フォルクスワーゲン up!(アップ) 試乗レポート/藤島知子(3/3)
- 筆者: 藤島 知子
- カメラマン:フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン
5ドア仕様も追って登場の予定
最初に市場に姿を現すのは3ドアの4人乗りのタイプ。エンジンは新設計となる999ccの3気筒ガソリンエンジンで、60馬力と75馬力の出力が異なる2タイプが用意され、新開発の5速MTとシングルクラッチの5速セミオートマチックが組み合わされる。日本導入はまだ先の話になるが、2ペダルのセミオートマチックが導入されることになりそうだ。5ドア仕様も計画されているという話なので、後部座席のドアの存在を重んじる日本市場においても、幅広い層に受け容れられることになるだろう。
私は75馬力のエンジンに5速マニュアルトランスミッション(5MT)を搭載し、185/50R16のタイヤを履いた『up! Black』に試乗したが、先ずはその快適性の高さに驚いてしまった。かつてのルポと比較して34 %も剛性が増したというボディは振動や騒音を見事に押さえ込んでおり、石畳の上を走っても16インチのタイヤを履いているとは思えないほどの快適な乗り心地が得られている。路面からの入力で跳ね返されるような突き上げも、コシがなくてフワフワする感じもない。タイヤが路面を捉えている感覚がしっかり掴めているし、走りにおいても“しなやかさ”が感じられるほどのレベルに仕上がっている。
75馬力のエンジンは2千回転から最大トルクの9割を発揮するもので、1リッターという低排気量ながら、930kg程度に抑えられたボディをゆとりをもって加速させることができる。5MTはハイギアードで比較的まったりした走り出しをみせていたが、高速域に入ってもパワー不足を感じることはなかった。起伏が多く、混雑しがちなローマの市街地走行でも高めのギアで余裕をもって走ることができたので、頻繁に変速しないで済むぶん助けられた。ステアリングの手応えは程よく軽く滑らかで、運転にプレッシャーを感じる女性でもスムーズに扱えそうな点に好感がもてた。スリーサイズを見ると全長が3540mm、全幅1641mm、全高1478mm。縦列駐車だらけの狭い路地でもボディの幅を意識せずにスイスイ走って行ける感覚は、日本の道路環境でも重宝すること間違いナシ。低燃費ドライブをサポートする『ブルーモーションテクノロジー』として、アイドリングストップシステムとブレーキエネルギー回生システムも採用されている。
up!とは「スプーンが立つほど濃いぃエスプレッソ」なり
このクラスでは初となる安全面でも手厚い安全装備も用意されている。up!はレーザーセンサーを用いて、クルマの前方10mを監視し、衝突のリスクを検知すると時速30km以上で追突事故の被害を軽減、時速30km以下でクルマを自動停止させる『シティエマージェンシーブレーキシステム』を採用。また、正面衝突時は衝突を事前に検知するアーリークラッシュセンサーをフロントバンパーに内蔵し、衝突するさい、シートベルトが乗員拘束システムをスタンバイしたり、側面衝突で効果を発揮する頭部保護機能付きのサイドエアバッグも標準装備。小さいクルマだからこそ大切にしたい、いざという時の備えに対しても抜かりがない。
かつては「1万ユーロ以下の価格帯のクルマに魅力的なモデルが無かった」と過去を振り返るフォルクスワーゲンだが、up!の3分の2はフォルクスワーゲンブランドの新規の顧客になると予想しているようだ。その品質、使い勝手のよさ、技術力を凝縮したup!のことを『スプーンが立つほど濃縮されたエスプレッソ』と例えていたのがユニークだった。リーズナブルな車両価格と付加価値の高い商品づくりは、トレンド感や自己表現を意識する若い世代からリスクを懸念するシルバー層までの幅広い客層にとって魅力的に映るのではないかと思う。快適性と走りの楽しさを高い次元で両立させてみせた第6世代のゴルフやポロ、圧倒的な快適性と環境性能で驚かせたパサートなど、次々とクラスの常識を覆してみせるフォルクスワーゲン。up!もスモールカーの常識を覆す存在となっていくことは必至だろう。
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