トヨタ プリウスPHV(プラグインハイブリッド)試乗レポート/渡辺陽一郎(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
プリウスよりも燃費が良い、プリウスPHVの「ハイブリッド走行」
いろいろ注文を付けたが、プリウスPHVの運転感覚はとても快適だ。
驚いたのは、モーターのみで走らせている状態でも、十分な動力性能があること。アクセルを深く踏み込めばエンジンが始動するが、いわゆる巡航状態であれば、時速100kmまでモーター駆動でカバーできる。
少しアクセルを踏み増すと、モーター駆動とあって時間差を置かずに駆動力が立ち上がり、滑らかに速度を高める。リーフほどパワフルではないが、70~80%くらいのパワーは出ている印象で不満は感じない。
モーターはベース車のプリウスと同じ。「ここまで性能を引き出せるのか」と感心した。そして前述のように20kmほど走ると、ブルルンとエンジンが始動。普通のハイブリッド車になってしまう。
「電気が終わっちゃった…」という一抹の寂しさがよぎり、日曜日の夕方、「サザエさん」のエンディングテーマを聴いた時のような気分になった。しかし、この寂しい時の訪れを長引かせることもできる。
HV(ハイブリッド)とEV(電気自動車)の切り替えスイッチだ。
例えば自宅の近くにインターチェンジがあり、発進直後に高速走行をする場合、EV状態で走ったのではもったいない。低速で走る時こそ、モーター駆動の効力が発揮され、充電した電気を有効活用できるからだ。
そこで自宅を出発する時は「HVモード」。目的地の周辺で高速道路を降りた時に「EVモード」を選べば、充電した電気をムダなく使える。
今のところドライバーが自分で操作するが、将来的には自動選択にして欲しい。例えば、カーナビで目的地を設定すると、渋滞情報なども加味して、オイシイところだけEV走行になるような仕組みだ。
開発者に尋ねると、「今のカーナビのデータでは、高低差や勾配は検知していない。登降坂のデータも加えれば、EVとHV走行を自動的に選別して走ることも可能になる」とのことだった。
また、プリウスPHVの購入を考えるならば、充電が切れてハイブリッド車として走る時の燃費も気になる。
電池のリチウムイオン化と充電機能の追加で、車両重量はベース車のプリウスよりも60~70kgほど重いが、ハイブリッド走行時の燃費は悪化しないのか。
実際はむしろ逆で、ハイブリッド走行時は、ベース車のプリウスSやGが30.4km/L(JC08)に対し、プリウスPHVの同グレードは31.6km/L(JC08)になる。
燃費が良いワケは、リチウムイオン電池はハイブリッド走行時でも減速時の回生による充電効率が高く、195/65R15サイズのタイヤ(ブリヂストン・エコピアEP150)も、専用タイプになるからだ。空気圧は前輪が2.5kgf、後輪が2.4kgfだから高い部類に入る。エコ指向のタイヤとなれば走行安定性や乗り心地が懸念されるが、運転感覚は上質だ。
特に乗り心地は、PHVを含む全てのプリウスが昨年のマイナーチェンジによりスポット溶接の箇所を増やすなどテコ入れされており、重厚感が伴う。
操舵に対する反応も曖昧ではない。ボディの後部にリチウムイオン電池を搭載し、60~70kgの重量増加分の約80%(50kg前後)は後輪荷重に加わるが、主に後輪車軸の前側が重くなったからコーナリング時でも慣性の影響を受けにくい。後輪の接地性も、十分に確保されている。開発者によれば、「リチウムイオン電池の搭載に伴う補強も多少は奏効している」とのことだ。
プリウスは優れた燃費を達成しており、マイナーチェンジを経て、走行安定性、操舵感、乗り心地も向上させた。この素性の良さを生かし、充電機能を加えたのがプリウスPHV。電気自動車として走れる距離は短いが、ハイブリッド車のプリウスに「プチ電気自動車」の機能を加えたと考えれば、選ぶ余地もありそうだ。
スマートフォンを使えば、エコ運転のスコアなども表示できる。EV/HVの切り替え機能を含め、「運転する面白さ」で選ぶ手もあるだろう。
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