東洋ゴム工業 マレーシア新工場視察レポート(3/3)

  • 筆者:
  • カメラマン:吉澤憲治
東洋ゴム工業 マレーシア新工場視察レポート
TTM(Toyo Tyre Malaysia Sdn Bhd)の外観 TTM(Toyo Tyre Malaysia Sdn Bhd) TTM(Toyo Tyre Malaysia Sdn Bhd) TTM(Toyo Tyre Malaysia Sdn Bhd) マレーシアタイヤ新工場 竣工式の様子 TTM(Toyo Tyre Malaysia Sdn Bhd) マレーシアタイヤ新工場 竣工式の様子 TTM(Toyo Tyre Malaysia Sdn Bhd) マレーシアタイヤ新工場 竣工式にて TTM(Toyo Tyre Malaysia Sdn Bhd) マレーシアタイヤ新工場 竣工式にて TTM(Toyo Tyre Malaysia Sdn Bhd) マレーシアタイヤ新工場 竣工式にて TTM(Toyo Tyre Malaysia Sdn Bhd) マレーシアタイヤ新工場 竣工式の様子 TTM(Toyo Tyre Malaysia Sdn Bhd) マレーシアタイヤ新工場 竣工式の様子 東洋ゴム工業(株)代表取締役会長 中倉健二氏 画像ギャラリーはこちら

新工場に採用された注目の次世代型生産システム「A.T.O.M.」

TTM(Toyo Tyre Malaysia Sdn Bhd)

まず、東洋ゴムのマレーシア新工場には、同社独自のタイヤ工法技術「A.T.O.M.」(Advanced Tire Operation Module)が採用された。

この「A.T.O.M.」とは、一連の製造工程をコンパクトそしてスムーズに自動化を図ることを狙った最新の生産技術のこと。盛り込まれている企業秘密の製造工程設計技術により、製品を高効率、高品質、そしてスピーディに生産することが可能となる。やたらと環境面において外から指摘の多いタイヤ産業において、自らの生産工程にメスを入れながら改善を行い、タイヤ工場の概念を変えた次世代型生産システムとして国内外からも多くの注目が集まる。いわば東洋ゴムの強みとも呼べる存在だ。

すでに日本国内工場のみならず、北米工場や中国工場にも導入済で、今回のマレーシアに導入されたのはさらにブラッシュアップさせた事実上の最新版。

トーヨータイヤマレーシア 代表取締役社長の笠井完二氏

この「A.T.O.M.」の進化した技術を、新たなラインへ移植を行い、日本のタイヤメーカーとして生み出す高い品質を、このマレーシアからも発信していきたいと意気込むのは、トーヨータイヤマレーシアの笠井社長だ。

笠井社長は、マレーシア新工場のコンセプトをこう分類する。

1.エコロジカル

2.高性能

3.高効率

4.スキルレス

日本国内工場比でエネルギー効率を30%向上させ、エネルギーのミニマム化と環境重視の工場を目指すことを念頭に、品質確認の自動化、製品品質のばらつきを低減させ、高品質、高性能なタイヤを製造する工場への実現を目指すと語る。

また、タイヤ1本当たりの生産時間の短縮、且つ生産工程の削減を実施し、A.T.O.M.による高効率な生産を行いながら、生産工程の自動化、およびIT技術の積極的活用から成る、オペレーターに優しいスキルレスな工場環境も同時に目標であると付け加えた。

すでに同工場の事務棟屋根には太陽電池パネルを設置するなど、まずは日本企業の紳士で勤勉な姿を披露した東洋ゴム。

今後の課題は、こういった姿勢こそが世界市場を勝ち抜いてきた日本企業のプロセスであるということを、現地採用従業員へ徹底して教育を行っていかなければならない。その結果、廻りめぐって製品への絶対的信頼から利益の増加へ、そして雇用の安定化へも繋がって行くことを考えれば、マレーシア政府の東洋ゴムへの期待度の高さも当然と言える。

東南アジアにおける日本製品への信頼度は依然として高い。東洋ゴムは自社の技術を今後もシルバーストンへ供給を続けながら、OEMモデルの生産は託していく考えだ。今期のシルバーストンの年間生産量は、買収前と比べてプラス100万本も多い400万本で着地する見込み。東洋ゴムのノウハウは確実に有益な結果をもたらし、近い将来、現地の製造業に日本式のものづくりの考え方を広めたパイオニアとして称されることも考えられる。

マレーシアという地からグループシナジーを活用して、相乗効果を生み出す東洋ゴムの戦略は、日本とマレーシアのさらなる深交にも結びついていくことに期待したい。

(TEXT:オートックワン 吉澤憲治)

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