トヨタ ノア 試乗レポート

  • 筆者: 松下 宏
  • カメラマン:原田淳
トヨタ ノア 試乗レポート
フロントスタイル リアスタイル フロントビュー リアビュー サイドビュー インパネ フロントシート 2列目シート リアシート ワンタッチスペースアップシート エンジン 画像ギャラリーはこちら

ファミリーユーザーを対象にした親しみやすさ

イメージ
フロントスタイルリアスタイル

トヨタの人気ミニバンであるノアはそのルーツをたどると1BOXワゴンのタウンエースにゆきつく。タウンエースノアになった後、プラットフォームを一新したひと世代前のモデルから単にノアと名乗るようになった。今回のモデルはノアとしては2代目のモデルになる。ライトエースをルーツとするヴォクシーは姉妹車に当たる。

カローラ店で販売されるノアは主にファミリーユーザーを対象にしたモデルで、クルマ作りの基本コンセプトに親しみやすさや上質さなどを置いている。ネッツ店扱いのヴォクシーが若いユーザーを対象にクールなイメージを強調しているのは好対照をなしている。

今回のモデルチェンジは基本プラットホームをキャリーオーバーした正常進化型のチェンジで、乗る人すべてが快適で楽しく過ごせるように、後席の居住性や快適性を大きく向上させたのがポイント。ごく簡単な操作で跳ね上げが可能なシート機構も注目点。新開発のバルブマチックエンジンの搭載やスーパーCVT-iの設定など、技術的にも新しいものが盛り込まれている。

これまでにない優れた使い勝手を実現

インパネ
60度回転2列目シートフロントシート

1BOXワゴンから発展したモデルらしく、ノアは室内の広さや機能が表現されたデザインを採用してきた。今回のモデルも基本的にはそれを引き継いで、横桟を強調した大きめの開口部を持つフロントグリルが特徴で、大きなサイズのヘッドライトが採用されているのは最近の流行。

今回のモデルでは標準系のデザインのほかに、エアロ系のデザインも設定されている。専用のエアロバンパーを装着するなど、差別化された外観を持ち、フェンダー部分の張り出しによって3ナンバーとなるのがエアロ系のモデルだ。

インパネデザインは大きくて見やすいセンターメーターを引き継いだほか、浮き上がるようにデザインされたセンタークラスターが特徴。インパネシフトのレバーや各種の操作スイッチなどが、手の届きやすい位置に配置されている。エアロ系のモデルでは3本スポークのステアリングホイールが採用され、インテリアデザインにも違いが設けられている。

シートアレンジはさまざまなモードが用意されているが、今回のノアでは2列目シートが60度回転して乳児をチャイルドシートに乗せ降ろしするのが楽になるモードや、片手でレバーを操作するだけで簡単に跳ね上げが可能な3列目のワンタッチスペースアップシートは、これまでにない優れた使い勝手を実現している。

積極的な走りが楽しめるSi

エンジン
走行シフト

新型ノアには標準系とエアロ系が用意されていて、エアロ系の最上級グレードにはバルブマチック仕様の新エンジンが搭載されている。トランスミッションは全車ともスーパーCVT-iだ。

標準系とエアロ系では走りに大きな違いがある。最初に試乗したのは標準系だが、その走りはごく普通のもの。これといった特徴のない一般的なミニバンの走りだ。新しい2.0Lエンジンは動力性能的にもまずまずで、CVTとの組み合わせによって滑らかな走りが得られるが、これといった際立った部分があるわけではない。

乗り心地を重視して柔らかめに設定された足回りはコーナーなどでの揺れが大きく、騒音レベルも全体に高めの印象だった。

エアロ系の最上級グレードであるSiに搭載されるバルブマチック仕様のエンジンは、可変バルブ機構を採用することで効率の良い走りを実現したもの。トルクは標準エンジンと大差がないが、パワーは10%ほど向上しており、走りに余裕が感じられる。CVTもレバーやパドルによるマニュアル操作が可能なものになり、積極的な走りが楽しめるようになっている。

Siでは足回りもやや硬めのチューニングが施されているほか、タイヤサイズも1インチ大きくなっていて、走りの安定性はこちらが上。ミニバンは重心高が高いだけに、より安定性の高い足回りが適している。タイヤパターンの違いから、静粛性のレベルもSiのほうが優れていた。

バルブマチック&専用の足回りのSiがおすすめだが・・・

フロントグリルリア

ノアで売れるのはX LセレクションかG。いずれにしても標準エンジンを搭載した標準系のモデルになると思う。でも前述のように、走りのフィールには大きな違いがあり、バルブマチックエンジンを搭載して専用の足回りを備えたSiのほうが格段に安定した走りが可能なので、お勧めグレードはSiだ。

問題なのは価格。X Lセレクションは220万円ほどの価格設定で、このクラスのミニバンの標準的な水準にあるが、Siは246万円ほどになるからざっと25万円もの価格差があるので難しい。でも、なるべくならSiを選びたい。

この価格差以上に問題なのは、いろいろなオプションを装着しなければならないこと。最優先で装着したいのは安全装備で横滑り防止装置のS-VSCとSRSサイド&カーテンエアバッグのセット。グレードによって多少の価格差があるが15万円弱の設定だ。安全装備はオプション設定にすると装着しないユーザーが多いのが実情だが、安全ためのお金をケチるべきではない。というか、メーカーがオプション設定にすべきではないと思う。

次いでカーナビ。最近のカーナビはバックモニターやフロント&サイドモニターなども含まれていて安全にもつながる。装着するならメーカー純正が良い。ただノア用のHDDナビは価格がなんと40万円を超える。それだけの機能があるとはいえさすがに高い。

ほかにパワースライドドアなどを含めると、オプションだけで70万~80万円も欲しいものがある。X Lセレクションでも300万円弱、Siでは320万円を超える価格になるわけで、購入する仕様を真剣に検討する必要がある。買った後、長く乗ることで元を取るように考えるしかない。

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松下 宏
筆者松下 宏

自動車そのものはもとよりクルマに関連する経済的な話題に詳しい自動車評論家。新車、中古車を含めてユーザーサイドに立った的確な購入アドバイスを語ることで定評がある。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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