ボルボ V40 クロスカントリー試乗│今のボルボを牽引してきた人気モデル、その完熟度やいかに!?(2/2)

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当時は“過剰設計”と言われていたが、時代が追いついた

プラットフォームは世代的には古いが、適材適所に高張力鋼/超高張力鋼/極超高張力鋼/ウルトラ高張力鋼やアルミ、プラスチックの使用はもちろん、レーザー溶接や構造用接着剤の採用など、今では当たり前の材料や工法を早いタイミングで採用。車両重量は若干重めだが、それを差し引いても安全性能はもちろん、走る/曲がる/止まると言った基本性能の部分は今でも通用する。当時は“過剰設計”と言われていたが、時代が追いついたのだ。

とは言え、大きめのギャップを超える時などの衝撃のいなし方や操舵時の前後バランスなど時代を感じる部分もあるのも事実だが、その傾向はV40よりもV40CCのほうが少な目。恐らく、ストロークが増したサスペンションとハイトのあるタイヤがカバーしていると思う。ただ、最初回転半径は意外と大きく、小回りが効かないのは少々気になる所……。

途中、ルート沿いにある足尾銅山跡で撮影を行なう。かつては日本の近代化を支えた場所だが、長年に渡る鉱毒事件の影響や産出量の減少で閉山してから40年以上経った。現在も暗い影を少し残した雰囲気でヒッソリしている。ただ、山間に突然現れる巨大な廃墟は儚さと共に、何とも言えない美しさを感じたのも事実である。

ディーゼルを選ぶとAWDの選択ができないのが悩ましいところ

パワートレインはデビュー当初とは異なり、ボルボの新世代パワートレイン「Drive-E」へと移行済み。今回のモデルは245ps/350Nmを発揮するガソリン2Lターボと8速ATの組み合わせ。1580kgと意外と重量級だが、大人3人と撮影用機材を載せても、動力性能に不満はない。

ただ、ATの制御は良く言えばスムーズで穏やか、悪く言うとメリハリがないが、これはポールスター・パフォーマンスソフトウェアをプラスすれば解消できるはず。

個人的には190ps/400Nmを発揮する2Lディーゼルターボをお勧めしたいが、ディーゼルを選ぶとAWDの選択ができない(触媒の関係でレイアウトが成り立たない)。この辺りは非常に悩ましい部分だ。

更に進むと利根川水系渡良瀬川の本川上流部に建設された「草木ダム」と「草木湖」が。せっかくなのでここでも撮影を行なった。

撮影日は青空で穏やかでダム下流にも行くことができたが、台風19号の接近の際はこの辺りも大変だったのだろう……とシミジミ。

安全性に関しても小さい、世代が古いと言う妥協は一切ない

更に走ると神戸駅に到着。時が昭和から止まってしまったような「ザ・田舎の駅」と言ったレトロな駅舎やホームを見ると、ホッとしてしまうのはオジさんになってしまったからなのか!? 駅構内には元1720系デラックスロマンスカーを利用したレストランがあるが、せっかくなのでお昼はこちらで「舞茸ごがん定食」を、ごちそうさまでした。

ここからは東京に向けて走る。北関東自動車道~東北自動車道ではACC(全車速対応)を活用。ドライバーの意図を組んだ加減速を行なうACCに加えて、直進安定性の高さも相まって安心感と疲労の少なさはクラスレス。

ちなみに前後左右をカバーする11種類以上の最新の先進安全装備は全車標準装備。歩行者・サイクリスト検知機能付衝突回避・軽減フルオートブレーキシステムはもちろん、世界初採用された歩行者用エアバックは2016年にスバル インプレッサに先駆けて全車標準装備と、安全性に関しても小さい、世代が古い……と言う妥協は一切ない。

「V40を今選ぶ」と言うのはアリ

居住空間は優先度が高いのはフロントだが、リアシートも必要十分なスペースはある。シートはスウェーデンの外科医がアドバイザーとして開発に関与、シートサイズの大きさはもちろん、長時間乗っても疲れにくいのは上級モデルと一切変わらない。正直150km程度の距離では物足りないくらい(笑)。

本当の実力は「デビューから時が経った時にどうなのか?」が重要だ。リアルワールドで実際に使われることで、商品の“本質”が評価されるクルマが生き残る。

そういう意味でも、「V40を今選ぶ」と言うのはアリだと思う。実は筆者は2016年式のV40を所有するが、今回の試乗後に「最終モデルに乗り替えようかな!?」と悩んだ(笑)。今なら新車5年保証(一般保証3年+長保証2年を無償提供)なので、国産車からの乗り換えのハードルも少ないと思う。

[筆者:山本 シンヤ/撮影:小林 岳夫]

主要スペック

車種名

V40クロスカントリー

グレード名

T5 AWD サマム 4WD AT

価格(消費税込み)

468万円

全長×全幅×全高

4370mm×1800mm×1470mm

ホイールベース

2645mm

駆動方式

4WD

車両重量

1580kg

乗車定員

5名

エンジン種類

直列 4気筒 DOHC

総排気量

1968cc

エンジン最高出力

180kW(245PS)/5500rpm

エンジン最大トルク

350Nm(35.7kg・m)/1500rpm

トランスミッション

フロア 8

使用燃料

ハイオク

燃料消費率(JC08モード燃費)

14.8km/L

燃料消費率(WLTCモード燃費)

--km/L

燃料消費率(WLTC:市街地/郊外/高速道路モード)

--km/L

タイヤサイズ

225/45R18

ボルボ/V40クロスカントリー
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山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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