日産 新型エクストレイル 新型車解説/渡辺陽一郎(2/2)

日産 新型エクストレイル 新型車解説/渡辺陽一郎
日産「エクストレイル 20X Safety Package(4WD)」 日産「エクストレイル 20X Safety Package(4WD)」 日産「エクストレイル」20X エクストリーマーX“ エマージェンシーブレーキ パッケージ”(4WD・2列車)」 日産 新型エクストレイル 走行イメージ01 日産 新型エクストレイル 走行イメージ02 日産 新型エクストレイル 走行イメージ03 日産 新型エクストレイル 走行イメージ04 日産 新型エクストレイル 走行イメージ05 日産 新型エクストレイル 走行イメージ06 日産 新型エクストレイル 走行イメージ07 日産 新型エクストレイル 走行イメージ08 画像ギャラリーはこちら

クリーンディーゼルは先代モデルを継続販売

日産 新型エクストレイル 走行イメージ08日産 新型エクストレイル 走行イメージ09

エンジンについては、発売時点で設定されるのは2リッター直4のガソリンエンジンのみ。1年後にハイブリッドモデルを投入するというが、クリーンディーゼルターボは新型エクストレイルで発売される予定は無く、先代モデルが継続して販売される。

ディーゼルは低回転域から高い駆動力を発揮するので、ボディの重いSUVに合っている。砂地のような抵抗の大きな悪路を走る時にも運転がしやすい。加えて同等の性能を発揮するガソリンエンジンに比べて燃料消費量が少なく、軽油の価格はガソリンに比べると1L当たりの単価が20円ほど安い。

低燃費指向のパワーユニットとしてハイブリッドを用意するのは理解できるが、新型エクストレイルでクリーンディーゼルターボを選べないのは残念だ。

2リッター直4ガソリンエンジンの型式は、MR20DD型。直噴式を採用し、基本的には現行セレナが搭載しているのと同じタイプのエンジンになる。最高出力は147馬力(6,000)回転、最大トルクは21.1kg-m(4,400回転)で、先代エクストレイルに比べると最高出力は10馬力、最大トルクは0.7kg-m向上している。

直列4気筒の2リッターエンジンとして、最大トルクの数値は高い部類に入る。駆動方式は従来型と同じく前輪駆動の2WDと4WDで、主力モデルは4WD。

新型エクストレイルの燃費は、「16.4km/L(2WD)」「16km/L(4WD)」(いづれもJC08モード燃費)。アイドリングストップを含めて低燃費技術を進化させており、先代型が「12km/L(2WD)」「11.8km/L(4WD)」であることに比べると、燃費性能は大きく向上している。

日産「エクストレイル」

4WDシステムは従来型と同じく「オールモード4×4」。

前後の駆動系の間に多板クラッチを用いた4WDシステムが装着され、通常の走行は前輪駆動に近く、空転が生じると後輪側に最大で50%の駆動力を伝える。多板クラッチの締結力を強めるロックモードも備わり、悪路では予め駆動力の伝達効率を高めておくことも可能だ。

さらに先代型と同様、「アドバンスドヒルディセントコントール」も採用されている。

滑りやすい急な斜面を下る時にスイッチをONにすると、ドライバーが一切のペダル操作を行わずに時速4~15kmで安定を保ちながら走行できるため、ドライバーはハンドル操作に集中することが出来る。

サスペンションはフロント側がストラット式、リア側がマルチリンク式の4輪独立懸架。この形式は先代モデルと共通だ。

日産では初となる「エマージェンシーブレーキ」

新型エクストレイルでは安全装備にも注目したい。

前方の安全支援としては、日産では初となる「エマージェンシーブレーキ」が採用された。時速10~80kmで走行中、フロントカメラによって衝突の危険を察知するとドライバーに警報を発し、衝突不可避と判断された時には緊急ブレーキを作動させる。カメラ方式という利点を生かし、時速10~60kmでは歩行者も識別する。ただし、アイサイトなどと異なり「クルーズコントロール」は備わらない。

このほか、カメラが路面の白線を認識して車線の逸脱を警報することも可能。これらの機能は「Safety Package」グレードに装備されている。

その他、「後側方車両検知警報」がオプション設定されている。リアに装着されたカメラで、死角になりやすい側方から接近する車両を検知。サイドミラーのインジケーターで知らせてくれ、その状態から方向指示機を作動させるとレーンチェンジを危険と認識し、ブザーでドライバーに注意を促してくれる。

世界初の機能「アクティブライドコントロール」

日産「エクストレイル」

快適性を高める機能としては、世界初となる「アクティブライドコントロール」という技術を搭載。凹凸の多い道などでクルマに前後に揺れが生じた時、小さな凹凸であればエンジンの駆動力を自動的に微調節して水平を保つ。ボディの前方が下がった時には少し駆動力を強めて持ち上げ、逆に前方が持ち上がった時は駆動力を緩めるのだ。

さらに大きな凹凸を乗り越える時は、エンジンに加えてブレーキ制御も働かせる。ボディの前側が大きく持ち上がった時は、ブレーキングによって積極的に下げるわけだ。

なお、クルマ造りについてもエクストレイルから新しい試みが始まる。ベースは先代型と同じ「Cプラットフォーム」を継続採用するが、エンジン部分/室内空間/フロント側のアンダーボディ/リア側のアンダーボディと区分したモジュールを構成し、ルノー車を含めたほかの車種との共通化を図りやすくする。開発費用などの削減を図り、開発力を集中させるのがねらいだ。

これは、フォルクスワーゲンも車種を超えた基本部分の共通化を進めており、世界的なクルマ造りの潮流といえるだろう。

自動車の需要が伸び悩む一方、安全性や環境性能の向上など、解決すべき課題は多い。そこで合理化を図る必要が生じた。安全性や燃費性能が値上げを伴わずに向上すれば、ユーザーの受けるメリットも大きい。

新型エクストレイルの価格はまだ発表されていないが、買い得な価格設定が期待される。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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