慶応義塾大学 清水浩教授インタビュー(2/2)

  • 筆者: 森口 将之
  • カメラマン:オートックワン編集部
慶応義塾大学 清水浩教授インタビュー
インタビュー中の清水浩教授 インタビュー中の清水浩教授 インタビュー中の清水浩教授 (左)清水浩教授/(右)森口将之氏 森口将之氏 シムドライブ(SIM-Drive)設立発表会 (左)森口将之氏/(中)Eliica(エリーカ)/(右)清水浩教授 Eliica(エリーカ) Eliica(エリーカ) 車体構造 プラットフォーム 画像ギャラリーはこちら

社会貢献という道を目指して設立したシムドライブ(SIM-Drive)

シムドライブ(SIM-Drive)設立発表会
車体構造一人乗り電気自動車

シムドライブは、クルマを作って売ることはしない。EVの技術を売る会社である。シンクタンクという呼び名が近いかもしれない。

「EVの生産に参入したいと考える企業に対し、インホイールモーターやアルミ製バッテリービルトインフレームを核とした独自の技術を提供し、共同開発、生産支援、人材育成を行うことを目指しています」

メーカー製EVに対するシムドライブの優位点は?という質問には、ずばり「高性能」という言葉が返ってきた。

「リチウムイオン電池、インホイールモーター、ビルトインフレームを用い、ボディやシャシーを専用設計とすることで、エネルギー使用量は既存のガソリン車改造型EVの半分にできます。弱点である航続距離を伸ばせるのです」

たとえば8月の会社設立発表会でスタイリングが公開されたプロトタイプは、ボディサイズもバッテリー容量も三菱 i-MiEVと日産 リーフの中間だが、満充電での航続距離はそれらの2倍近い300㎞をマークするという。

その性能を聞きつけて、反応は予想以上だという。

「今年中に参加企業20社を募り、来年から開発を始める予定なのですが、すでに30社も応募がきてしまいまして。2011年に発表予定としていたプロトタイプも来年には完成しそうで、2号車のプロジェクトもスタートさせようかと考えているところです」

(左)清水浩教授/(右)森口将之氏

ただし、清水教授はシムドライブに専念して、エリーカを生み出した慶大電気自動車研究室での活動を止めるわけではない。技術面の交流を図りつつ、双方の組織を独立して運営していくという。乗用車の開発を行うシムドライブに対し、大学の研究室では主として公共移動手段を手がけるようだ。

「現在は全自動運転のひとり乗り超小型EVを使い、自分の部屋からオフィスやショッピングセンター内まで移動できる「コ・モビリティ社会」の実現を目指し、研究を進めています。また、いすゞ自動車や神奈川県と手を組んでEVバスの開発も行っており、来年には試作車が完成する予定です」

清水教授のプロジェクトがどれも新鮮に見えるのは、ガソリン車が出発点ではなく、最初からEVとしてスタートしているからだろう。しかも商売ありきでないからこそ、理想をストレートに具現化することができた。

EVという新種の自動車には、発想や構造にも新しさが求められる。日本のEV発展には、清水教授のような人こそ必要なのである。

前へ 1 2

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

森口 将之
筆者森口 将之

1962年東京都生まれ。モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。自動車専門誌の編集部を経て1993年フリーに。各種雑誌、インターネット、ラジオなどのメディアで活動。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。記事一覧を見る

MOTA編集部
監修者MOTA編集部

MOTA編集部は自動車に関する豊富な知識を持つ専門家チーム。ユーザーにとって価値のあるコンテンツ・サービスを提供することをモットーに、新型車の情報や、自動車の購入・売買のノウハウなど、自動車に関する情報を誰にでも分かりやすく解説できるように監修しています。

MOTA編集方針

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる