アバルト695 トリブートフェラーリ 試乗レポート/石川真禧照(1/2)
- 筆者: 石川 真禧照
- カメラマン:オートックワン編集部
ドライバーへの“甘い誘い”を秘めた真紅のアバルト
「TRIBUTO Ferrari」と書きこまれたフェラーリレッドのキーをひねると、テールの4本マフラーから、低く力強いサウンドが周囲に轟いた。
イタリアで有名なエグゾーストシステム「レコードモンツァ」のサウンドは、それだけで心がワクワクしてくる。
センターパネルにあるシフトボタンは4個。時計回りに1、N、R、A/Mが並んでいる。
1を押すと1速に入る。ATモードを選択すれば、アクセルを踏みこむだけで、シフトアップ/ダウンを繰りかえす。
A/Mボタンをもう一度押せば、マニュアルモード。シフトは太い握りのハンドルに装着されたパドルレバーで行う。
ノーマルモードのATで走り出す。シフトアップは2,000回転以下で作動する。
「えっ!これがトリブートフェラーリ!?」
走り始めの第一印象は、そう思うほど意外にもモッサリしている。マニュアルモードで引っ張っても、2,000回転からの伸びがまったくないのだ。
そこで、インパネのSPORTボタンを押し、モードを切り換えてみることにした。
SPORTモードにシフトしたトリブートフェラーリは、今までの大人しい顔をかなぐり捨てた。ATモードでも2,000回転からのレスポンスが明らかに違う!
そして3,000回転をオーバーすると、アクセルレスポンスはさらに鋭くなる。
「レコードモンツァ」のエグゾーストサウンドもさらに迫力を増す。
ATモードで全開加速すると、180馬力の1.4リッターターボエンジンは6,500回転まで上昇し、シフトアップを続けていく。
240km/hスケールのスピードメーターの針も、アッという間に超高速の世界に達するほどだ。
5速100km/hは2,500回転だが、トリブートフェラーリはドライバーに「もっと行け!」と盛んにけしかけるのだ。
その甘い誘いを断るには、かなりの精神力を要求される。太いハンドル、魅力的なサウンド、体にフィットする「アバルトコルサbyサベルト」のレーシーなシート、すべてがもっと行け!と訴えかけてくるのだ。
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