スバル 新型レガシィアウトバック 試乗レポート/大谷達也(2/3)
- 筆者: 大谷 達也
- カメラマン:オートックワン編集部
新型レガシィアウトバックはFB25エンジン搭載が最も大きなトピック
数えて2代目となるアウトバックがデビューしたのは2009年。それから3年が過ぎた今年5月、アウトバックに大規模なマイナーチェンジが実施された。
その結果、従来モデルよりも大きめな“ヘキサゴングリル”はメッキ部品の割合がぐっと増し、きらびやかな雰囲気を演出。大型化されたフォグランプ、そしてそれを縁取るブラックのアニマルガード風パーツが、道を選ばない力強さを表現している。
以前は3.6リッターの6気筒エンジン搭載車だけに標準装備されていたルーフレールが、アウトバックの全モデルに用意されるようになったこともファンには歓迎されるだろう。
個人的には、もうちょっとすっきり洗練されたデザインのほうが好みだけれど、アメリカで受けるには、このくらいの個性というかアクの強さが必要なのかもしれない。
でも、外観以上に大きな変更が加えられたのが中身、特にエンジンだ。
新型アウトバックも従来モデルと同様、2.5リッター水平対向4気筒エンジン、というところまでは変わらない。最高出力は170ps/5600rpmから173ps/5600rpmへ、最大トルクは23.4kg・m/4000rpmから24.0kg・m/4100rpmへと、ちょっとずつ強化されたけれど、そんなのは大した違いじゃない。
何が違うって、実はまったく別のエンジンなのだ。
その証拠に、型式名がEJ25からFB25へと変わっている。しかも、この変化は、50年を越すスバル水平対向エンジンの歴史のなかでも、いちばん大切で重大なものかもしれないのだ。
フロントに縦置きされる水平対向エンジンは、左右を前輪に挟まれている関係で、あまり幅を広くできない。だから、どうしてもピストンの往復するストロークが短めになり、同じ排気量だとボア、つまりピストンの直径が大きくなってしまう。
ピストンがあまり大きくなると、ガソリンが燃える燃焼室が薄く広がった形になりがち。けれども、燃焼室が薄く広がっていると、ガソリンをきれいに燃やすのが難しくなってくる。
本当は、燃焼室がもうちょっと厚く、コンパクトにまとまっているほうが都合がいい。つまり、ビッグボア・ショートストロークじゃなくてボアとストロークが同じくらいの“スクエア”にしたい。
これは、1966年に水平対向エンジン搭載のスバル1000を発売して以来、ずっと追い求めてきた理想でもあった。この理想に、エンジンのレイアウトを工夫することで近づけたのがFB系とFA系なのだ。
おかげでガソリンをきれいに燃やすのが楽になり、燃費がよくなった。 しかもロングストロークになって中低速域のトルクがぐっと厚みを増した。つまり、街中を走るのが断然楽になった。
現代の要求に応えた、本当にいいエンジンに仕上がったと思う。
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