スマホ規制強化! 道交法改正で何が変わった!? 反則金や違反点数、罰則の違いを解説

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最近は交通事故に関連したニュースが多い。高齢者の運転ミスと同様に、今までなかった事故原因である「運転中に携帯電話やスマートフォンを見る・操作する“ながら運転”」による交通事故が増えている。そんな中、2019年12月に改定された道路交通法について、どのように変更されたか解説していこう。

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目次[開く][閉じる]
  1. スマホ等の“ながら運転”による交通事故が急増
  2. 2019年12月1日より“ながら運転”の罰則が一層厳しくなった
  3. “ながら運転”で危険が生じたら一発免停も!
  4. スマホの“ながら運転”が一気に厳罰化した理由とは
  5. スマホのメール読み上げ機能はあまり推奨できない
  6. 運転中の着信拒否を許容できる社会へ

スマホ等の“ながら運転”による交通事故が急増

交通事故において、以前から問題視されているのが、高齢者の運転ミスに基づく交通事故だ。

クルマの急速な普及を開始した1960年代中盤に運転免許を取得した世代が、今では70歳を超えている。高齢者は、若年層に比べて人口が多いこともあり、今では運転免許保有者の約23%が65歳以上となった。日本は今まで経験したことのない「高齢ドライバー時代」を迎え、高齢者の事故が社会問題になっている。

一方、未経験の新しい事故原因として、携帯電話やスマートフォンを見たり操作しながら運転することによる交通事故も増えている。

従来からあるカーナビも“ながら運転”を誘発するが、基本的な機能は道案内だけだ。純正オプションのカーナビであれば、走行中は複雑な操作を行えない仕組みも備えている。

その点で携帯電話やスマートフォンは、車両の機能とは連携していないため、“ながら運転”が可能で事故も誘発してしまう。

2019年12月1日より“ながら運転”の罰則が一層厳しくなった

携帯電話やスマートフォンの使用に関係した交通事故の発生件数は、警察庁によると2010年は1502件だったが、2017年には2832件に増えた。スマートフォンの普及に伴い、“ながら運転”による事故も増加傾向にある。

従来から「携帯電話使用等」の違反を設けていたが、スマートフォンは今後も普及が進むため、運転中の使用による交通事故の発生が今以上に増えることも心配される。そこで道路交通法が改正され、2019年12月1日以降は“ながら運転”の罰則がさらに厳しくなった。

新道交法では点数3点、反則金1万8千円、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金に

携帯電話やスマートフォンを保持しながら運転している時に取り締まられた場合、従来は違反点数:1点(酒気帯びは14点)/反則金(普通車):6000円/罰則:5万円以下の罰金というものであった。

これが2019年12月1日の改正後は、違反点数:3点(酒気帯びは15点)/反則金(普通車):1万8000円/罰則:6か月以下の懲役または10万円以下の罰金に変更されている。

従来は1点だから軽微な違反であったが、3点は信号無視の2点よりも重い。速度超過に当てはめると、時速25キロ以上30キロ未満(高速道路の場合は時速40キロ未満)に相当する。

“ながら運転”で危険が生じたら一発免停も!

そして携帯電話やスマートフォンを保持しながら運転したことにより、交通の危険を生じさせた場合には、単に保持した時に比べて違反点数や反則金がさらに増える。従来は違反点数:2点(酒気帯びは14点)/反則金(普通車):9000円/罰則:3か月以下の懲役または5万円以下の罰金であった。

改正後は、違反点数:6点(酒気帯びは16点)/罰則:1年以下の懲役または30万円以下の罰金となる。交通の危険を生じさせた場合は、改正後の違反点数が酒気帯びでなくても6点に達するから、反則行為ではなくすべて罰則だ。反則金の適用もなくなり、罰金のみが課せられる。

ちなみに違反点数の6点は、速度超過に当てはめると、時速30km以上(高速道路の場合は時速40km以上)50km未満に相当する。そして累積点数が6点に達すると、運転免許の停止処分に該当する。つまり、過去1年以内に違反をしていなくても免許停止の処分になってしまう。いわゆる一発免停だ。

スマホの“ながら運転”が一気に厳罰化した理由とは

それにしても「携帯電話使用等」の点数が、従来の保持:1点/交通の危険を生じさせた場合:2点から、それぞれ3点/6点に引き上げられたのは相当な厳罰化となる。違反点数が一気に3倍に増えたからだ。違反点数や反則金/罰金は、ほかの交通違反とのバランスを図る必要もあるから、スマートフォンなどの「ながら運転」がそれだけ危険な行為と判断されたことになる。表現を変えれば、従来の1点/2点では軽すぎたために厳罰化に至った。これは複数の意味で理屈に合った改正だろう。

まず、違反行為の種類は「携帯電話使用等」だが、今はスマートフォンが普及している。スイッチを押して電話に出る行為に留まらず、画面を注視しながらSNSやメールなどの文字を打ち込んだりする操作も含まれる。“ながら運転”はすべて危険だが、スマートフォンの普及によりその度合いがさらに強まった。

また、スマートフォンや携帯電話の「ながら運転」は、一時停止の道路標識を見落としたとか、方向指示機の操作を忘れたような「行うべき行為をしなかった」過失ではない。禁止されている行為を敢えて行った故意に相当する。「うっかりしてスマホを使ってしまった」というのは、あり得ないわけだ。

スマホのメール読み上げ機能はあまり推奨できない

そうなると携帯電話のハンズフリーと同様、スマートフォンのメール読み上げなど、保持や注視をしないで使える機能が注目されそうだが、あまり推奨できない。携帯電話やスマートフォンのために手を使っていなくても、運転に対する集中力が下がることに変わりはないからだ。

その意味では、同乗者との会話も集中力に悪影響を与えるが、車内で一緒にいる相手なら、運転が難しい状況になると会話を控えたりするだろう。運転に集中して沈黙しても、電話とは異なり、気まずい雰囲気にもなりにくい。同じ会話をするのでも、同乗者と電話の相手では、危険性がかなり違う。特に走行中の電話では、相手の声が聞き取りにくいことも多い。聞き返したりすれば、運転の集中力を一層下げてしまう。

運転中の着信拒否を許容できる社会へ

仕事でクルマを運転している場合、取り引き相手などから急用の電話が掛かってくることもあるだろう。運転中に電話対応をしたい事情も理解できるが、大切な急用となれば、運転の集中力はますます下がりやすい。社会全体で、さまざまな“ながら運転”を防ぐ理解が求められる。「運転中だったので電話に出られませんでした」という返答に「それなら仕方ない」と納得できる認識を共有することも大切になる。

[筆者:渡辺陽一郎]

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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