日産 セレナ 試乗レポート(2/4)

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:オートックワン編集部/茂呂幸正
日産 セレナ 試乗レポート
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さらに磨きが掛けられた新型セレナの居住性と使い勝手

まず新型セレナの概要だが、ボディの基本部分は先代型と共通だ。

プラットフォームの造り、床の高さ、ホイールベースの数値、シートのサイズ、前後のシート間隔などは先代型を踏襲している。ボディサイズの違いも、全高が25mm下がった程度だ。

この点を踏まえてライバルのミニバンと比べると、5ナンバーモデルでは居住性が最も優れている。この居住性は先代型と同じだから、3年間連続してミニバン販売の第1位という実績に繋がった。

新型セレナハイウェイスター
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ステップワゴンやヴォクシーと比べて、1列目と2列目に大きな違いはないが、3列目では明確な差が付く。セレナの3列目は座面の奥行を十分に確保して、足元空間も広い。

2列目と比較すれば床と座面の間隔が不足しているが、ライバル車よりは快適だ。つまり、3列目の造りがセレナの5ナンバーミニバン居住性ナンバーワンを決定付け、ミニバン販売トップの地位も可能にした。

では、先代のセレナと新型セレナを比べるとどうだろう。

シートのサイズや車内の広さは同等でも、新型は座り心地が向上している。各シートとも座った時の座面のたわみ方を改善し、ボリューム感を持たせている。さらに1列目は、座面前端の形状を変更し、膝の裏側までしっかりとサポートしてくれる。

5ナンバーミニバンでありながら、大人6名が乗車しても快適なのが新型セレナだ。

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インパネ周辺の質感にも注目したい。

滑らかな曲線で構成され、先代型では動きが渋く感じたATレバーも、操作感が滑らかになった。メーターの視認性も大幅に向上。奥まった高い位置に移され、前方からの視線移動が少なくて済む。ドライバーとの距離が離れたから、目の焦点移動も抑えられている。私を含めて老眼のユーザーにも優しい配慮だ。

なお、このメーターの配置は外観の変化と密接に関わっている。新型セレナは先代に比べると、フロント側のピラー(柱)とウィンドウの付け根を前進させ、角度を寝かせた。エスティマなどが採用する卵型の「ワンモーションフォルム」に近づけている。

このボディスタイルを採用すると、フロントウィンドウの付け根が前に出たことで、インパネ上面の奥行が増す。新型セレナは、この空間を利用してメーターをドライバーから遠ざけた。

ドライバーの目の動きに向けた配慮としては、優れた視界にも注目したい。

サイドウィンドウの下端を低く抑え、クルマの周囲がとても見やすい。新型では斜め前に装着された三角窓を拡大し、フロントピラーを寝かせながら、右左折時の視界を損なっていない。

視線の高いハイルーフミニバンは、遠方が見やすい半面、ボディ側面の死角は増す。そこで各種のモニターが発達したが、セレナは先代型を含め、ドライバーの目で直接確認することに重点を置いてきた。これもミニバン販売の第1位になった秘訣だ。

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視界を確保する一環として、新型セレナでは3列目シートの格納方法も変更した。

先代型は左右に跳ね上げたシートが3列目のサイドウィンドウを塞ぎ、斜め後方の視界を遮ったが、新型は低い位置で収まる。3列目を格納しても後方が見やすいのだ。

そして、この格納方法は3列目の使い勝手も高めている。高い位置に跳ね上げた先代型と違って、自転車を積む時でもハンドルが格納されたシートに干渉しにくい。併せて、格納に要する操作力も大幅に軽減。リンクを介した複雑な構造を採用し、片手で持ち上がる。

視界と使い勝手の両立は、セレナらしい配慮だ。

このほかシートアレンジも多彩。先代型と同様、2列目の中央部分は長いスライドレールによって1列目との間を往復できる。新型では中央部分の機能が向上。アームレストやテーブルとして使えて、内部は収納ボックスになる。

以上のように、新型セレナの居住性や使い勝手は、先代型をベースにさらなる磨きを掛けた。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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