「西部警察」といえばやっぱスカイラインでしょ! 真っ赤な“マシンRS”を改めて振り返ってみる[昭和~平成 劇中車の世界]
- 筆者: MOTA編集部 劇中車研究班
- カメラマン:MOTA編集部/日産自動車/株式会社石原プロモーション/製作著作:株式会社石原プロモーション/取材協力:ポニーキャニオン・株式会社トミーテック
昭和から平成にかけての時代、クルマが主役級の扱いを受けるテレビドラマや映画は数多くあった。派手なカーアクションを魅せる刑事ドラマや戦隊ヒーローものに限らず、熱いラブストーリーの傍らにクルマが寄り添う場面も多い。
そんな俳優顔負けの活躍をみせたドラマ・映画の劇中車の中でも、特に別格の存在と言えるのが伝説のドラマ「西部警察」だ。そんな昭和の名ドラマから、番組を代表するマシンと言えるDR30型 6代目 日産 スカイラインRSをベースにした「マシンRS」について、改めて振り返ってみよう。
007のボンドカーも顔負けの特殊装備満載! マシンRSはただ派手なだけじゃない!
刑事ドラマ「西部警察」の劇中車として活躍したマシンRSは、前回ご紹介したスーパーZと同時にシリーズ・パートII第15話「ニューフェイス!!西部機動軍団}でデビューしている。
団長(大門 圭介/渡 哲也)とオキ(団長はゴローと呼ぶ沖田 五郎/三浦 友和)とふたりで某所を訪ねると、そこにいたエンジニア風の人物から、「日産自動車と日産プリンスが共同開発しました」としてアンベールされたのが、スーパーZとマシンRSであった。
当時最新鋭のスカイラインRSをさらに格好良くカスタマイズ!
マシンRSのベースは、「ニューマン・スカイライン」と呼ばれた6代目日産 スカイラインに追加設定された、2リッター直列4気筒DOHCエンジン「FJ20E」型を搭載する“2000RS”。
マシンRSには特別装備として、全方向回転式サーチライト、赤外線・サーモグラフィ対応ビデオカメラ、車載コンピュータ、信号操作装置(シグナルコントロール)などの特殊装置が数多く装備されていたのだが、登場当初のマシンRSの外観は、比較的ベースモデルに近い状態にあった。
ただしベース車がまだフェンダーミラーの時代に、当時未認可のドアミラーがいち早く装着されていたり、ケーニッヒ製バケットシート、ナルディのステアリングホイール、ゴールドの15インチアルミホイール、シンプルな前後スポイラーなどでシブくカスタマイズされていた。ちなみにシルバー・黒の2トーンだったベース車を、わざわざ赤・黒の2トーンカラー(純正色)に塗り直している。
装備品のなかでも東芝製のコンピュータが使用されるなど、搭載される特殊装置や無線機などに実在メーカーの市販品も多く採用されていることもあり、必ずしも荒唐無稽過ぎるものとはなっていなかった。
ナンバー照会システムなど現代に通じる先進機能が劇中で登場! その先見性も西部警察の魅力だ
さてマシンRSデビュー回、その後のエピソードをご紹介しよう。
スーパーZとともにマシンRSを受けとった直後、ダンプカー盗難事件に遭遇する。団長とオキによる、スーパーZとマシンRSの巧みな連携も功を奏し、ダンプカーを現在のお台場周辺と思われる造成地に追い込み、無事ダンプカーを盗んだ犯人の逮捕に成功する(周囲に何もない場所なのに、なぜかギャラリーが多数ダンプカーのまわりに集まっていたのが印象的)。
そして犯人逮捕後にダンプカーを捜索すると、車内から大金が見つかった。そこでマシンRSに搭載される特殊装置を使い、さっそくナンバープレートの照会を実施。所有者が誰かを確認することになる。
このようなパトカーからのナンバープレートの照会などは、日本だけでなく世界の警察ではいまでは当たり前のように行われている。リアルタイムで見ていた少年時代には「すごいなあ」と思うだけだったのだが、結果として実用可能なシステムに発展したリアリティや予見性もまた、西部警察の凄さだった。
破天荒に見えるスーパーマシンの数々や大爆破シーンが登場する中でも、今なお一流のエンターテイメントとして観ることが出来る理由のひとつかもしれない。
ところで当時、どんな通信回線を使っていたのだろうか…
ナンバープレートの照会以外にも、警視庁・警察庁のデータベースにアクセスすることで、声紋分析も車内でできるなどとしている。
しかし改めて考えてみると、マシンRSとデータベースとの間は、今の5Gのような高速のデジタル回線もない時代。当時ようやく自動車電話(アナログ回線:西部警察の各マシンにはしっかり装備済!)が市販化され始めた中で、果たしてどのようなインフラを使っていたのかを考えると、夜も眠れなくなってしまう…。
西部警察パートIIIでマシンRSは3台体制に! 追加2台はターボRSだが3号車だけはノンターボのまま継承
その後、西部警察パートIII第16話「大門軍団フォーメーション」にて、マシンRS-1とマシンRS-2がデビューする。この時、マシンRSとしてすでにデビューしていた車両は“マシンRS-3”に再改造された。
当時、ベースのスカイラインRSにはFJ20型エンジンにターボが追加されており、RS-1とRS-2は当時最新のターボエンジン仕様が採用。以前から活躍していたマシンRSをベースに改造されたRS-3のみ自然吸気エンジンのまま残され、搭載エンジンの仕様は異なる。
それぞれ異なる役割分担がある3台のマシンRS
3台体制になったマシンRSには、それぞれ違った役割分担が任されていた。
RS-1が“攻撃・戦闘指揮車”となり、RS-2が“情報収集車”、そしてRS-3は“情報分析車”。
それにしても警察車両で攻撃・戦闘指揮車というのは、いま改めて確認しても、かなり物騒に見えてしまう。
ちなみに、RS-3には主にイッペイ(平尾 一兵/峰 竜太)とジョー(北条 卓/御木 裕)が乗車していた(この組み合わせがマストというわけではない)。
運転はおもにジョーが行っていたのだが、イッペイや、ベテラン格のチョーさん(南 長太郎/小林 昭二)も運転することがあった。チョーさん(おもにRS-2に乗車)やイッペイなど、イメージとして、運転がそれほど上手くないキャラクターにも、あえてステアリングを握らせることで、何かと硬派イメージの強かったRSのイメージを少しでも和らげようしたのではないかと、西部警察ファンの間では語られている。
新型6気筒エンジン登場前夜、4気筒のFJエンジンには当時のマニアの間で賛否両論あった
マシンRSのベースとなるスカイラインRSは、GTシリーズが直列6気筒エンジンを搭載し“直6=スカイライン”イメージが強いなかで、当時としてはめずらしいマルチバルブを採用するDOHCという高性能エンジンなのだが、直列4気筒であった。そのため当時一部のスカイラインマニアの間では“ビミョー”な空気が流れたとの話も聞いている。
その意味では、当時大ヒットしていた西部警察の劇中車として積極的に採用していくことで、そんなビミョーな空気を払拭したかった想いもあったのかもしれない。
なおスカイラインRSシリーズは1983年のマイナーチェンジで、その後“鉄仮面”とも呼ばれるグリルレス風マスクを採用し、大きくイメージを変えている。
しかしスカイラインにおけるFJ型エンジンの搭載は6代目限り。FJエンジン自体も短命に終わっている。
(文中敬称略)
[筆者:MOTA編集部 劇中車研究班/撮影:MOTA編集部/日産自動車/株式会社石原プロモーション/製作著作:株式会社石原プロモーション/取材協力:ポニーキャニオン・株式会社トミーテック]
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