スバル 新型レヴォーグ 試乗レポート(D型)|ビッグマイナーチェンジで新アイサイト搭載、走りの質はどう変わった!?(2/2)

スバル 新型レヴォーグ 試乗レポート(D型)|ビッグマイナーチェンジで新アイサイト搭載、走りの質はどう変わった!?
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1.6ターボのCVTにもステップ変速を新採用したが・・・

新型レヴォーグの動力性能は従来型と基本的に同じだが、1.6リッターターボはエンジン制御を最適化するなど変更を施した。さらに1.6リッターでは、2リッターターボと同様のステップ変速制御も新たに組み込んだ。

しかしこれはほとんど意味がない。レヴォーグが採用するトランスミッションは無段変速式のCVTだから、フル加速をした時には、動力性能の効率が最も優れた回転域を維持できることにメリットがある。ところが有段式ATに似せたステップ変速を採用すると、上昇したエンジン回転が一度下がり、再び上昇するムダな動きを繰り返しながら速度を高めていく。あくまでもCVTの疑似的な変速制御だから、本物の有段式ATに比べると変速時のメリハリも乏しく、気持ちの良い運転感覚ともいえない。

そもそもレヴォーグにはパドルシフトが装着され、ドライバーが任意に6速の疑似変速をマニュアル操作で行える。これで十分だろう。Dレンジの時にはムダなステップ変速は行わず、アクセルを穏やかに操作している時は快適性と燃費重視、深く踏み込んだ時には加速効率を重視した変速を素直に行えば良い。スバルは技術指向の強いメーカーで、さまざまな機能を理詰めで組み上げているが、Dレンジのステップ変速は筋が通らない。

新型レヴォーグは1.6ターボと2.0ターボ、どっちが買い!?

レヴォーグは今回のマイナーチェンジで乗り心地が改善されたが、それでも走行安定性が高く、スポーティな運転感覚を味わえる。そうなると1.6リッターターボは動力性能が大人しく感じられ、2リッターターボの方が本領を発揮できるように思える。

特にレヴォーグはすべてのグレードがAWD(4WD)を搭載しており、1.6リッターターボは油圧多板クラッチを使うアクティブトルクスプリットだが、2リッターターボはセンターデフ式のVTDだ。後者の駆動力配分は前輪が45%、後輪が55%とされ、アクセルペダルを踏み込みながら曲がる場面では、動力性能が高いこともあって1.6リッターターボよりも車両を内側へ向けやすい。従ってスポーティ走行の楽しさは、さまざまな意味において2リッターターボが強い。

しかし2リッターターボは装備の違いを補正しても、価格が50万円近く高まり、使用燃料はプレミアムガソリンになってアイドリングストップは装着されない。エンジン性能はグンと高くなるとはいえ、VWゴルフに対するゴルフGTIのような、より趣味性の高い選択肢となる。一般的なユーザーの使い方や機能のバランス、価格を考えると、エンジンは1.6リッターターボを推奨したい。実際、販売比率を見ても約80%が1.6リッターモデルだ。

レヴォーグは今では欧州とオーストラリアでも販売されるが、最初は日本の市場に向けて開発され、今でも国内比率が高い。それだけに3ナンバー車でも日本の道路環境で使いやすく、アイサイト・ツーリングアシストは、渋滞などの低速走行に対応した。

さらに後席にも相応のスペースが確保されて、ファミリーカーとしての快適性も備わる。

価格は少し高いが、スバル 新型レヴォーグは日本のクルマ好きの本音に応える開発を行った。共感を得られる数少ない3ナンバー車のひとつになっている。

[レポート:渡辺陽一郎/Photo:和田清志・SUBARU]

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スバル 新型レヴォーグ 主要スペック

スバル新型レヴォーグ 主要スペック(2017年7月マイナーチェンジ・D型)
グレード1.6GT EyeSight2.0GT EyeSight
駆動方式AWD(4輪駆動)AWD(4輪駆動)
価格(消費税込み)2,829,600円3,618,000円
JC08モード燃費16.0km/L16.0km/L
全長4,690mm4,690mm
全幅(車幅)1,780mm1,780mm
全高(車高)1,495mm1,490mm
ホイールベース2,650mm2,650mm
乗車定員5人5人
車両重量(車重)1,540kg1,570kg
エンジンFB16型 DOHC 16V デュアルAVCS 直噴ターボ ”DIT”ガソリンエンジンFB20型 DOHC 16V デュアルAVCS 直噴ターボ ”DIT”ガソリンエンジン
排気量1,599cc1,998cc
エンジン最大出力170ps(125kW)/4800-5600rpm300ps(221kW)/5600rpm
エンジン最大トルク25.5kgf-m(250N・m)/1800-4800rpm40.8kgf-m(400N・m)/2000-4800rpm
燃料無鉛レギュラーガソリン無鉛プレミアムガソリン

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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