東洋ゴム工業 マレーシア新工場視察レポート(1/3)
- 筆者:
- カメラマン:吉澤憲治
東南アジアへの販拡に向け、東洋ゴムが出した答えとは
日本から南西へおよそ5,300km。
そこは南シナ海とマラッカ海峡に挟まれた半島国家マレーシア。国土の80%以上が密林に覆われ、天然ゴムに鉱物資源、海洋域では天然ガスや油田と、東南アジア諸国の中では比較的資源が豊富な国として名高い。そんな国の、とある自動車タイヤメーカー「シルバーストン」社が、東洋ゴムの傘下に入ったのは2010年のこと。
なぜ東洋ゴムは、東南アジアのタイヤメーカーに目をつけたのか。そこには東南アジア地域への市場拡販という命題があったからだ。東洋ゴムは、中期経営計画「中計’11」において、北米、日本、アジアの3エリアを基点としたグローバル供給体制の構築を進めている。
現に北米においては「NITTO」ブランドの攻勢が功を奏し、それは、TOYOブランド自体の認知拡大や供給拡販に影響を及ぼした。結果として欧州地区でも、そのクオリティに対する評価が次第に高まり、PROXESやNANOENERGYといった同社主力商品に関しても、今ではグローバル展開を行うなど、着実に市場エリアを拡大し続けている。
一方のアジア圏においては、日本を除いて中国の1拠点のみというのがこれまでの市場範囲。中でも近年経済成長が著しい東南アジア諸国への進出は、他のライバルブランドに先を許す形となっており、モータリゼーションの伸長とともに、今後さらなる需要拡大が見込まれるここ東南アジア地域を、事業基盤を押し上げる重要な戦略市場として位置づけてきた。
そこで、東南アジア諸国の中ではシンガポールに次ぐGDPの高さを持つマレーシアを筆頭に、隣国のタイ、そしてインドネシア等、残る未開エリアへの販売網拡大へ向けて、どのような策を講じれば良いか議論が行われた。
結果、東洋ゴムが出した答えは、マレーシアの優良企業シルバーストン社の“買収”。実は傘下に入れたその理由の一つに、意外にも製品クオリティの高さが挙げられる。
シルバーストン買収の意図
日本ではあまり聞き慣れないシルバーストン。だが、東南アジア諸国をはじめ、欧州、オセアニア、中東、アフリカの各地域へも供給を行うなど、それなりに製品への評価が高いタイヤメーカーだ。
マレーシア国内におけるシルバーストンの販売シェアは実に30%。年間販売量は約300万本、売上額は約130億円(2012年時点)という数値は、以前から日本製品に見習えと「低価格で高品質」という姿勢を貫き、それが現地で高い支持を集めてきた結果だ。自国の自動車メーカーである、プロトンやプロデュアへの納入はもちろん、他の輸入車への履き替え用タイヤとしてもニーズがあるなど、マレーシアをはじめ周辺諸国のタイヤカテゴリーにおいてはまさにトップブランドとして君臨する。
つまり東洋ゴムは、シルバーストンの東南アジア諸国における、その「地位」が欲しかった。
東洋ゴムがマレーシアに新工場を建設した理由も、シルバーストンの“地の利”を活かした“TOYOブランド網の拡大”が最大の狙いとしてある。その証拠に新工場は、ペラ州ピンタン市に構えるシルバーストン本社工場から直線距離にしてわずか4kmという近さに20億円を投じて建設。総面積は600,000㎡(東京ドーム約13個分)。シルバーストン本社と同じ市に構えた理由も、相互連携という狙いが根底にあるからだ。
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