マイナーチェンジで激変!? スズキ 新型クロスビーはどこが変わった? 従来型より売れそうな理由とは

画像ギャラリーはこちら

人気のコンパクトSUV市場で、独自の存在感を放つスズキ クロスビー。個性的で使い勝手も良い反面、しかし、大人気モデルであるハスラーと比べられ、「それならハスラーで十分じゃないか」と考えてしまうユーザーが多く、販売が伸び悩んでいました。

そんなイメージを払拭すべく、クロスビーが待望のマイナーチェンジを実施しました。外観や内装の質感を大幅に高め、燃費や安全性能も向上しています。

この記事では、カーライフ・ジャーナリストの渡辺 陽一郎さんがライバル車と比べた実力や、グレード選びのポイント、購入時の注意点まで、プロの視点でその進化を解説します。

目次[開く][閉じる]
  1. 新型クロスビーの外観
  2. 新型クロスビーの内装
  3. 新型クロスビーのパワーユニットと燃費
  4. 新型クロスビーの走行性能と乗り心地
  5. 新型クロスビーの安全性能
  6. 新型クロスビーの納期
  7. 新型クロスビーのグレード別の価格と従来モデルとの装備比較
  8. 【ライバル比較】トヨタ ライズ、ヤリスクロスへの優位性はどこ?
  9. 販売数で伸び悩んだ従来型クロスビー、その理由と打開策とは?
  10. まとめ:新型クロスビーはどんな人におすすめ?

新型クロスビーの外観

今回のクロスビーのマイナーチェンジで最も大きく変わったのがフロントマスクです。

ボンネットを水平基調に、フロントマスクの丸みを抑えることで、上下に厚みのあるデザインへと変更。これにより、従来の丸っこい可愛らしい印象から、少し角ばった存在感のある見た目へと進化しました。ヘッドランプは従来と同じ丸型ですが、全体の印象は大きく異なります。

このデザイン変更は、運転のしやすさにも貢献しています。運転席に座ると、ボンネットが以前よりもしっかりと視界に入るようになり、ボディ先端位置が分かりやすくなりました。

また、ボンネットの左右の端も盛り上がった形状になっており、車幅も掴みやすいでしょう。狭い道での運転が得意ではない人にとって、どちらも嬉しいポイントです。

新型クロスビーの内装

新型クロスビーの内装では、インパネ周りが大きく変更されました。

パネルは立体的で存在感のある形状に変更されています。また、従来型では多くのグレードで明るいアイボリーを基調にシルバーのパネルが採用されていましたが、改良後は落ち着いたブラウンを基調とし、装飾パネルはブラックとなりました。これにより、上質で落ち着いた空間を演出しています。

また、新たに運転席と助手席の間に2段式のセンターコンソールが追加されました。上段にはスマートフォン、下段にはバッグなどを置くことができ、使い勝手が大きく向上しています。

室内空間の広さは基本的に従来型から変わらず、コンパクトSUVとしてはトップクラスです。

身長170cmの大人4名が乗車しても、後席の頭上には握りコブシ1つ分、膝先には握りコブシ2つ半ほどの余裕があります。この足元空間の広さは、MサイズのSUVであるトヨタ ハリアーにも匹敵します。

一方、シートの座り心地には気になる部分も。前席は腰回りをしっかり支えてくれて快適ですが、後席は座面の後方が少し沈み込む感覚があります。

広い室内空間は魅力ですが、一方で体格次第では後席の座り心地が気になる方もいるでしょう。ぜひ試乗時に確認してみてください。

新型クロスビーのパワーユニットと燃費

新型クロスビーでは、パワーユニットも刷新されました。

従来は直列3気筒1.0Lターボエンジンを搭載していましたが、改良後はスズキ スイフトやソリオと同じ直列3気筒1.2Lエンジンに変更されています。マイルドハイブリッドシステムは引き続き採用されます。

パワーユニットのスペックは以下のように変更されました。

新型1.2L自然吸気従来型1.0Lターボ

最高出力

82馬力(60kW)

99馬力(73kW)

最大トルク

10.9kg-m(107N・m)

15.3kg-m(150N・m)

新型クロスビーではスペック上の動力性能は低下したことになりますが、日常で最もよく使う低〜中速域での扱いやすさや、エンジンの静粛性向上を優先した結果と言えるでしょう。

ターボのない自然吸気エンジンは扱いやすさが美点ですが、特に登坂路などでは力不足を感じる場面があるかもしれません。従来型からの乗り換えを検討している方は、試乗して動力性能を確認することをおすすめします。

新型クロスビーの燃費

一方で、新型クロスビーの燃費性能は大きく向上しました。

新型従来型

2WD車 WLTCモード燃費

22.7km/L

18.2km/L

4WD車 WLTCモード燃費

20.9km/L

17.0km/L

新型クロスビーのWLTCモード燃費は、2WD車が22.7km/L、4WD車が20.9km/Lです。従来型はそれぞれ18.2km/L、17.0km/Lなので、燃料代を約20%も節約できる計算になります。

ガソリン価格が高騰している現在、この燃費性能は非常に大きな魅力です。

新型クロスビーの走行性能と乗り心地

新型クロスビーでは、走行安定性と乗り心地も着実に進化しています。

減衰接着剤の使用範囲を拡大するなど、ボディ剛性を高めることで、サスペンションのセッティングを最適化。これにより、乗り心地の快適性や静粛性が向上しました。

従来型で指摘されていたやや硬めの乗り心地や、急ハンドル時などの後輪の接地不足感も改善され、よりしなやかで安定感のある走りになっています。

新型クロスビーの安全性能

新型クロスビーに搭載される衝突被害軽減ブレーキは、従来の「デュアルカメラブレーキサポート」から、より高性能な「デュアルセンサーブレーキサポートII」へと進化しました。

この新しいシステムは、ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせることで、検知対象を拡大。車両や歩行者に加え、自転車や自動二輪車も検知可能になりました。

さらに、交差点を右左折する際に、対向車や横断中の歩行者を検知して衝突回避をサポートする機能も追加されています。

このほか、後方の並走車両を検知してドライバーに知らせる「ブラインドスポットモニター」や、ハイビーム走行時に先行車や対向車を検知し、自動で照射範囲を調整する「アダプティブハイビームシステム」も新たに採用され、安全性能が大幅に強化されました。

新型クロスビーの納期

販売店への取材によると、「新型クロスビーは2025年9月に入り予約受注を開始しており、同年9月下旬の注文で納期は同年12月ごろ」とのことです。マイナーチェンジのため、納期が大幅に遅れる心配はなさそうです。

新型クロスビーのグレード別の価格と従来モデルとの装備比較

新型クロスビーのパワーユニットは、全車1.2Lマイルドハイブリッドで、グレードはベーシックな「HYBRID MX」と上級の「HYBRID MZ」の2種類。新型クロスビーの価格は215万7100円〜250万300円です。

各グレードの価格は以下の通りです。

グレード駆動方式価格(税込)

HYBRID MX

2WD

215万7100円

4WD

232万2100円

HYBRID MZ

2WD

233万5300円

4WD

250万300円

従来型の「HYBRID MZ」(2WD)の価格は219万100円でした。改良後の同グレードは233万5300円なので、14万5200円の価格上昇となっています。

安全装備の充実化などが図られている一方で、コストのかかるターボチャージャーが廃止されていることを考えると、近年の原材料費や輸送費の高騰を反映した、実質的な値上げと捉えるのが妥当でしょう。

一方、新型クロスビーの装備面は充実しています。新型クロスビーは「HYBRID MX」でも、衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備や運転支援機能は標準で備わっており、実用上十分な内容です。

グレードごとの装備の違いは? 「HYBRID MZ」がおすすめの理由

上級グレードの「HYBRID MZ」は、「HYBRID MX」(2WD)に対して17万8200円高価ですが、その価格差を上回る魅力的な装備が追加されます。

HYBRID MZの装備例

  • アダプティブクルーズコントロール(全車速追従機能・停止保持機能付)
  • 電動パーキングブレーキ
  • アダプティブハイビームシステム
  • プレミアムUV&IRカットガラス(フロントドア)
  • IRカット機能付フロントガラス
  • パーソナルテーブル(後席左右)
  • 16インチアルミホイール
  • 特に注目したいのが、運転支援機能の「アダプティブクルーズコントロール」です。「HYBRID MX」も追従走行は可能ですが、停止後約2秒でブレーキが解除されてしまうため、ドライバーがブレーキペダルを踏む必要があります。

    一方、「HYBRID MZ」は電動パーキングブレーキと連動し、停止状態を保持してくれるため、渋滞時の疲労を大幅に軽減できます。

    これらの追加装備を価格に換算すると約22万円に相当するため、「HYBRID MZ」は非常にコストパフォーマンスが高いグレードと言えます。高速道路の利用頻度が高い方や、より快適性を求める方には「HYBRID MZ」が断然おすすめです。

    おすすめのメーカーオプション

    メーカーオプションでは、「全方位モニター付メモリーナビゲーション」(20万1300円)がおすすめです。9インチの大画面ディスプレイに加え、駐車時に便利な全方位モニター、通信機能、そして緊急時に救援を要請できるSOSボタンまでセットになっており、非常に割安な設定です。

    カーナビの装着を考えているなら、「HYBRID MZ」にこのナビゲーションを追加する組み合わせがベストな選択でしょう。

    さらに、レザー調と撥水加工済みファブリックを組み合わせたシートなどがセットになった「アップグレードパッケージ」(6万9300円)も、好みに応じて検討する価値があります。

    【ライバル比較】トヨタ ライズ、ヤリスクロスへの優位性はどこ?

    新型クロスビーを検討する上で、比較対象となるのがトヨタのコンパクトSUV「ライズ」と「ヤリスクロス」です。

    トヨタ ライズとの比較

    まず筆頭に挙がるのがトヨタ ライズです。

    同じ5ナンバーサイズのコンパクトSUVで、全長は3995mmと、クロスビー(3760mm)よりも少し大きいですが、取り回しの良さは同等レベルです。

    室内の広さでは、空間効率に優れたクロスビーに軍配が上がります。一方で、よりSUVらしい力強いデザインを好むならライズが魅力的に映るでしょう。

    ライズの上級グレード「Z」(1.2Lガソリン・2WD)の価格は215万2700円。これはクロスビー「HYBRID MX」の215万7100円とほぼ同価格帯です。

    内装の質感ではクロスビーが、外観のデザイン性ではライズがそれぞれ優れていると言えます。

    トヨタ ヤリスクロスとの比較

    トヨタ ヤリスクロスも強力なライバルです。こちらは全幅が1700mmを超える3ナンバー車ですが、全長は4180mmと比較的コンパクトです。

    ヤリスクロスの洗練された都会的な外観は大きな魅力ですが、室内の広さ、特に後席の居住性ではクロスビーが圧倒的に優位です。

    動力性能においては、ヤリスクロスの1.5Lガソリンエンジンのほうが、新型クロスビーの1.2Lガソリンエンジンよりも余裕があります。

    一方、価格はヤリスクロスの方がやや高めです。1.5Lガソリンエンジンを搭載する中級グレード「G」(2WD)が217万2500円、上級グレード「Z」(2WD)は251万3500円となっています。

    デザインや走行性能を重視するならヤリスクロス、室内の広さや使い勝手、コストパフォーマンスを重視するならクロスビーという選び方をすると、満足度の高い選択となるでしょう。

    販売数で伸び悩んだ従来型クロスビー、その理由と打開策とは?

    活況を呈するコンパクトSUV市場。トヨタ ライズやホンダ ヴェゼルといった人気車がひしめく中で、従来型クロスビーはなぜ苦戦を強いられていたのでしょうか。

    改良前の月販平均台数は約1200台。これは、トップを走るトヨタ ライズの約15%という厳しい数字です。

    「軽自動車をベースにした小型車」が評価されにくい

    販売不振の理由を探るべく販売店で話を聞くと、興味深い答えが返ってきました。

    「クロスビーは、大ヒットした軽自動車『ハスラー』の小型車版というイメージが強く、それがかえって足かせになっていたのかもしれません」

    クロスビーは、2014年に登場し大人気となった軽自動車、初代ハスラーの「小型車版が欲しい」という市場の声に応える形で開発され、2017年に誕生しました。

    しかし、自動車市場には「軽自動車をベースにした小型車」が、なかなか評価されにくいという難しい側面があります。

    かつてスズキが販売した「ワゴンRワイド」や、トヨタの「パッソセッテ」も同様のコンセプトでしたが、いずれも商業的な成功を収めるには至りませんでした。

    これらは「軽自動車(あるいはコンパクトカー)の延長」というイメージが拭えず、普通車として見たときに、ユーザーに割高な印象を与えてしまったのです。

    逆に「小さな高級車」がヒットする理由

    その一方で、市場でヒットしやすいのが「上級車種の小型版」というコンセプトです。

    例えば、かつて人気を博したトヨタのミニバン「エスティマ ルシーダ&エミーナ」は、上級グレードだった初代エスティマのイメージをそのままに、扱いやすい5ナンバーサイズにしたことで大ヒットしました。

    最近の例では、三菱「デリカ」の名を冠した軽自動車「デリカミニ」も好調な販売を記録しています。

    これらは「“あの憧れのクルマ”のデザインやコンセプトを手頃な価格で所有できる」というお得感が、ユーザーの心を強く掴んだ成功例と言えるでしょう。

    「ハスラーの小型車版」からの脱却へ

    このように、市場には「大きな軽」よりも「小さな高級車」が評価されやすいという、ある種の法則が存在します。

    今回のクロスビーのマイナーチェンジによって、従来型とは外観デザインが大きく変更となり、内装の質感も向上、そして広々とした室内を維持。

    まさにこの法則を踏まえ、「ハスラーの小型車版」というイメージから脱却し、一台の独立したコンパクトSUVとして生まれ変わるための、必然的な一手だったと言えるのです。

    まとめ:新型クロスビーはどんな人におすすめ?

    今回のマイナーチェンジで、スズキ クロスビーはデザインのSUVらしさを強め、燃費性能と安全性能を大きく向上させました。

    コンパクトSUVでありながら軽自動車並みの取り回しの良さと、クラスを超えた広い室内空間という独自の強みはそのままに、内外装の質感や使い勝手も着実に進化しています。

    「街乗りがメインで運転のしやすさは譲れないけれど、週末は家族や友人とアクティブに出かけたい」「コンパクトなクルマがいいけれど、室内の広さや荷室の使い勝手も重視したい」

    そんなニーズを持つユーザーにとって、新型クロスビーは非常に魅力的な選択肢となるはずです。トヨタ ライズやヤリスクロスといった強力なライバルと比較しながら、検討してみてください。

    【筆者:渡辺 陽一郎 画像提供:スズキ】

    スズキ/クロスビー
    スズキ クロスビーカタログを見る
    新車価格:
    215.7万円257万円
    中古価格:
    63.4万円338.3万円

    この記事の画像ギャラリーはこちら

      すべての画像を見る >

    愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

    • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

      これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

    • 一括査定は本当に高く売れるの?

      これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

    検索ワード

    渡辺 陽一郎
    筆者渡辺 陽一郎

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

    MOTA編集部
    監修者MOTA編集部

    MOTA編集部は自動車に関する豊富な知識を持つ専門家チーム。ユーザーにとって価値のあるコンテンツ・サービスを提供することをモットーに、新型車の情報や、自動車の購入・売買のノウハウなど、自動車に関する情報を誰にでも分かりやすく解説できるように監修しています。

    MOTA編集方針

    新車・中古車を検討の方へ

    人気記事ランキング
    最新 週間 月間

    新着記事

    新着 ニュース 新型車 比較 How To
    話題の業界トピックス・注目コンテンツ

    おすすめの関連記事

    スズキ クロスビーの最新自動車ニュース/記事

    スズキのカタログ情報 スズキ クロスビーのカタログ情報 スズキの中古車検索 スズキ クロスビーの中古車検索 スズキの記事一覧 スズキ クロスビーの記事一覧 スズキのニュース一覧 スズキ クロスビーのニュース一覧

    コメントを受け付けました

    コメントしたことをツイートする

    しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
    もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
    該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
    通報よりその旨をお伝えください。

    閉じる