ボルボ 新型S90・V90・V90クロスカントリー 新型車解説(1/3)
- 筆者: 山本 シンヤ
- カメラマン:小林岳夫/ボルボ・カー・ジャパン
ボルボの最高級モデルがフルモデルチェンジ
2017年2月22日、ボルボから新型S90(セダン)とV90(ステーションワゴン/エステート)、V90クロスカントリー(クロスオーバーモデル)が発表された。従来のS80・V70・XC70から全てを見直し、ボディサイズも拡大。同社の最高級モデルとして新たな出発を遂げた。強力なライバル、メルセデス・ベンツ EクラスやBMW 5シリーズ、アウディ A6に対抗するために磨かれたボルボ独自の価値とは。自動車研究家、山本シンヤさんによる徹底解説で紹介する。
新型S90・V90が開発された背景
2010年、ボルボは深刻な経営難から中国の浙江吉利控股集団(以下吉利:ジーリー)に売却された。中国企業に売却されたことで色々な心配があったが、吉利は「金は出すが口は出さない」と言う方針でボルボの独自性を尊重したと言う。生産規模としては年間40~50万台と、世界の自動車メーカーと比べると規模は小さいボルボだが、生き残るために選んだのは「選択と集中」。その中から生まれたのが新パワートレイン「Drive-E」と新プラットフォーム「SPA」(スケラブル・プロダクト・アーキテクチャー)であった。
改めて復習をすると、Drive-Eは100%自社開発、4気筒以下、排気量2.0リッター以下、高度な電動駆動化にも対応、ガソリン/ディーゼル共通の基本構造と言う明確なコンセプトを掲げたユニットで、今やボルボのほとんどのモデルがDrive-Eに移行済みである。
SPAはスウェーデン史上最大級規模となる110億ドル(1兆3000億円)の投資が行なわれたボルボの構造改革で、デザインの自由度(ホイールベース、オーバーハング、車重、全高)はもちろん、軽量化(先代比125kg減)と前後重量バランスの改善、インテリアスペースの最適化、安全性など、全ての性能を大幅にレベルアップさせたプラットフォームのことだ。
SPAはフラッグシップSUV「XC90」から初採用、世界で高い評価を受けているが、その第2弾が今回登場したフラッグシップセダン/ワゴンの「S90/V90」と、V90をベースにした「V90クロスカントリー」である。
モデル名で言えば、960から名称を改めて1997-1998年に生産された初代「S90/V90」の名が19年の時を経て復活したことになるのだが、実際にはS80/V70の後継モデルと考えたほうが素直だろう。
イメージを一新し、新世代のデザイン言語を全面採用
現行V60・S60・XC60やV40などの世代のボルボに見慣れている人にとって、新型S90・V90のエクステリアは「あれっ、ボルボらしくないな?」と感じる部分もあると思うが、これがXC90に続く次世代ボルボデザインである。
ちなみに2013-2014年に海外モーターショーで発表されたデザインコンセプト3部作、Volvo Concept Coupe(クーペ コンセプト)/Concept XC Coupe(コンセプト XC クーペ)/Concept Estate(コンセプト エステート)のモチーフが随所に盛り込まれている。
フロントオーバーハングが短くノーズが長いプロポーションは、横置きFFレイアウトであることを忘れてしまうくらいスタイリッシュ。S90/V90共に従来モデルと比べるとウィンドウ面積も小さい上に、ピラーの角度もかなり寝かされているなど、旧来の”機能ありき”のボルボとは違う。また、同クラスのライバルの多くがスポーティ路線に移行する中、ボルボは逆にエレガント路線を選んだのも独自性の1つと言えるかもしれない。
ボディサイズは拡大され、ライバルモデルとの”適正化”が図られた
ただし、ボディサイズは全長4965mm、全幅1880~1890mm、全高1445mm、ホイールベース2940mm(S90)と、S80・V70(全長x全幅x全高:4855x1890x1495mm/ホイールベース:2835mm/S80 T6 AWD)と比べかなり拡大されている。
ただしライバルのメルセデス・ベンツ Eクラスやアウディ A6、さらに他のボルボラインナップとの立ち位置(S90・V90登場を受けて、いずれ出てくるであろう次期S60・V60や次期V40なども、ボディサイズを含め再構築されていくのだろう)などを相対的に考えると、”適正化された”と考えるのが理解しやすい。
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