フォルクスワーゲン シャラン BlueMotion 試乗レポート/渡辺陽一郎(1/2)

フォルクスワーゲン シャラン BlueMotion 試乗レポート/渡辺陽一郎
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今のクルマ選びでは奥さんが主役!

フォルクスワーゲン シャラン BlueMotion

「クルマを買うならミニバンよ!」

奥さんからこう言われて、渋々うなずくダンナさんも多いのではなかろうか。

1970年の免許保有者数に占める女性の割合は約19%。それが今は約44%だ。男女比は同等になった。もちろん好ましいことで、クルマは日常的な買い物からファミリードライブまで、さまざまな用途に使われる。となれば奥さんは毎日活用、ダンナさんが使うのは週末だけだ。昔のクルマは男性中心に選ばれたが、今のクルマ選びでは奥さんが主役。

その結果、日常的に使いやすいミニバン、加えてコンパクトカーと軽自動車が売れ筋のジャンルになった。

仕方ない話なワケだが、クルマ好きの男性には辛いところ。スポーティカーといわなくても、運転感覚の上質なクルマには乗りたい。そこでオデッセイなどを提案するが、背が低く、スライドドアも付かず、なかなか奥さんのOKをもらえない。

このようなクルマ好きに朗報なのが、2011年2月から、フォルクスワーゲンにミニバンのシャランが加わって本格販売を開始したことだ。スライドドアを装着した背の高いミニバンながら、運転感覚はフォルクスワーゲンそのもの。クルマにこだわりを持つユーザーでも、納得のできる仕上がりを見せる。

シャランの2012年モデルに試乗したので、レポートしておきたい。

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フォルクスワーゲンが重視する実用性には、日本車も見習うべき!?

フォルクスワーゲン シャラン BlueMotion
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フォルクスワーゲングループジャパンによれば、「設計の新しい車種とあって、2012年モデルでは基本的に変更はない」とのこと。それでもサングラスホルダーの形状が変わったり、ベーシックなコンフォートラインにもレザーシートパッケージが加わっている。細かなところでは、ハイラインに装着されるエンジンを始動するためのプッシュボタンが、ブラックからシルバーに変更されて質感を高めた。

シャランを試乗して改めて関心させられるのは、ミニバンとしての空間効率が高いこと。日本車の場合、3列目に快適に座れるのは、フラットフロア構造を採用する全高が1800mm以上の車種になる。1800mmを下まわると、3列目の床が燃料タンクのために持ち上がり、座面との間隔が不足して膝の持ち上がる座り方になりやすい。いわゆる「体育座り」のようになってしまう。

ところがシャランは、パサートのプラットフォームをベースとしながら燃料タンクを薄型化。全高を1750mmに抑えながら、床と座面の間隔を十分に確保した。膝先の空間は、身長170cmの同乗者が座って握りコブシ1つ半程度。足元が広いとはいえないが、着座姿勢を最適化したから窮屈には感じない。座面のボリューム感も相応に確保され、座り心地を快適に仕上げた。

フォルクスワーゲン シャラン BlueMotion
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この3列目の快適性は国産ミニバンと比べても上位に入り、シートアレンジを単純化して座面を柔軟に仕上げたエリシオンに次ぐ2番手だ。ヴェルファイア&アルファードに比べれば腰の落ち着きが良く、エルグランドとの比較では膝の持ち上がり方が少ない。日本は「ミニバン王国」だから、3列目の座り心地が輸入車に負けては困るのだが・・・。

もちろん1/2列目も快適。体重の加わる腰の近辺を硬めに仕上げ、長距離ドライブでも疲労を感じにくい。ミニバンになってもドイツ車、フォルクスワーゲンの良さを味わえる。

逆に国産ミニバンが優れている機能を挙げるなら、シートアレンジだろう。複数のシートを連結させて車内をベッドのように展開させたり、2列目を左右方向にスライドさせる機能は、シャランには備わらない。

それでも2/3列目を畳むとフラットで広い荷室になり、「車中泊」も可能。フォルクスワーゲンが重視する実用性には、日本車も見習うべき点があると思う。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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