなボディによって4輪が踏ん張ることで、どっしりとした運転感覚が備わった。ボルボらしく各種の安全装備も標準装着され、乗員が常に守られているという安心感をさらに高めている。
今回取り上げた3車種は、いずれもプレミアムブランドのSUVだ。内外装や乗り心地を上質に仕上げた上で、前後席の居住性が優れ、荷室なども使いやすい。
そしてレクサス NXは新鮮なスポーティー感覚、アウディ Q5はリラックスできる上質感、ボルボ XC60は守られている安心感を強めた。各ブランドの魅力が分かりやすく表現されている。
ブランドの表現力が優れ、なおかつ実用性も満足できるプレミアムなSUVは、今後も注目され続けるだろう。
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