トランスミッションが主役の時代に突入!エンジン、サスペンションが脇役に(2/2)
- 筆者: 清水 和夫
多彩なトランスミッション、日本勢はどんな戦略を!?
3リッターターボとなった新型911カレラには500Nm級の大トルクに耐えられる新開発7速MTが登場している。フライホイールにWマス方式を採用しているので、エンジンの微妙なトルク変動をうまく吸収する。
極端な話、4速1000回転(およそ時速35キロ)でも粘って走れるのだ。500Nmのトルクに耐えられるギアボックスは、実はGT3にも使えるのではないかとポルシェのスタッフに聞くと「良い質問です」と微笑んでいた。
ホンダ以外の日本勢はどんな戦略を持っているのだろうか。
トヨタはエンジンのトルク200Nm以下はベルト式CVTを使い、それ以上の大きなトルクのエンジンには多段式トルコンATを使う。
すでに縦置きFR用には8速ATが実用化されているが、2016年のデトロイトショーで登場したレクサスのフラッグシップLCには新開発の10速トルコンATが装備された(市販化は1年後くらい)。
トヨタはクルマ好きでも受け入れられるCVTを開発すると意欲的
一方、横置きエンジンのFWD用には6速ATが備わるが、FRのように8速トルコンATがレクサスNXやRXに装備されるのは時間の問題だろう。
トヨタ独自のハイブリッドシステム(THS)には電子式CVTが備わっている。この電気CVTの場合、ベルト式CVTと同じで、ドライバーが使いやすいものの、もっと楽しく走れるCVTに進化しなければならない。
トヨタのトランスミッションチームはクルマ好きでも受け入れられるCVTを開発すると意欲的だ。
これからのトランスミッションはエンジンを支配し、モーターと連携したり、ドライバーの意識を理解したり、クルマ全体を見つめる司令塔のような役割になるだろう。野球のキャッチャーのような頭脳的な機能が求められるのではないだろうか。
もはやエンジンやサスペンションは主役ではなくなってきたようだ。
[Text:清水和夫]
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