プジョー RCZ 海外試乗レポート/西川淳(3/3)
- 筆者: 西川 淳
- カメラマン:プジョー・シトロエン・ジャポン
RCZでも健在の「猫足」
試乗したのは、日本でも期待の「200bhp版ガソリンターボ+6MT」と、日本に導入予定のない「ディーゼルターボ+6MT」だ。
欧州車のデビュー試乗会の場合、向こうでニーズの高いディーゼル車も試すことができて、大抵の場合そっちの方がいいという結論になったりするものだが、RCZは違った。
ディーゼルなんかよりガソリンターボの方がずっといい!!
理由は簡単。パワーユニットだけを評価すれば、ディーゼルターボは確かにトルクも十二分で力強く、とても満足できるものだったが、いかんせん前が重い。
実際、スペックを見比べてみると、200bhpガソリン車に比べてディーゼル車は70キロ程重いのだ。
いかに脚造りの上手いプジョーでも、後ろが軽いこの手のスポーツモデルでは、そのほぼ全量が前での違いとなると、その差を誤摩化すのは難しかったようだ。
ハンドリングのしなやかさといい、タウン速度域での質感といい、高速走行時の手応えといい、あらゆる場面でガソリンターボの方が良かった。小径ステアリングホイールによるフィールの違いも相乗的に利いている。
その200bhp仕様だが、トップエンドでの伸びこそイマイチだがパワフルさは十分。できれば最新のダブルクラッチシステムで乗りたいところだが、それはもう少し先の話。
2速でもう少し引っ張れるともっと楽しいところだが、3速がそのぶんかなり下からカバーしているので、ヨーロッパの道では使いやすかったが、さて日本ではどうだろうか。
例のサウンドシステムによる排気音の演出は、やや古くさい音ながら、なかなか迫力があって、ドライバーをやる気にさせる。いよいよこのクラスにも“音”で引きつける試みが始まった。
最高だったのは、やはりシャシーである。柔らかめだが踏ん張りが利いていて、コーナリングの最中が気持ちいい。荷重移動をきちんとこなせれば、かなり面白く走らせることもできる。走りと乗り心地の絶妙なバランス。もちろん猫足は健在、と言っておく。
プジョー新時代の幕開けを告げるにふさわしいモデル「プジョー RCZ」。
アウディTTのように走れ、ミニのようにカスタマイズする歓びがあり、その上で誰にも似ていない雰囲気がある。これからのコンパクトカーが進むべき方向性のひとつが見えた。
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