日産 マーチボレロ 23周年の歩みと共にオーテックジャパンが手掛けたマーチを振り返る
- 筆者: 小鮒 康一
長い歴史の中でも人気を誇るモデル
日産のラインナップの中で、軽自動車を除く普通車のボトムラインを長らく担ってきたマーチ。実用的なコンパクトカーでありながら実用一辺倒ではなく、多くの魅力的なモデルが用意されてきたことも、今日まで続く長い歴史を積み上げることができた理由のひとつと言えるだろう。
そんなマーチのカスタムカーの中でも、現在に至るまで人気を誇っているのが、今年誕生23周年を迎える「マーチ Bolero(ボレロ)」である。
日産車のスペシャリスト集団であるオーテックジャパンが手掛けるマーチ ボレロは、今から23年前の1997年に2代目マーチをベースとして誕生したカスタムカーであった。
ボレロはマーチの実用性溢れるボディはそのままに、大きなメッキフロントグリルやメッキバンパー風のバンパーモール、丸型ヘッドライトに丸形テール&ウインカーレンズなどを備えてクラシカルな雰囲気に仕上げたモデルだった。
ボレロは内装にも手が加えられており、アイボリーのシート表皮に合わせてメーターやエアコンパネルにも同系色を採用。さらにインパネやステアリングの一部をウッド調とすることで、外観と共通の雰囲気を実現していた。
ボレロ以外にもあった! オーテックジャパンが手掛けた2代目マーチ
ちなみにオーテックジャパンがマーチを手掛けるのはボレロが初ではなく、前年の96年にリリースされた「マーチ タンゴ」が最初。このタンゴもボレロと同じくレトロ調の雰囲気のモデルとなっており、ヘッドライトこそ基準車と共通ながら縦型のメッキグリルを持ち、メッキバンパー風のモールを備えていた。そういった意味ではタンゴの正常進化版がボレロだったと言えるかもしれない。
そしてボレロが登場した翌年の98年には「マーチ ルンバ」が登場。こちらもレトロ調のデザインとなっているが、タンゴやボレロのような縦型メッキグリルではなく、ルンバは横長タイプのメッキグリルを備えており、先行した2モデルとはまた違った雰囲気を持ち合わせていたのだ。
2000年には、オーテックジャパンが手掛ける2代目マーチをベースとしたカスタムカーのラストを飾る「マーチ ポルカ」がリリース。こちらも丸形ヘッドライトやメッキグリルなどクラシカルな雰囲気の外装としながらも、シート表皮やドアトリムにタータンチェックをあしらう遊び心で、レトロとカジュアルが融合したモデルに仕上がっていた。
なお、勘の鋭い人であればお気づきかと思うが、2代目マーチをベースにしたオーテックジャパンによるカスタムカーには「タンゴ」「ボレロ」「ルンバ」「ポルカ」とすべて舞曲の名前が付けられている。これはそもそもの車名が行進曲を表す「マーチ」であることに加え、2代目マーチのグレード名には「G♯」「A♯」「B♭」「E♭」といった英米式の音階表記が使われていたことも強く影響しているのだ。
3代目マーチをベースにボレロ再び登場
2002年3月に3代目モデルへとフルモデルチェンジを果たしたマーチ。しかし、先代で人気を博したボレロはしばらく登場せず、まずは“自分感覚で楽しめる”「マーチ ラフィート」がデビュー。すみずみまで上質感にこだわったフォルムと、號珀色の専用フィニッシャーでコーディネートされたインテリアはおしゃれで贅沢な雰囲気を持ち合わせていた。
その後、満を持してボレロが登場したのは2004年12月のこと。大きなメッキグリルや専用のランプフィニッシャー、メッキモールなどを備えるエクステリアや、ベージュ系の表皮とウッド調パネルのコントラストの内装など、先代ボレロと共通する装備を持ちながらもより親しみやすくずっと大切にしたくなる雰囲気を醸し出しているのは、ベースとなった3代目マーチが丸みを帯びたフォルムをしているからなのだろうか。
オーテックジャパン謹製の本格スポーツモデル
もともとモータースポーツの世界でも活躍していたマーチではあったが、3代目マーチには、オーテックジャパンが手掛けた待望のスポーツモデル「12SR」があったことを忘れてはならない。
12SRは名前の通り排気量こそベース車と同じ1.2Lだが、専用ハイカム、専用バルブスプリング、専用ピストン、軽量フライホイール、専用チューニングコンピュータなどを惜しげもなく投入。当然足回りも固められ、ボディ補強もプラスされた本格的なチューニングモデルとなっていたのである。
2005年のマイナーチェンジ時には1.5LエンジンとCVTというパワートレインの「15SR-A」も追加。エンジンこそノーマルだったが、専用の足回りとボディ補強で痛快なコーナリングマシンに仕上がっていた。
現行型マーチはボレロとNISMOの2本柱に
2010年に現行型となる4代目へフルモデルチェンジを実施したマーチ。ボレロはマーチのフルモデルチェンジと同時にリリースされ、「エレガント」をテーマに内外装をトータルコーディネートしたモデルに仕上がっている。
専用のメッキグリルやメッキモールという基本は不変ながら、“レトロ調”という枠を超え、「ボレロ」というひとつのブランドへと昇華したといっても過言ではない。これはユーザーとオーテックジャパンが大切に育て上げた賜物なのだ。
現行型のボレロは、メッキ加飾をあしらったメッシュデザインのフロントグリルや、丸みを帯びたデザインの専用フロントバンパーに加え、新たにメッキアウトサイドドアハンドルを採用し、エレガントでおしゃれな雰囲気を演出。また、さらなるドレスアップを楽しめるオプションとして専用のリヤバンパーモールを新たに設定したほか、ボディカラーと合う専用のアルミホイールデカールも設定されている。
インテリアはワインカラーを基調としたボーダー柄のシート生地や、マーブル柄の専用センタークラスターフィニッシャー、さらにシルバーフィニッシャーなどを採用し、インテリア全体から気品を感じる空間に仕上がっている。
また、人気の高いオートライトシステムを標準装備とし、利便性も向上している点も見逃せない。
そして先代の12SRの系譜を受け継ぐのが、2013年6月のマーチのマイナーチェンジ時に追加された「マーチ NISMO」シリーズとなる。
パワートレインはベースと同等で内外装をNISMO専用パーツで固めた「NISMO」に加え、通常ラインナップには存在しない1.5Lエンジン+5速MTを搭載した「NISMO S」が用意された。これらは一度オーテックジャパンの工場に入庫して架装されるという非常に手の込んだ手法で生み出されているモデルなのである。
採算度外視で作られた究極のボレロ「A30」
23年のボレロの歴史を語る上で外すことができないのが、2016年に30台限定で販売された「ボレロ A30」だろう。この車両はオーテックジャパン創立30周年記念車として誕生したもので、通常のボレロに対して全幅が145mmワイド化されたボディがそのすごさを物語っている。
搭載されるエンジンもカタログモデルには存在しない1.6Lエンジンで、当然のように専用パーツがふんだんにおごられ、レース用のエンジンも手掛ける匠の手によって1機ずつ手組みされたもの採用された。
ここまでスペシャルなモデルであるにもかかわらず、全体の味付けはサーキットでタイムを出すというものではなく、普段使いで楽しめるというもの。この辺りの味付けは、現在オーテックジャパンが展開するプレミアムスポーツモデル「AUTECH」に通じるものがあるのかもしれない。
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