ポルシェ パナメーラ 海外試乗レポート/河村康彦 編(4/4)
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:ポルシェジャパン株式会社
その血統はカイエンからの流れをより色濃く汲んでいる
ボクは、かつてカイエンの走りを「“ON”でも“OFF”でも走りの王者」と形容した事がある。
そんなスーパーSUVの“ON”の走りに、とことん磨きを掛けたのがこのパナメーラの走りのテイストと言って良いように思う。
すなわち、911やボクスター、ケイマンなど、「ドライバーの後方にパワーパックが位置するモデルの走りとは明確に異なるテイスト」とも同義語だ。
比類なく高いトラクション能力を武器に、低ミュー路でもガンガンとアクセルを踏んでいける“ポルシェ・スポーツカー”とパナメーラとは、やはり別の舞台に立っている。
誤解を招くと困るのだが、パナメーラはポルシェ車ではあっても「ドライバーズ・シートだけが至福のポジション」という1台ではないという事だ。
しかし、思えばそれも当然で、911やボクスター、ケイマンといったモデルをラインナップするこのブランドが敢えて挑戦するフル4シーターのモデルに、改めてそんな味付けをする必要性は全く無い。
カイエンが「こんなクルマはポルシェらしくない」と言われつつデビューをした当時、しかし“初めて真っ当なリアシート”を持つそのモデルに飛び付いた人は少なくなかった。
パナメーラは、そんなカイエンが開拓したポルシェの新境地を、さらに新しい解釈で広げるニューカマーなのだ。ただし、その血統がカイエンからの流れをより色濃く汲んでいるのは確かと感じられる。
しかし、そんなパナメーラが同社既存のスポーツカー・レンジ―特に911―に格別なるオマージュを抱いた作品であるのは、そのスタイリングからも明らか。
そう、「ポルシェはスポーツカーメーカー」というその部分にこそ、さらなるスポットライトを充てるために生み出された新種の4ドア・モデルが、このパナメーラという1台なのである。
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