新5気筒ターボのパワーはライバルを凌駕する“400馬力”に!アウディ新型RS3を試乗
- 筆者: 大谷 達也
- カメラマン:アウディジャパン株式会社
アウディ A3スポーツバックの高性能版「RS3スポーツバック」のマイナーチェンジモデルが2017年春、欧州・ジュネーブショーで発表された。
直5 2.5リッター直噴ターボTFSIエンジンは400馬力/480Nmの超高性能を発揮! 従来モデルよりも大幅にパフォーマンスが向上した新型RS3スポーツバック。
その実力について、中東オマーンで行われた国際試乗会場から、モータージャーナリストの大谷達也氏が速報でレポートする!
A3の“超”高性能バージョン、新型“RS3”を試乗!
“アウディ RS3”はA3の高性能版だ。いや、A3の高性能版としてはすでにS3があるから“超”高性能版といったほうが正しいだろう。
特に根っからのアウディファンには釈迦に説法となってしまうけれど、アウディのモデル構成はスタンダードな“A”、高性能な“S”、そして超高性能な“RS”の3モデルからなる。
そのあとに続く数字はクラスの大小関係を示していて、たとえばDセグメントの“4”であればA4、S4(これがまた素晴らしく良い!)、RS4(現在はワゴンのアバントのみ)となったり、Eセグメントの“6”であればA6、S6、RS6(こちらもアバントのみ。超過激!)となる。
ライバルを凌駕するスペックを持つRS3
ちなみにアウディのRSはドイツ語でレーシングスポーツを意味する“RennSport”の略で、メルセデスであればAMG、BMWであれば“M”に相当。こう聞けば、アウディのRSがどのくらい特別なモデルかわかってもらえるだろう。
では、メルセデスとBMWで“S”に相当するモデルは何か?
実は、いずれもごく最近まで存在しなかったのだが、先ごろメルセデスがAMGに追加したV6エンジン搭載モデルと、BMWでは日本未導入ながらヨーロッパで発売済みのMパフォーマンスがスペック的にアウディのSと近い関係にある。
興味深いのは、AMGと“M”は後輪駆動が中心なのに、“AMG V6(これは私が勝手につけたシリーズ名)”やMパフォーマンスは4WDを主力としている点。
クワトロという名のフルタイム4WD技術を長年鍛え続けてきたアウディは、SもしくはRSにも当然のごとくクワトロを搭載して、これを大きな強みとしてきたから、メルセデスとBMWの新シリーズはアウディの“S”を意識して開発されたと推測できないこともない。
前置きが長くなってしまったが、RS3はどのくらい高性能なのか?
標準モデルのA3に搭載される4気筒1.4リッターターボエンジンの最高出力は122ps。これに対してS3の4気筒2.0リッターターボは290ps。そして最新のRS3はどうかというと、なんとA3 1.4TFSIの約3.3倍、S3と比べても38%増しの400psを発揮する。私がRS3をA3の超高性能版といった理由が、これでおわかりいただけただろう。
ちなみにライバル関係にあるメルセデス・AMG A45 4MATICの最高出力は361psで、RS3との差は39psと小さくない。
“砂漠ばかり”のイメージが覆された中東のオマーン
新型RS3の国際試乗会は中東のオマーンを舞台に行われた。
オマーンと聞いても「砂漠の国」といった程度の貧弱な知識とイマジネーションしか持ち合わせていない私だったが、実際に訪ねてびっくり。
たしかに砂漠も多いけれど、意外にもナツメヤシなどの緑が豊富な地域が広がっていたり、心地いいワインディングロードが長く続いていたり、挙げ句の果てには目の前に美しいビーチが控えた豪華なリゾートホテルまであったりして、心底驚いた。
おまけに肉もシーフードも抜群においしい。しかもワインディングロードに出かけると、放牧された牛やラクダが路肩(ときには道路の真ん中!)でゆったり寛いでいたりするので、ドライビングには注意が必要だったりする。
いずれにしても、私にとってオマーンは新しい発見と驚きに満ちた国だった。
レーシングドライバーも納得と思えるほど完成度の高い足回り
では、RS3に乗った印象はどうだったのか?
現行世代のアウディ“3”をベースにしたRS3スポーツバックは2015年にも発売されていて、超高性能モデルとは思えないしなやかなサスペンションが生み出す快適な乗り心地と、そんな快適性からは想像できないくらい俊敏な走りが特徴で、足回りを思い切ってスポーツ方向に振ったメルセデスAMG A45とはここに大きな違いがあった。
新型RS3もこの傾向はまったく同様で、オマーンの荒れた路面を走ってもゴツゴツした印象はほとんど感じられない。
実は、試乗車には乗り心地の改善に大きな効果がある減衰力可変ダンパーのマグネティックライドが装着されていなかったので、オプションでこれを装備すればさらに心地良い乗り味が楽しめるはずだ。
かといってハンドリングがヤワかというと、決してそんなことはない。多くの皆さんは、レーシングカーと聞くととんでもなく硬い足回りを想像されるだろうが、私が経験した範囲でいえば、最新のレーシングカーは意外にも乗り心地も快適なことが多い。
そうでないとタイヤの性能を十分に引き出せないからで、したがってしなやかな足回りでいかに俊敏さを引き出すかがレーシングカーをセッティングするうえでひとつのポイントになっていると私は解釈している。
RS3の足回りも快適性と俊敏性が見事に両立されていて、実に完成度が高い。路面からの衝撃を無闇に跳ね返そうとするのではなく、それを柔軟に受け止めるのでタイヤの路面を捉える力が安定しているうえに乗り心地は良好。
しかも、コーナリングや加減速に伴って自然にクルマの姿勢を変化させてくれるから、いまどのくらいまで自分がコーナーを攻めているのかも簡単に判断できる。それでいながら、スプリング、ダンパー、スタビライザーなどのセッティングが絶妙なので素早くクルマの向きを変えるのも得意。
さらに、ここにクワトロ=4WDの強力なトラクション(エンジンパワーを確実に路面に伝える性能のこと)が加わるから、滑りやすい路面でも姿勢を崩すことなく素早く加速していける。
これだったらレーシングドライバーも納得の足回りなんじゃないかと、私には思えて仕方がなかった。
パフォーマンスと省燃費性を両立した新エンジンを搭載
RS3のもうひとつの魅力は、そのエンジンにある。
フロントに搭載されたパワープラントは、排気量2.5リッターの5気筒ターボ。アウディは40年近く前に登場した元祖クワトロにも5気筒ターボを搭載するなど、このちょっと特異なレイアウトのエンジンを長い間、作り続けてきた歴史がある。
かつては4気筒のコンパクトさと6気筒のスムーズさを兼ね備えているというのが謳い文句で、その考え方は現在も大筋において変わっていないけれど、いまでは5気筒エンジンの生み出す独特のビート感を愛好するファンも少なくないそうで、そうした熱い声に応える形で今回、久しぶりの新エンジン登場となった。
新しいエンジンはブロックなどがアルミ製に刷新され、先代に比べて26kgもの軽量化を達成しつつ、最高出力は前述のとおり400psに到達。
ヨーロッパ仕様では0-100km/h加速が4.1秒とパワフルなスポーツカーに迫るパフォーマンスを実現していながら、1700rpmから5850rpmの幅広い回転数で480Nmの最大トルクを発揮する柔軟性と12.0km/Lの省燃費性を実現した。
なお、この燃費データはヨーロッパの計測方法に従ったもので、日本式のJC08モードではこれよりもいい数値となることが期待される。
あくまでも“オトナ”で洗練された走りを見せる
個人的には、新型エンジンは自分の個性をことさら強く主張することなく、ドライバーが求めるパワーを素早く、スムーズに、そして決して騒がしくなく生み出しているという印象を得た。
もちろん速いことは滅法速いのだけれど、ドライバーを恐怖に陥れるようなパワーとはちょっと異なる。もっと洗練されていて、オトナな感じなのだ。
ただし、それはエンジンの出力特性が滑らかだからそう感じられるだけで、実際に競争してみれば、このクラスではピカイチの速さを示すはず。そんな速さの演出が、私にはいかにもアウディらしいと感じられた。
新型RS3のもうひとつのニュースは、これまでのスポーツバック=ハッチバックに加えてセダンが加わったこと。
ちなみに日本にはまずセダンが導入され、価格は785万円と発表されている。
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