スバル フォレスター 試乗レポート
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:原田淳
アクティブSUVからスタイリッシュSUVへ
「ステーションワゴンとSUVのクロスオーバー」から「スーツの似合うSUV」へと変身!1997年デビューの初代モデルから、数えて3代目となる新型フォレスターは、こうして、より本格的なSUVテイストをアピールするモデルを目指して生まれ変わった。
従来型のフォレスターは、SUVというよりはむしろコンパクトなワゴンとしての雰囲気も強く、それが固有のファン層を築いてきたという実績も見逃せない。が、今や北米地域を中心とした国際商品へと育った事を考えると、これまでの歴代モデルは、より存在感の強いSUVの風味に強めたかったのだろう。大きくイメージを変えた新型のデザインは、今のスバルの抱く、そうした思いも感じる事が出来るものだ。
ハードウェアのベースとなったのは、従来同様、最新のインプレッサ・シリーズ。ただし、ボディサイズやクルマのキャラクターの違いも考慮され、こちらに搭載されるエンジンは2Lユニットに限定される。
SUVテイストを強めた外装と、拡大された後席空間は注目
従来型に比べると全長で75mm、全幅で45mmとボディサイズが拡大された新型。しかし、そんな新型の、これまでのモデルからのキャラクターの変貌ぶりは、むしろ85mmも上げられた全高によって顕著に表現されていると言って良いだろう。
基本骨格デザインにアメリカ・スタジオ製の案が選ばれた新型フォレスターは、ステーションワゴン風味の強かった従来型のモデルに比べると、いわゆるSUV的な印象がずっと強い。実際、最低地上高は楽々と20cmを超え、前後の対地障害角も25度以上が確保されるなど、現実のオフロード性能でも、従来型以上のタフネスぶりを目指したのが新型のデザインなのだ。90mmというホイールベースの延長分を生かし、後席の足元スペースがグンと拡大をされたのも、新型のパッケージング上の特徴。
一方で、日本固有の法基準を満たすために、左フェンダー前部に無骨な補助ミラーが採用されたのは何とも残念。この点は、カメラ式モニターの採用などにより、早急にリファインされる事を期待したい。
新開発のリアサスペンションは想像以上のしなやかな走り
見た目上ではSUV風味を強めたものの、走りの質感は従来型以上に上質。特にフットワーク・テイストが想像以上にしなやかなのは、前述のホイールベース延長や、新型インプレッサから継承した、新開発のダブルウィッシュボーン式リアサスペンションによるところが大きそうだ。
DOHCヘッドを採用しながら、レギュラーガソリン仕様とした自然吸気エンジン車でも、実用上の加速力は十分。ただし、組み合わされるATが、この期に及んでの4速仕様に留まるのは、商品力上は少々問題アリと受け取らざるを得ない。最高230psを発するターボ付きエンジン搭載モデルの場合も、それは同様。当然こちらの加速力は自然吸気モデルをグンと上回るものの、もはや最低でも5速ATが欲しいというのは今の時代の当然の要求だろう。
「背が高くなり、オールシーズン・タイヤを履き・・・」と、オンロード上でのハンドリング面では、少々不利とも思えるスペックを並べる新型フォレスターだが、それでもあくまでも乗用車テイストの素直な走りを味わわせてくれるのはスバル車らしい美点。電動式パワーステアリング採用の自然吸気モデルが、油圧式を用いるターボ・モデルに勝るとも劣らないステアリング・フィールを実現させていたのも見逃せないポイントだ。
新型フォレスターから始まる、スバルの新たな挑戦
独自のポジショニングの持ち主だった従来型のモデルに比べると、「“普通のSUV”になってしまった…」と、そんな危惧の声も聞こえてきそうな新型フォレスター。確かにグッとスマートになり、格段に洗練された意匠を身につけた、今度のモデルに想定されるライバルは、以前よりも増える事になったのは間違いないだろう。
しかし、それを承知でのモデルチェンジに踏み切ったのは、「それだけの自信がある」という裏返し。実際、ハンドリングの自在度の高さや、あくまでも“セダン・ライク”な乗り味は、数あるSUVの中にあってもキラリと光る。
一方で、こうしてより激戦区での戦いに挑むという事は、それだけ幅広いユーザー層に受ける商品を目指さなければならないという事。一見では「スバル車とは思えない顔付き」の採用などは、まさにそうした思いの表れなのかも知れない。
これまでは、むしろ個性を重んじるユーザーこそに育てられてきたのが、スバルというブランド。それをこうした“さらなる拡販”への期待と、どうバランスさせて行くのか―。これが、フォレスターに限らず、ここ当分のスバル車の大いなる悩みどころとなりそうだ。
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