三橋淳選手/今井優杏の「あなたの愛車教えてください!」(2/2)

  • 筆者:
  • カメラマン:今井優杏
三橋淳選手/今井優杏の「あなたの愛車教えてください!」
三橋淳選手と愛車のダッジ・ラム 三橋淳選手と愛車のダッジ・ラム 三橋淳選手と愛車のダッジ・ラム 三橋淳選手と愛車のダッジ・ラム 三橋淳選手と愛車のダッジ・ラム 三橋淳選手と愛車のダッジ・ラム 三橋淳選手と愛車のダッジ・ラム 三橋淳選手と愛車のダッジ・ラム 画像ギャラリーはこちら

現地で熱狂的な人気を誇るダカールラリー、出場者はまるで「国賓扱い」!?

―ちなみにクロスカントリーラリーの車両のハンドリングとは、どういうものなんでしょうか?

GTなどの車両に比べると、ルーズですよ。アメ車ほどではないですが、最初はプアーで、一気にチョンとかければ切り始まります。切り始めればレスポンスはいいんです。

というのも、コース上はデコボコがひどいじゃないですか。そこを全部繊細に吸収するようなセッティングだと、神経をすり減らしてしまいます。だから、かけたいときにかかるようにしていますね。GTなど、オンロードのレースのほうが、路面からのインフォメーションを大事にする競技だと思うんですよ。オフロードではそれを大事にすると、クルマも人も疲れてしまうんです。

あるところに雨が降っていて、あるところは晴れている、という先の読めない状況の中を一日300km以上走破するので、ガチガチにセッティングしてしまうよりは、ある程度フレキシブルにしておいたほうがいいんですよね。

―なるほど!ちなみに現在、年間どれくらい競技をされているんですか?

今は少ないですよ、年間2回です。ファラオラリーという世界戦と、パリダカです。あとはテストなども海外で行われるので、走行の機会だけでいえばもう少しあります。

―そうか~、テストも海外なんですね!

モロッコでやりますね。モロッコはアフリカ大陸の中でも一番ヨーロッパからアクセスしやすいし、昔のパリダカはアフリカも走ってましたから、過去のコマ図(ラリーで使う地図)を持っているんですよ。それを参考にしてテストを行います。だいたい1カ月くらいですね。

―テストだけで1ヶ月!

その内訳は、まずコマ図作りからスタートします。1年間では自然現象などで地形も変わりますから、コマ図製作だけで2日間くらいはかかります。

それから走行をし、タイムをバーっと取って行って、そのあとにサスペンションを合わせたり、ラジエターにパーツを付けたりなどのセッティングをする、という感じです。

―テストはダカール直前に行われるんでしょうか?

いや、6月くらいですね。7月8月は暑過ぎますし、5月より前は雨季ですから、6月がちょうどいいんです。同様の理由で他のチームも6月にテストをすることが多いんですが、そうすると走行中に事故が起きないように、予め擦り合わせをしたりします。

コースってあんなに広いのに、走れるところは実はそんなにないんです。結局昔のコマ図ベースに走り、アスファルトの舗装路にアクセスして帰って来られるというルートを組むとどのチームも似通ってしまう。だからカチ合わないように、テストするチームは走行前にミーティングを行うんです。大体チームはヘリも飛ばしているので、ヘリが来たらお互い避ける、ということもします。

―ヘリ!?スケールが大きい…

僕らのクルマは市販車ベースのものなのでそんなにスピードは出ないですが、ドイツからの参戦車両は次元の違うスピードで走ってますから、ヘリが先導して、走行コースの先がクリアであることを確認しながら走っているんですよ。僕らはそのヘリが来て、先でホバリングを始めたらそこに別のチームが来るということを認識し、コースを変更しながら走るんです。

―いよいよ年明けにパリダカを控えていらっしゃるわけですが、ではもうそろそろ準備でお忙しい頃ですね?

そうですね、慌ただしくなって来ました。明日(注:取材は11月初旬)からパリに行くんですが、それも車両のシェイクダウンです。

―今はスタートが南米ですよね?社会情勢的にはいかがでしょうか?

国を挙げてのイベント誘致ですので、完全に警備はされていますし、安全ですよ。ダカール期間中は一車線まるごと競技車両専用レーンが出来たりして、僕らは大渋滞の中、そこをズドーンと通って行けたりします。

―国賓扱いですね!

それでも規制されていないエリアなんかで、予想に反して道が混んでしまったりすることもあるんです。でも自分たちはタイムを計測されているから急がなくてはいけない。そんな時にはものすごく乱暴な運転をしたりもするんですよ。

例えば路肩を走ったり、中央分離帯というか、道路の真ん中のエリア、ああいうところに乗り上げて走ったりね。面白いのはそういう予想外のバトルに関わった現地の人が、みんな喜んでどいてくれたりするんです。「行け行け~!!」って。

―国民全体も歓迎ムードなんですね!

そういう時は、モータースポーツをやっていることを誇りに思えます。だけどエリアによっては熱狂的すぎて、高速道路を人々が占拠していたりもするんですよ(笑)。

みんな呑んでますから、半端な騒ぎじゃないですね。向こうではテレビでも24時間放送してます。それくらい競技自体にも人気があります。競技期間中にパスを取ることが出来るなら、男性は適当なステッカーと適当なシャツでチーフスタッフ風にしてみて下さい。間違いなくモテます(笑)。

―(笑)ホントに!?

僕らは競技をしているし、移動していくのでそういう楽しみを味わえることはないんですが。

―選手は遊ぶ時間もないんですか?せっかくの南米なのに!

三橋淳選手と愛車のダッジ・ラム

まったくないですよ。移動もチームごとに一括に行いますから、勝手な行動は出来ないです。

だから最後、ゴールをしたあとは羽目をはずすぞ!って街に出るんですけど、大体ゴールは日曜日で、開いている店がほとんどない。で、開いている店をやっと見つけて入ったら、全員ダカール関係者だったということはよくある(笑)なんで終わってまで同じ顔見なきゃいけないんだ!って。

―じゃあ女性ファンはそういう店を狙って居れば、確実に選手やチームクルーに逢える、ということですね!

会えます。確実です(笑)

―ちなみにダカールの見どころはどこでしょう?

砂丘部の多いチリです。コピアポという、あの落盤事故が起こった鉱山のそばを走ります。関東ローム層って、御存知ですか?チリの土はその関東ローム層と同じで、削れたら小麦粉のような細かい粒子になる土なんです。その土が1メートルくらい吹きだまっている中を走ります。

まるで霧の中を運転しているような状態になり、ひどいところでは完全に前が見えません。停まると埋まってしまうので、停まれないんですが、もうもうと舞っている砂の先に、先行のクルマが埋まって停まってたりするんですよ。それをうまく避けるなどし、危険予測をしながら走ることも要求されますから、難しいポイントですね。

―それでは最後の質問です。次に欲しいクルマは?

トヨタ タンドラ

タンドラです。

―やっぱりピックアップなんですね!

結局積載車って荷物を積むのには面倒くさいんです。クルマ自体は簡単に積めるんですが、それ以外の荷物を積むのが厄介。

だったらピックアップの荷台にタイヤとホイール置いて、ジャッキ置いて、洗車機置いて、ってボンボン、と積んでしまったほうがラクですから。自分の性格に合ってるんですよね(笑)。

今井優杏の「取材後記」

実は普段の移動にはダカールで優勝した際、自分へのご褒美として買ったというボクスターにお乗りの三橋選手。ダッジは仕事用で、プライベートはほぼボクスターなんだとか。

でも長身の三橋選手、巨大なダッジが見劣りせず、めちゃくちゃお似合いでした!カッコよかった~!!

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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