あの“スカイライン ターボRS”に試乗! ファン垂涎の歴史的モデルを一堂に展示する「日産ヘリテージコレクション」を徹底探訪【前編】

  • 筆者: 小鮒 康一
  • カメラマン:オートックワン 編集部

日産の歴史を物語る約300台の名車たちを収蔵・展示

国産各メーカーでは、過去の名車や歴史的車両などを収蔵したミュージアム等を運営しているが、その中でもトップクラスの規模、車両台数を誇るのが、日産自動車の「日産ヘリテージコレクション」だ。

日産自動車の座間事業所の敷地内にある日産ヘリテージコレクションは、これまで日産自動車が長きに渡って生産を続けてきた名車たちが収蔵されており、古いものでは1930年代のダットサン12型フェートンから2000年代の車両まで、約300台がズラリと並んでいる。もちろん日産と合併する前のプリンス自動車時代の車両や、その前のたま自動車時代の車両などもあり、流し見するだけでも相当な時間を要するボリュームとなっている。また、過去にさまざまなモータースポーツの栄冠に輝いたレース車両も数多く収蔵されているので、旧車好きだけでなくレース好きにもぜひ足を運んでもらいたい施設となっている。

実は当初は原則非公開で、極まれに行われるイベント時しか入ることができなかったのだが、2016年から一般公開をスタートし、現在では予約を入れれば誰でも見学できるようになっているのだ。

ちなみに日産ヘリテージコレクションがある座間事業所は、新型車の量産試作と、プレス金型、車体設備技術、樹脂成型技術、電動車両技術の企画・製作・設置を実施しており、483,354平方メートルもの広大な敷地面積を誇っている。そのため、自家用車で日産ヘリテージコレクションに来た時は正門からゲストホールまで自走で向かうことになり、ちょっとした日産関係者気分が楽しめる。ぜひ日産車で訪問していただきたいところだ(もちろん他メーカー車でも入れます)。

>>日産ファンならずとも「懐かしい!」日産車の数々を画像でも見る

日産が収蔵する貴重な貴重なコレクションに“試乗”出来た!

今回のメディア向け取材会では、貴重なコレクションの中から1961年式フェアレディ(SPL213)と、スカイラインHT2000ターボRS(KDR30)の貴重な2台に同乗試乗することができた。

「なんだよ、メディアばっかり特別扱いされやがって!」

とお思いの諸兄もおられるかもしれないが、実は見学ツアーの中には特別ツアーというものが用意されており、同乗試乗やエンジン始動イベントも組み込まれているので、ぜひ日程をチェックして参加していただきたい。

なお、日産ヘリテージコレクションに収蔵されている車両のおよそ70%が実際に走行できる状態をキープいているとか。クルマは乗らないとどんどん不調になってしまうものなので、関係者の涙ぐましい努力が伺い知れるエピソードである。ある意味、同乗試乗も車両の調子を維持するという側面も持っているのかもしれない。

1961年式「フェアレディ」はまさに貴婦人の佇まい

最初に試乗したのが1961年式フェアレディ。日産自動車が本格的に対米輸出を始めたモデルであり、型式のSPL213から分かるように左ハンドル仕様だ(型式のLが左ハンドルの意味を持つ)。言うまでもなく、現在のフェアレディZの源流となった車両ではあるが、当時はまだ「Z」は付かず、フェアレディが正式名称となる。この車名は、当時の日産自動車社長の川又克二氏が見たブロードウェイミュージカル「マイ・フェア・レディ」から取られたというのは有名な話だ(川又氏は他にもセドリックやブルーバードの名付け親でもある)。

1189ccの水冷直列4気筒となるE1型エンジンは、推定55PSを発生し、890kgのオープンボディを引っ張る。スペック的には現行N-BOXのNAモデルと同等(58PS/890kg)だが、そう考えると現代の交通事情でも充分通用するものと言えるだろう。実際、同乗走行でも軽快な走りを見せてくれた。もちろんクセがありそうで、上手く走らせるにはコツは要りそうな雰囲気ではあったが。

赤のツートンがまぶしい「スカイライン ターボRS」登場に西部警察世代は失禁モノ!

続いて試乗したのは赤黒ツートンが眩しいR30型スカイラインターボRS。アラフォー世代にしてみれば西部警察で見たマシンRS(ターボはRS-1、RS-2)がガッツリすり込まれているだろうから、フルノーマルの個体を前にしても気分は西部署員となってしまうだろう。

そんなターボRSに搭載されるのはFJ20型の4気筒4バルブDOHCターボエンジン。当時の純レーシングエンジンに近い材質を惜しみなく使用し入念に作り込まれたこのエンジンの最高出力は、当時のスカイライン史上最大の190PS。GT-Rは6気筒エンジンという不文律があったため、その名前こそ冠されなかったものの、その高い動力性能から「史上最強のスカイライン」というコピーが付けられていた。

そんなターボRSはほぼフルレストアといっていいほど手が入れられており、まるで新車と見まがうような内外装のクオリティとともにエンジンも完調を維持しており、「FJ20ってこんなにスムーズだったんだ!」と感動を覚えるほどだった。

■参考:

刑事ドラマ「西部警察」特別機動車両 大特集|”大門軍団”のスーパーマシンを徹底解説

日産ヘリテージコレクションとは

300台もの所蔵台数を誇る日産ヘリテージコレクションは、とても一日で見終えることができるボリュームではない。筆者もプライベートを含め4回目の訪問となるが、まだまだ見足りないと思えるほど。という訳で後編もぜひお楽しみに・・・。

そんな日産ヘリテージコレクション、冒頭でも紹介したように一般公開をしている。申し込みはwebサイト(https://nissan-heritage-collection.com/TOUR/)からすることが可能で、同乗試乗やエンジン始動などを伴う特別ツアーの実施日時についても同サイトで確認することができる。

展示車両は入れ替えや、他の場所(日産グローバル本社ギャラリーや、各地のディーラー、イベントなど)へ貸し出しをしている場合もあり、1度で全ての車両を見ることは叶わないかもしれないが、入場料金もかからないため、ぜひとも何度でも足を運んで頂きたいスポット言えるだろう。

[レポート:小鮒 康一/Photo:オートックワン 編集部]

>>日産ヘリテージコレクションを徹底探訪【後編】もオートックワンの独自視点で近日公開! 乞うご期待!

日産ヘリテージコレクションへ行くにはどうするの!?

■お問い合わせ先:

日産自動車株式会社 座間事業所 座間統括課

電話:046-298-4355

受付時間:月~金10:00~16:00 (12:30~13:30を除く)

〒252-8502 神奈川県座間市広野台2-10-1 ※入口は「2地区正門」になります。

●電車でお越しの場合

小田急江ノ島線南林間駅から、神奈川中央交通バス「日産」「相武台前駅」「小田急相模原駅」行

「ひばりが丘1丁目」下車、徒歩7分

または相鉄本線さがみ野駅から、相鉄バス「南林間駅」行「ひばりが丘1丁目(または工機入口)」下車、徒歩7分

●お車でお越しの場合

東名高速道路「横浜町田インター」から国道16号線を八王子方面へ 国道246号線を左折、東原4丁目交差点を右折、2つめの信号を左折

1つめの信号(正門前専用信号)前が座間事業所 2地区正門

(東名高速道路「横浜町田インター」より15~30分(道路状況による))

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小鮒 康一
筆者小鮒 康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後に急転直下でフリーランスライターへ。国産旧車に造詣が深いが、実は現行車に関してもアンテナを張り続けている。また、過去に中古車販売店に勤務していた経験を活かし、中古車系の媒体でも活動中。最近では「モテない自動車マニア」の称号も獲得。記事一覧を見る

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