フォルクスワーゲン シロッコR 試乗レポート/日下部保雄(1/2)
- 筆者: 日下部 保雄
- カメラマン:柳田由人
ハイパワーエンジンと専用エアロで武装した「シロッコR」
09年、壮大で偉大な草レース「ニュルブルクリンク24時間」でデビューし、そこでクラス優勝を果たしたシロッコ。今回紹介する「シロッコR」のベースだ。
そのシロッコRが、ゴルフRと共に日本にやってきた。硬派なヘビーユーザーには待望の一台と言うことになるだろう。
エンジンはゴルフRと共通の2リッターのTSIエンジン。ハイパワーに合わせてエンジンブロックに強化型を使っており、出力は256ps/33.7kg-mのハイパフォーマンスエンジンを搭載する。スタンダードのシロッコは200psプラスアルファなのに対して、かなりの強化である。
搭載されるトランスミッションは、6速の湿式多板クラッチを使ったVW自慢のツインクラッチ「DSG」で、その制御はますます巧みになる。
話が逸れるが、日本のメーカーはロックアップ領域を拡大してレスポンスや燃費に効果を上げている多段トルコンが主流になりつつあるが、トランスミッションの日欧の考え方の違いは実に面白い。
駆動方式はゴルフRが4モーションのAWDであるのに対して、シロッコRはFFとなる。
ベースのシロッコは日本では昨年デビューし、その引き締まったアスリート系のボディにVWファンならずとも多くのクルマ好きの心を捉えたが、シロッコRはさらに磨きをかけ、走りを強調するようなエアロパーツでチューニングされた。
「シロッコだけど、どこか違う」と感じさせるところが、VWらしいハイパフォーマンスモデルの表現っぽくて好ましい。
ロードホールディングを高めるために低くされた車高とワイドトレッド、アクセントとなるRのエンブレム、そしてLEDのポジションランプがエクステリアをより一層引き立てている。
インテリアは基本的にシロッコと共通でゴルフとも相似形となっているが、スポーツモデルらしくブラックで統一されたカラーコーディネイト、視認性をさらに向上させたメーター類、そして乗降性に支障がない程度の深さとなっているバケットシートなどが特徴だ。
ゴルフRのレカロシートは、乗員のホールド性を強く意識してかなりバケット形状がきつかったが、アイポイントの関係と重心位置からシロッコはそれほど強いホールドを持たせていないバケットシートとなっているところが面白い。
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