【最速レポ】新型「スマート」海外試乗 これがスマート？3代目で4ドアモデルが復活！(2/2)

6速DCTの搭載で、気持ちの良い加速が味わえる

リアに搭載されるエンジンは数種類用意されるが、日本に導入されるのは1.0リッターの3気筒エンジン。これは先代のfortwoに搭載されていたものと同じだ。

そして組み合わせられるトランスミッションが今回、ついに6速DCT（デュアル・クラッチ・トランスミッション）である“Twinamic”となったことがトピックだ。

スマートといえばこれまでシングルクラッチのトランスミッションを使っていたがゆえに、変速時に一瞬力が途切れてギクシャクするのが当たり前だった。しかし今回からは、それがすっかり払拭されてまずは気持ち良い加速が味わえる。1.0リッターの3気筒とDCTの組み合わせによって、新型スマートは軽快かつ穏やかに加速するようになった。この違いはかなり大きい。

静粛性の高さと乗り心地の良さは、1クラス上のクルマを思わせる

そして何より印象的だったのが、「静粛性の高さ」と「乗り心地の良さ」だ。以前は騒音や振動が車内に侵入してきていたが、それもまた超コンパクトゆえに「仕方ないか」と思わせるものだった。

が、今回の新型スマートは騒音や振動の車内への侵入をしっかりと抑えている。なので走らせるとすぐに1クラス上のクルマになったかのような感覚を受けるわけだ。

そして乗り心地に関しても嫌な振動などがすっかりカットされており、路面から入ってくる衝撃等がうまく丸められて滑らかな乗り心地を作り上げている。また、高速道路でもしっかりと踏ん張る一方で前後の揺れ等も抑えられており、これまた1クラス上のクルマに乗っているような感覚を受けた。

ライバルでは敵わない“後輪駆動の楽しさ”が存分に味わえる

さらに驚愕したのが、fortwoの「回頭性の良さ」。

ここでUターンは無理、と思えるようなスペースで楽に向きを変えることができる様は常識を覆すほど。またforfourに関しては、fortwoに比べると走りは穏やかな感じになるが、多人数での乗用を考えるとこの味付けは悪くないと思える。

そして何よりスマートらしいと思えたのは、後輪駆動による走りの楽しさ。

ライバルともいえる「フィアット チンクチェント」や「フォルクスワーゲン up!」は当然のことながら前輪駆動。それらもコンパクトなクルマを使い切る楽しさはあるものの、やはりスマートの楽しさには敵わない。加速の時に後ろから押される感覚はまるでポルシェ911のようであり、併せてステアリングフィールも前輪駆動のコンパクトカーにはない、滑らかで上質なフィーリングが息づいている。

そうした部分こそが、まさにスマートらしさといえる。その走りは超コンパクトながら実にレベルが高く、なおかつスポーツをも語れる資質を持っているのである。そんな崇高な部分があるにも関わらず、表現は相変わらずポップな感覚であるところもこのクルマの魅力のひとつだろう。

小難しいことは抜きにして、生活を楽しいものに彩ってくれるであろう雰囲気が存分にある新型スマートは、それだけでも十二分に魅力的。

3代目へと進化して、ますます磨きがかかったスマート。まもなくの日本導入後に、新たなムーブメントが生まれることを期待したい1台である。