日産 新型セレナがバカ売れ! ユーザーが気になる3つのポイントを徹底チェック(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:和田清志・茂呂幸正
新型セレナで気になるポイントその2、燃費や走行性能はどうなの!?
新型セレナの走りについても触れておきたい。
動力性能は、高速道路や峠道の登坂路では、少し力不足を感じる場面がある。セレナは背の高いミニバンで、シートの長いスライドレールなども装着するために車両重量が1600kgを超える。エンジンは5ナンバーサイズに抑えるために2リッターだから、どうしても登坂力や加速性能が低下しやすい。それでも背の高いミニバンの平均水準には達している。
走行安定性は満足できる。前述のようにセレナはライバル車に比べて床が高く、高重心になっている。安定性を確保するために操舵感は鈍めだが、不安定な挙動には陥りにくい。ハイウェイスターは足まわりの設定が異なり、標準ボディに比べると操舵に対する反応が若干ではあるが機敏になっている。
乗り心地は先代型に比べると粗さが払拭されて快適性を高めた。ハイウェイスターは標準ボディに比べて少し硬めに感じるが、密度感があって路面のウネリを乗り越えた後の収まりが良い。標準ボディとハイウェイスターで操舵感や乗り心地を比較して、好みに合う方を選ぶ買い方もあるだろう。
気になる燃費だが、新型セレナの燃費は17.2~16.6km/L(FFモデル・JC08モード燃費)。多めに見積もって実燃費を8掛けと見ると、おおよそ14~13km/Lとなる。大人2名乗車での近距離テストのためあくまで参考値だが、実際そのくらいの数値が出たことを確認している。
ただし多目的用途に供されるミニバンだけに、乗員数や荷物の有無により燃費も大きく異なる性質のモデルであることは言うまでもない。本格的なハイブリッド仕様や、(今のところその計画はなさそうだが)ミニバンの特性にも向いているディーゼルエンジン搭載車の復活にも強く期待したいところだ。
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好調な受注だが納期は比較的早い
日産 新型セレナは受注が好調だが、納期が遅延することはなく、契約から早くて約1か月で納車できる。特定のグレードやオプション装備を加えたことで、納期が遅れる心配もない。新型車でも通常の納期で買えるのは好ましい。
ディーラーローンの金利は、車両価格の全体を返済するフルローンが年率5.5%、数年後の残価(残存価値)を除いた金額だけを返済する残価設定ローンは年率4.9%だ。金利設定としては若干低く、ユーザーの負担を軽減している。
残価設定ローンの残価率(新車価格に占める残価の割合)は3年後で47%。メーカーや車種によっては50%を超える残価もあるが、47%でも悪くない。
日産の残価設定ローンは、返済終了時に車両の時価が想定された残価を下まわった場合(ユーザーが規定以上の走行をしたようなケースを除く)、販売会社ではなく日産フィナンシャルサービスの負担になる。そのために日産の残価設定ローンは、危険負担を考慮して残価率が少し低い。
新型セレナの値引きは今いくら!? ライバル車との競合など気になる購入術を伝授
値引きは新型車だから多額ではないが、大量に売る必要のある車種だけに条件は比較的良い。他社でも強力なライバル車(ヴォクシー/ノア/エスクワイアやステップワゴンなど)が控えていることもその要因だ。さらにミニバンのユーザーは、子供が就学年齢に達し、なにかと出費の多いファミリー層が中心。コストにはことのほかシビアだ。
そんな諸々の要因が重なって、デビュー直後の新型車だと言っても、値引き対応しないとならない面もある。
したがってセレナを買うなら、ライバル車のヴォクシー/ノア/エスクァイア、ステップワゴンとの値引き競争が効果的だろう。
セレナ攻略のカギは「セレナ」にあり!?
さらに日産の場合、全店が全車を扱う今でも、同じ地域に資本系列の異なるディーラーが混在している。持株会社が統括する地域もあるが「○○日産」と「日産プリンス○○」は別会社ということが多い。したがって資本系列が異なる日産ディーラー間で、セレナ同士を競わせることも可能だ。加えて都府県境近くに住んでいる場合には、隣県のディーラーも比較対象になる。
さて新型セレナの値引きだが、デビューからわずか2か月の2016年10月時点で早くも都市部を中心に20万円超えの値引き額を得たとの声が聞こえてくる。ただしこれはオプション装備品の有無によってもかなり上下する。
なお下取り車がある時には査定額も競わせることも重要だが、その際には買い取り専門店などとも比較したい。新車ディーラーの見積もりでも[値引き額]と[下取り査定額]を明確に分けよう。下取りがない場合との見積もり比較でその差が明確になる。ここは案外あいまいにされてしまう部分だからシビアに行こう。
クルマを買う時から家族の思い出が始まるのだ
クルマは買ったら最後ではなく、むしろ購入後もユーザーとセールスマンの付き合いが長く続く商品だ。程度をわきまえながらも、最終的にトクする商談をされるのが良いと思う。
なお、セレナをファミリーで使うなら、試乗は家族全員で行いたい。乗り心地、座り心地、乗降性などは人によって感じ方が異なるからだ。ディーラーも子供連れや奥さん連れを想定したお土産を用意したり、キッズスペースや授乳室などを設けたりもしている。
みんなで試乗してセレナの話題で盛り上がり、買う時から家族の楽しい思い出を作って欲しい。
[レポート:渡辺陽一郎/Photo:和田清志・茂呂幸正]
NISSAN SERENA G[FF] 主要諸元
全長x全幅x全高:4690x1695x1865mm/ホイールベース:2860mm/車両重量:1680kg/駆動方式:前輪駆動(FF)/乗車定員:8名/エンジン種類:「MR20DD」型 直列4気筒 DOHC 16V ガソリン直噴エンジン+「スマートシンプルハイブリッド」(S-HYBRID)/総排気量:1997cc/エンジン最高出力:150ps(110kW)/6000rpm/エンジン最大トルク:20.4kgf-m(200N・m)/4400rpm/モーター種類:交流同期電動機/モーター最高出力:2.6ps(1.9kW)/モーター最大トルク:4.9kgf-m(48N・m)/モーター動力用主電池:鉛酸電池/トランスミッション:エクストロニックCVT(自動無段変速機)/燃料消費率:16.6km/L[JC08モード燃費]/タイヤサイズ:195/65R15 91S/メーカー希望小売価格:2,847,960円[消費税込]
※試乗・撮影車(ボディカラー:アズライトブルーの車両)には、ラインオプション(メーカーオプション)日産オリジナルナビ取付パッケージ/セーフティパックB/プレミアムインテリア/前席クイックコンフォートヒーター付シート/寒冷地仕様の計396,360円とディーラーオプションの9インチツインモニタースペシャルパック/フロアカーペット(エクセレント、合計451,504円を装着。
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