トヨタ ノア 試乗レポート

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フルモデルチェンジで両開きスライドドアのトールミニバンに大変身。ライバル車に勝負を挑む。

ライトエース・ノアがヴォクシー、タウンエース・ノアがノアと名称を変更し、新世代のトールミニバン(全高が1.8m以上のワゴン)に進化した。駆動方式もこれまでのFRと4WDではなく、FFと4WDになった。ライバルはホンダ・ステップワゴン、日産セレナ。5ナンバーサイズ+2Lエンジンというこれまでの特徴はそのままに、室内シートアレンジを大幅に向上させ、ユーティリティを重視している。

スタイリングは基本的にヴォクシー、ノアともに同じだが、フロントピラーから前の部分は、デザインだけでなく外板プレスも違えている。ターゲットユーザーはヴォクシーが20代のヤングファミリー、ノアは30代のファミリー層という。

ロールはやや大きめだけど、フロントの安定感とリアの追従性に優れている。

FF、4WD(アクティブコントロール=FFをベースに状況により後輪に駆動力を配分する)ともに4気筒2L DOHCの1AZ-FSE型エンジン(112KW、200Nm)を搭載、ミッションはコラムシフトの4速ATになる。グレードはL/S/Xの3グレードだ。サスペンションもFF化に伴い一新。フロントにストラット、リアにトーションビーム式を採用した。さらに一部上級グレードはH∞(インフィニティ)TEMSを投入。3段階の減衰力可変スイッチで好みの走りを得られる。

H∞TEMS+VSCを装備した4WDモデルの加速は、FFモデルよりも0→100km/hで1秒ほど遅いが、安定性は上。コーナーやレーンチェンジでのロールはやや大きいが、フロントの安定感とリアの追従性がよい。エンジン音は3000回転から高まるが、4速での100km/hの回転数が2600回転なので気にはならなかった。

簡単操作のシートアレンジが魅力。ゴルフバックを立てて積めるラゲッジスペースも十分だ。

FF化によりフロアは旧型より75mmも低くなり、ホイールベースを110mm伸ばしたことで室内空間は数値的にも拡大している。旧型より全高は95mmも低くなった(新型の全高はFF1850mm、4WD1875mm)が、室内高は同じだ。

インテリアはフロントシートがセンターメーター、コラムシフトですっきりとしたデザインになった。サイドスルーもできる。特徴はセカンド/サードシートのアレンジだ。特にセカンドシートは、ベンチタイプ(ワンタッチタンブル仕様)と中央シートを跳ね上げて左右シートを回転対面できるタイプがある。

どちらも3人掛けだが、回転対面タイプは中央シートをテーブルとして使えるなど便利。しかし座り心地はベンチシートの方がよい。このベンチタイプは6:4 分割のシートをワンタッチでスペースアップできる。このおかげでサードシートへのウォークスルーができるのだ。ベンチシートでウォークスルーできるというのが気に入った。サードシートを左右に跳ね上げると荷室になるが、そのままでもうしろのラゲッジは床面が深く、ゴルフバッグを立てて積めた。

先進のインフォーメーションテクノロジーが充実。豊富な収納も利便性を高めている。

今回、試乗していて便利に感じた点は、室内の収納スペースが多いこと。インパネ、ドアまわりだけで18カ所もある。さらにリアのラゲッジは、床下にゴルフバッグが横にして収納できるスペースもあるのだ。シートをアレンジするとき、操作に力がいらないのも扱いやすい。

ブラインドコーナーモニターも非常に便利だった。これは見とおしの悪い交差点や車庫から出るときなど、フロントグリルに埋めこまれたカメラが左右の状況をナビ画面に写し出してくれる装置。DVDボイスナビゲーション付ワイドマルチAVステーションと、音声ガイダンス機能付バックガイドモニターのセットを選択しないと装着できないのだが、これは安全運転のためにもなるべくならオプション設定したいところだ。

自分なりのベストチョイスは、4WDのノーマルシート(セカンドがベンチタイプ)でカーナビ&バックガイドモニター&ブラインドコーナーモニターが欲しい。スタイルは好みだけど、ヴォクシーの方が好きだ。

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石川 真禧照
筆者石川 真禧照

1947年東京都生まれ。1970年日刊自動車新聞社入社。翌年同社退社後、フリーの自動車評論家となる。1982年「I.W.OFFICE」を設立し、自動車を中心としたメディア活動を開始。「自動車生活探検家」として、『GORO』『DIME』(小学館)、『HOT DOG PRESS』(講談社)、『カーセンサー』(リクルート)など多数のメディアで活躍、現在に至る。日本モータースポーツ記者会会員。日本自動車ジャーナリスト協会副会長。記事一覧を見る

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