アウディ RS5 試乗レポート(1/3)

360度どこから見ても隙の無い美しさ

1,000万円オーバーのクルマを買える人にとって、クルマというのは頑張ってなんとか買うものではなく、魅力的な選択肢がいろいろ目移りする中で、一番欲しいものを選んで買うものだと思う。

選ぶ基準は人それぞれだろうが、どんな人にとってもとにかく大事なのは、出費に見合う満足感をいかに与えてくれるかだと思う。その世界にまた1台、気になるハイパフォーマンスモデルが加わった。

いつか出るとは思っていたアウディRS5が、ついに登場したのだ。

車両価格は1,204万円。

同程度のスポーツカーとしては、ポルシェ911やメルセデスのSL、あるいはもう少し上であれば、同門のR8などのほうが“わかりやすい”わけだが、逆にRS5は、派手だけど派手じゃない、みたいなところが実に“渋い”。

評価の高いA5ゆずりのクーペフォルムには、さらに大型ブリスターフェンダーによる迫力のワイドボディ、両サイドの開口を拡大したフロントバンパー、専用デザインのシングルフレームグリル、シルバーのドアミラーなどが与えられ、美しさにアグレッシブさが加わり、360度どこから見てもスキがない。

インテリアでは、各部にリアルカーボン素材を用いたパーツを配し特別感を演出。ヘッドレスト一体の大ぶりなシートは上質なシルクナッパ製だ。

とはいえ、全体の雰囲気としては、もちろんアウディらしいクオリティ感はあるものの、1,200万円超のクルマと聞いてイメージするほど華美ではない。

あくまでシンプルで端正で、むしろ究極的な走行性能にこそRSの本質というストイックさを感じさせるたたずまいである。

もちろん、乗り込んでしまえば成人男性でも不満に感じることはないであろう後席の居住性や、十分な容量が確保されたラゲッジスペースなど、A5となんら変わらない実用車としての素質もまたRS5のアドバンテージに違いない。