トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ]試乗レポート/渡辺陽一郎(2/2)

トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ]試乗レポート/渡辺陽一郎
トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ] (ボディーカラー:ホワイトパールクリスタルシャイン) トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ] (ボディーカラー:ホワイトパールクリスタルシャイン) トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ] (ボディーカラー:ホワイトパールクリスタルシャイン) トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ] (ボディーカラー:ホワイトパールクリスタルシャイン) トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ] トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ] トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ] トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ] トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ] トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ] トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ] 画像ギャラリーはこちら

多くのユーザーが抱くオフロードSUVのイメージに近づいた

トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ]

試乗したのは前述のようにV型6気筒の4リッターエンジンを搭載したTZ-G。ATは5速を採用する。ランドクルーザープラドでは直列4気筒の2.7リッターエンジンも選べるが、車両重量に対して動力性能が低く、ATも4速になるので推奨しにくい。買うなら4リッターモデルだ。

今回のマイナーチェンジで残念なのは、4リッターエンジン搭載のベーシックグレードTXが廃止されたこと。このTXは車両価格が370万円だったが、変更後は、4リッターの最廉価はTZで425万円まで高まってしまう。開発者によれば「売れ筋は2.7リッターなので、4リッターのグレードは整理した」とのこと。そう言う割に、2.7リッター搭載の試乗車は用意されていなかった。

トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ]
トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ]トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ]

動力性能を試すと、さすがに4リッターというべきか、車両重量が2トンを軽く超えるのに動力性能の不足は感じない。2000~3000回転前後の実用回転域から使いやすく、4000回転を超えた領域の吹き上がりも活発だ。重量級のSUVとあって、フル加速を試すと、ボディの前側を持ち上げながら速度を高める迫力が伴う。高速道路や峠道の登坂路に差し掛かっても、力不足が生じる心配はないだろう。

走行安定性と乗り心地のバランスも、オフロードSUVとしては良好だ。素早い切り返しを強いられても、ボディが左右に揺り返しにくい。

それでもマイナーチェンジ前に比べると、指向性が少し違う。変更後は操舵に対する反応が穏やかになり、乗り心地を向上させた。

現行ランドクルーザープラドを開発した時のテーマには、「走行安定性の向上」があった。そのために鈍さを感じさせない車両挙動を大切にセッティングされたが、乗り心地も若干硬くなっていた。そこを最適化したと考えれば良い。

トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ]トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ]

もともとオフロードSUVの乗り味には、穏やかな操舵感と、伸縮性の優れたサスペンションに基づく快適性がある。マイナーチェンジを行ったランドクルーザープラドの運転感覚は、多くのユーザーが抱くオフロードSUVのイメージに近づいた。

最上級となるTX-Gのリア側には、電子制御式エアサスペンションを装着。重い荷物を載せた時でもボディが水平に保たれ、リア側の車高をロー/ノーマル/ハイモードの3段階に切り替えることも可能だ。ショックアブソーバーの減衰力もコンフォート/ノーマル/スポーツを選べる。

重量級ボディによる走行安定性をサポートする機能として、今では常識になったVSC(横滑り防止装置)も標準装着。この作動は横滑りの初期段階から作動し、走行安定性を維持する効果が大きい。2世代前のランドクルーザープラドに初採用された時は、後輪が横滑りを発生させ、修正操舵を完全に終えた後で4輪の独立ブレーキ制御が働いた。それが今ではすっかり洗練されている。

重量級オフロードSUVの中では、扱いやすい部類

トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ]

購入時に注意すべきは、乗降性と居住性だろう。この点は以前から改善を受けていない。220mmの最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)を確保し、堅牢なラダーフレームをビルトインしたボディ構造だから床が高い。子供やお年寄りのいる家庭では、乗降性を確認しておきたい。

また、床が高いので、リアシートも膝の持ち上がった座り方になる。7人乗りには3列目のシートも備わるが、これは完全に補助席だ。3列目を畳めば積載性を向上できるが、畳んだ3列目の上に荷室が位置するので、荷室の床もかなり高い。

トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ]
トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ]トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ]

大柄なボディによる取りまわし性、前述の燃費性能も含め、日本で使うには実用的なクルマとはいい難い。それでも走破力を高めた重量級オフロードSUVの中では、走行安定性、乗り心地、4リッターエンジンならば動力性能のバランスも優れ、扱いやすい部類に入る。

バリバリと仕事をこなして、週末には長距離ドライブに出かけて思い切り遊ぶ「肉食系オジサン」にはピッタリだろう。このボディサイズに、このフロントマスクなので、周囲のクルマには優しい運転を心掛けてくださいね。

私もランドクルーザープラドに乗れば、バリバリの「肉食系人生」を送れるかしら。そのためにはファッションも変えねばならんですなぁ。いつものこれではねぇ…。

TOYOTA LAND CRUISER PRADO 主要諸元

トヨタ ランドクルーザー プラド[2013年マイナーチェンジ]

全長x全幅x全高:4760x1885x1835mm/ホイールベース:2790mm/乗車定員:7名/エンジン種類:V型6気筒DOHC[1GR-FE型]/総排気量:3955cc/エンジン最高出力:276ps(203kW)/5600rpm/エンジン最大トルク:38.8kg-m(380N・m)/4400pm/使用燃料:無鉛レギュラーガソリン/トランスミッション:電子制御フレックスロックアップ付スーパーインテリジェント5速オートマチック/燃料消費率:7.9km/L(JC08モード)/車両本体価格:490万円[消費税込み]

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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