トヨタに続きホンダも参戦!ナゼ自動車メーカーが「AI(人工知能)」に多額の投資をするのか(2/2)

  • 筆者: 桃田 健史
  • カメラマン:桃田健史/トヨタ自動車/本田技研工業
トヨタに続きホンダも参戦!ナゼ自動車メーカーが「AI(人工知能)」に多額の投資をするのか
人工知能技術の研究・開発の拠点として、新会社「TOYOTA RESEARCH INSTITUTE, INC.」(TRI)を、米国カリフォルニア州の通称“シリコンバレー”に設立 人工知能技術の研究・開発の拠点として、新会社「TOYOTA RESEARCH INSTITUTE, INC.」(TRI)を、米国カリフォルニア州の通称“シリコンバレー”に設立 人工知能技術の研究・開発の拠点として、新会社「TOYOTA RESEARCH INSTITUTE, INC.」(TRI)を、米国カリフォルニア州の通称“シリコンバレー”に設立 人工知能技術の研究・開発の拠点として、新会社「TOYOTA RESEARCH INSTITUTE, INC.」(TRI)を、米国カリフォルニア州の通称“シリコンバレー”に設立 ホンダリサーチインスティテュートヨーロッパ 人工知能学会・全国大会 北九州国際会議 人工知能学会・全国大会 北九州国際会議 人工知能学会・全国大会 北九州国際会議 人工知能学会・全国大会 北九州国際会議 人工知能学会・全国大会 北九州国際会議 人工知能学会・全国大会 北九州国際会議 画像ギャラリーはこちら

AIってなに?

人工知能学会・全国大会 北九州国際会議

では、そもそもAIってなんだ?「AI」とは、「Artificial Intelligence」の略称だ。これを直訳して、日本では人工知能と呼んでいる。

AIという概念は、いまからちょうど50年前の1956年に発案された。ニューハンプシャー州ハノーバーのダートマス大学で、計算機の研究者であるジョン・マッカーシー氏が開いた通称「ダートマス会議」で提唱したものだ。

一方、日本では1976年に人工知能学会が設立された。これは、70年代全般に先進国のあいだで人工知能に関する第一次ブームが起こり、日本の通商産業省(当時)が中心となった国策を推進する流れと同調するものだった。

そして、80年代後半から90年代前半、人工知能の第二次ブームが起こる。これは、バブル経済によって民間企業の多くが人工知能の研究への投資を始めたことに起因する。こうした民間の動きに、国の施策が連動してバブルはどんどん大きくなった。そして、バブル経済ともに人工知能バブルも崩壊した。

慎重な姿勢を崩さない学術関係者

人工知能学会・全国大会 北九州国際会議

AIバブル崩壊の後、長らく冬の時代が続いた人工知能の研究。それが、ここ数年で再び日の目を見るようになった。その原因は、IoT(Internet of Things/モノのインターネット化)だ。

そのなかでクルマの場合、車載器とスマートフォンとの連携などで、クルマが通信によって外界とつながる「コネクテッドカー」の研究開発が加速。そして、グーグル参入が引き金となり、自動車メーカーの自動運転の早期量産化の動きも加速している。

こうして、クルマ業界では最近、なんでもかんでも「これからは、AIによって…」と、AIブームが到来している。ホンダのHRIも、トヨタのTRIもそうしたブームが後押ししている。

ところが、こうしたバブリーな世の中の動きに対して、人工知能の学術関係者は冷静な姿勢を崩さない。2016年6月6日~9日、人工知能学会・全国大会が北九州国際会議場で開催された。

人工知能学会・全国大会 北九州国際会議

筆者も同会・正会員として基調講演や各種セッションを聴講した。そのなかで、同会会長で公立はこだて未来大学の松原仁氏は「2度あることは3度ある。または3度目の正直か?」と、今回の人工知能の第三次ブームを称した。

そして「どちらにしても、ブームは必ず終わる。今回は、前回、前々回とは社会状況が違う。また、これから将来に対する社会全体から人工知能に対する期待も大きい。そのうえで、我々人工知能研究者が目指すべきは、“ソフトランディング”である」と強調した。

さらに、同会としては「人工知能の定義は未だに定まっていない」としており、人工知能の倫理に関する独自の委員会を立ち上げて、「人工知能のあるべき姿と、研究者がなすべきこと」の根本について議論を深めている段階だ。つまり、人工知能はまだ「絵に描いた餅」に近いというのが、研究者の肌感覚。これを、自動車メーカーなどのビジネスマンたちが、マーケティング用語として上手く利用しているといえる。

自動運転にしても、クルマのAIにしても、「ドバっとバブル崩壊」にならないような、本当の意味で「中身のある議論」を進めることが必要だ。このことを、ユーザーも理解するべきだと、強く思う。

[Text:桃田健史]

前へ 1 2

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

検索ワード

桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

MOTA編集部
監修者MOTA編集部

MOTA編集部は自動車に関する豊富な知識を持つ専門家チーム。ユーザーにとって価値のあるコンテンツ・サービスを提供することをモットーに、新型車の情報や、自動車の購入・売買のノウハウなど、自動車に関する情報を誰にでも分かりやすく解説できるように監修しています。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

トヨタの最新自動車ニュース/記事

トヨタのカタログ情報 トヨタの中古車検索 トヨタの記事一覧 トヨタのニュース一覧

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる