ボルボ V70ノルディック・T6 Rデザイン 試乗レポート(3/3)
- 筆者: 松下 宏
- カメラマン:原田淳
大排気量車のようなトルクの太さ、柔らかめの足回りとステアフィール
V70 ノルディックに搭載される2.5リッターのライトプレッシャーターボは、2010年モデルからエンジン性能が向上した。170kW/340N・mのパワー&トルクは、余裕十分といった感じだ。
動力性能が大きく向上したことで、ライトプレッシャーターボの走りは一段と滑らかで力強いものになった。自然吸気エンジンにも似た滑らかな加速フィールを損なうことなく、アクセルを踏み込めば気持ち良く伸びていく。扱いやすく、爽快な走りである。
特にトルクの太さは印象的で、大排気量車に乗っているような気持ち良さがある。
足回りはやや柔らかめのチューニングで、乗り心地に優れた印象。個人的には、もう少し硬くても良いように思うが、快適な乗り心地なのは間違いない。ステアリングフィールはかなり軽めで、これはもう少し手応えが欲しかった。
V70はボディサイズが拡大したが、最小回転半径は従来のV70と同じだし、ホイールトゥホイールで見るとかつての850よりも小回りが効く。ボディは大きくなったが、意外と扱いやすいクルマなのだ。
参考までに書いておくと、449万円のノルディックと同じ価格帯のライバル車としては、メルセデス・ベンツ Cクラスステーションワゴン、BMW 320iツーリング、アウディ A4 1.8TFSIアバントなどが考えられるが、いずれも性能的にはノルディックとは大差をもって及ばない。
性能面でも、バリュー感が高いのがノルディックなのだ。
最後にT6 Rデザインに触れておくと、このモデルは210kW/400N・mの圧倒的なパワー&トルクを発生する。
この動力性能は、FOUR-Cと呼ぶ最新のフルタイム4WDシステムによって路面に伝えられるが、それでもスタンディングの状態からアクセルをいっぱいに開ければ、すぐにトラクションコントロールが効き出すような性能だ。加速の伸びは正に豪快といった感じである。
Rデザインではシャシーにも専用の仕様が用意されていて、かなり硬めの乗り味を感じさせる。
強化されたアンチロールバーや硬めのショックアブソーバー、専用スプリングなどによって固められた足回りは、コーナリング中の姿勢を安定させてしっかりとトラクションがかかる。
試乗車のタイヤには、18インチのピレリ Pゼロが装着されており、これも安定性に貢献していたと思う。
ボルボには、850の昔から限られたスポーツモデルがラインナップされてきたが、今回のT6 Rデザインもそうした流れを受け継ぐモデルである。
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