アルファードの悩ましいグレード選び! コスパを重視するなら人気の「S・Cパッケージ」を選択すべきだ!

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:島村栄二/トヨタ自動車
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最近は小さなクルマの販売が好調だ。2021年1〜11月の国内登録台数によると、国内新車販売台数の60%以上を軽自動車とコンパクトカーが占めた。比較的安価なクルマが売れているのかと思いきや、3列シートミニバンでは売れ筋価格帯が400〜550万円に達するトヨタ アルファードが最も多く、1か月平均の登録台数は約8200台。

コンパクトカーのトヨタ ヤリスとトヨタ ヤリスクロスの登録台数を別々に算出すると、2021年の1か月平均は同等の台数になる。つまりアルファードは、コンパクトカーと同じように売られているのだ。そんなアルファードのグレード選択に悩む人は多いだろう。今回はコストパフォーマンスを重視したグレードの選び方を紹介したい。

目次[開く][閉じる]
  1. アルファードは残価設定ローンで購入する人が多い
  2. 中古市場では中級・上級グレードの方が人気
  3. アルファードは四駆のみのハイブリッドよりノーマルエンジンの方が人気がある

アルファードは残価設定ローンで購入する人が多い

販売店に尋ねるとアルファードについて以下のような話を聞けた。

「アルファードの場合、残価設定ローンを利用するお客様が多い。新車価格が高いので、さすがに現金で買えるお客様は少ない。そしてアルファードは、リセールバリュー(数年後に下取りに出したり中古車として販売する時の価値)が高いので、残価設定ローンの残価率も高めに設定されている。そうなると月々の返済額を抑えられるから、残価設定ローンの利用が増えた」。

アルファードの残価率(新車価格に占める残価の割合)は、3年後なら55%だ。グレードによる違いはない。残価設定ローンでは、新車価格が400万円とすれば、55%の残価を除いた45%、つまり180万円を3年間で分割返済する。そのために月々の返済額を抑えられる。

ちなみに一般的な3年後の残価率は40〜48%だ。そうなると残りの52〜60%を返済するので、新車価格が400万円とすれば、3年間の返済額は208万円から240万円になる。55%の180万円に比べると大幅に増えてしまう。

残価設定ローンの返済期間満了後に車両を買い取る場合は、残価も最終的に支払うから残価率による違いは基本的になくなるが、返済期間満了時に車両を返却するのであれば、残価率の高い車種の方が月々の返済額を抑えられてオトクをする。

そのために残価率が高く、なおかつ高価格のために現金で購入しにくいアルファードでは、残価設定ローンの利用者が多い。

中古市場では中級・上級グレードの方が人気

前述の通りアルファードの残価は、3年後ならどのグレードでも55%だ。従ってグレードによって残価設定ローンの返済額に損得が生じることはないが、数年後に中古車販売店などに売却する時には有利と不利の差が分かれる。この点について、販売店では以下のように述べた。

「アルファードは上級指向のミニバンだから、中古車市場でも、価格の安いベーシックなグレードの人気はあまり高くない。エアロパーツを装着した中級グレード、あるいは内装の上質な上級グレードが人気だ」。

アルファードには、標準ボディとエアロパーツを装着したタイプがある。外観の好みはユーザーによって異なるが、一般的にはエアロパーツを装着して存在感を強めたグレードの人気が高い。アルファードのセールスポイントにも、フロントマスクを含めて外観のカッコ良さがあるからだ。

アルファードは四駆のみのハイブリッドよりノーマルエンジンの方が人気がある

エンジンは直列4気筒2.5リッター、V型6気筒3.5リッター、2.5リッターハイブリッドがある。今のトヨタ車ではハイブリッドの人気が高く、カローラクロスでは90%近くを占めるが、アルファードではノーマルエンジンが売れ筋だ。ハイブリッド比率は25%前後に留まる。

アルファードの場合、ハイブリッドはすべて後輪をモーターで駆動する4WDのみになり、価格が大幅に高い。エアロボディのSR・Cパッケージは572万円だ。特別仕様車として設定されたハイブリッドSタイプゴールドIIは装備が異なり508万8400円に抑えたが、それでも500万円は超えてしまう。

その点で売れ筋になる2.5リッターノーマルエンジンの2WDであれば、エアロパーツを装着したSの7人乗りが398万5000円だ。2列目にエグゼクティブパワーシートを装着して質感を高めたS・Cパッケージでも468万1600円に収まる。

販売店では「S・Cパッケージの人気が安定して高く、高値で売却できる」というが、2列目にオーナーが座る用途でないと、S・Cパッケージのエグゼクティブパワーシートは過剰な豪華装備と受け取られる。ファミリーカーを想定しているなら、Sの7人乗り、あるいは2列目シートがベンチタイプになるSの8人乗りも検討すると良い。

Sの8人乗りの価格は394万1000円だ。2列目がセパレートシートになる7人乗りに比べて4万4000円安い。しかも2列目がベンチシートであれば、2列目の座面を持ち上げて、前方にスライドさせられる(スライド量は2025mmと長い)。3列目を左右に跳ね上げて、2列目を前方にスライドさせると、大容量の荷室に変更できる。セパレートシートを装着した上級グレードでは得られない優れた使い勝手も魅力だ。

ガソリンエンジンならS・Cパッケージ、ハイブリッドならSタイプゴールドIIがオススメ

従ってアルファードを買う時は、2.5リッターノーマルエンジンを搭載するS、あるいはS・Cパッケージを検討したい。ハイブリッドが欲しい時は、価格が500万円を超えるものの、特別仕様車のSタイプゴールドIIを推奨する。

【筆者:渡辺 陽一郎】

トヨタ/アルファード
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新車価格:
540万円872万円
中古価格:
29.7万円2,215.6万円

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筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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