トヨタに続きホンダも参戦!ナゼ自動車メーカーが「AI(人工知能)」に多額の投資をするのか(2/2)
- 筆者: 桃田 健史
- カメラマン:桃田健史/トヨタ自動車/本田技研工業
AIってなに?
では、そもそもAIってなんだ?「AI」とは、「Artificial Intelligence」の略称だ。これを直訳して、日本では人工知能と呼んでいる。
AIという概念は、いまからちょうど50年前の1956年に発案された。ニューハンプシャー州ハノーバーのダートマス大学で、計算機の研究者であるジョン・マッカーシー氏が開いた通称「ダートマス会議」で提唱したものだ。
一方、日本では1976年に人工知能学会が設立された。これは、70年代全般に先進国のあいだで人工知能に関する第一次ブームが起こり、日本の通商産業省(当時)が中心となった国策を推進する流れと同調するものだった。
そして、80年代後半から90年代前半、人工知能の第二次ブームが起こる。これは、バブル経済によって民間企業の多くが人工知能の研究への投資を始めたことに起因する。こうした民間の動きに、国の施策が連動してバブルはどんどん大きくなった。そして、バブル経済ともに人工知能バブルも崩壊した。
慎重な姿勢を崩さない学術関係者
AIバブル崩壊の後、長らく冬の時代が続いた人工知能の研究。それが、ここ数年で再び日の目を見るようになった。その原因は、IoT(Internet of Things/モノのインターネット化)だ。
そのなかでクルマの場合、車載器とスマートフォンとの連携などで、クルマが通信によって外界とつながる「コネクテッドカー」の研究開発が加速。そして、グーグル参入が引き金となり、自動車メーカーの自動運転の早期量産化の動きも加速している。
こうして、クルマ業界では最近、なんでもかんでも「これからは、AIによって…」と、AIブームが到来している。ホンダのHRIも、トヨタのTRIもそうしたブームが後押ししている。
ところが、こうしたバブリーな世の中の動きに対して、人工知能の学術関係者は冷静な姿勢を崩さない。2016年6月6日~9日、人工知能学会・全国大会が北九州国際会議場で開催された。
筆者も同会・正会員として基調講演や各種セッションを聴講した。そのなかで、同会会長で公立はこだて未来大学の松原仁氏は「2度あることは3度ある。または3度目の正直か?」と、今回の人工知能の第三次ブームを称した。
そして「どちらにしても、ブームは必ず終わる。今回は、前回、前々回とは社会状況が違う。また、これから将来に対する社会全体から人工知能に対する期待も大きい。そのうえで、我々人工知能研究者が目指すべきは、“ソフトランディング”である」と強調した。
さらに、同会としては「人工知能の定義は未だに定まっていない」としており、人工知能の倫理に関する独自の委員会を立ち上げて、「人工知能のあるべき姿と、研究者がなすべきこと」の根本について議論を深めている段階だ。つまり、人工知能はまだ「絵に描いた餅」に近いというのが、研究者の肌感覚。これを、自動車メーカーなどのビジネスマンたちが、マーケティング用語として上手く利用しているといえる。
自動運転にしても、クルマのAIにしても、「ドバっとバブル崩壊」にならないような、本当の意味で「中身のある議論」を進めることが必要だ。このことを、ユーザーも理解するべきだと、強く思う。
[Text:桃田健史]
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