日産 セレナの新シリーズ”AUTECH(オーテック)”を知らないなんてもったいない!AUTECHブランド徹底解説

  • 筆者: 小鮒 康一
  • カメラマン:原田淳・島村栄二・株式会社オーテックジャパン 協力:株式会社オーテックジャパン

日産 セレナAUTECH(オーテック)って知ってる?

日本のミニバンの人気ランキング上位に常に位置し続ける日産セレナへ、2018年2月「AUTECH(オーテック)」シリーズが新たに追加された。

“大人のための、美しきプレミアム”というカタログコピーの通り、標準車と大きく異なるエクステリアや、スエード素材をふんだんに使用したシートを始めとしたインテリア、そしてAUTECHのイメージカラーとなるブルーを、ステッチなど随所にちりばめているのが特徴だ。

もちろん、パーソナルテーブルや各座席に用意されるUSB電源ソケット、ハンズフリーオートスライドドアなど、人気の装備は標準装備となっており、名実ともにセレナのトップグレードと言っても差し障りないだろう。それでいて標準車の人気グレードであるハイウェイスターVセレクションの293万4360円に対して、セレナAUTECH V Packageは311万1480円と、それほど価格差がないのも特筆すべき点と言えるだろう。

また、セレナAUTECHには、標準車にも追加された「e-POWER」(382万1040円)や、ボディ補強や専用チューニングサスペンション、専用17インチアルミロードホイール、専用チューニングコンピューターなどを装着した「SPORTS SPEC」(356万7240円)も用意され、幅広いニーズに対応しているのも嬉しいポイントだ。

>>セレナAUTECH SPORTS SPECのすべてを画像で見る

セレナAUTECHとセレナNISMOの違いは?

セレナのスペシャルバージョンと言えば、2017年11月に追加された「NISMO(ニスモ)」を思い浮かべる人も多いだろう。詳しい違いについては後述するが、NISMOがピュアスポーツという位置づけで、AUTECHはプレミアムスポーティという位置づけで棲み分けが明確に分かれており、それぞれ狙っているゴールが異なっている。

そのため、セレナAUTECHのベースはセレナ Xだが、SPORTS SPEC以外のグレードに関して、サスペンションなどの走りに関わる部分はセレナ ハイウェイスターと同様のものが使用されているのだ。

これまでのオーテックバージョンとの違いは?

過去にもオーテックジャパンが手掛けたスペシャルモデルとしての「オーテックバージョン」は存在していた。

中でも有名なのが1992年に登場した「スカイライン オーテックバージョン」だろう。4ドアセダンのスカイラインに、GT-Rに搭載されていたRB26DETT型エンジンをベースに、自然吸気化するなどのスペシャルチューンを施したモデルだった。

これ以外にもセフィーロやパルサー、シルビアなど、以前のオーテックバージョンというと少量生産のスペシャルチューニングモデルのイメージが強かった。

しかし、2017年の組織変更で、オーテックのブランドはプレミアムスポーティブランドへと新たに舵を切ったのである。

新AUTECHブランド設立の背景

2017年4月の組織変更で、新たにオーテックジャパン内にNISMOロードカーの企画・開発にかかわる機能を集約した「ニスモカーズ事業部」が設立されたことで、オーテックブランドの強化・刷新を図り、両ブランドのキャラクターをより強調することになる。

そこで誕生したのが新生AUTECHブランドだ。

スポーツ性を強調するNISMOブランドに対し、AUTECHブランドはプレミアムスポーティを標榜。東京オートサロン2018でもイメージカラーのブルーを纏ったセレナ、ノート、エクストレイルのAUTECHコンセプトモデルが展示されたのも記憶に新しいところだろう。恐らく、AUTECHブランドの第2弾、第3弾として、これらの車種が今後登場するハズだ。

日産 セレナAUTECHがアツイ!

そんなAUTECHブランド第1弾として、セレナAUTECHが2018年2月に登場した。セレナAUTECHのラインナップにはe-POWERも存在するが、今回はガソリンエンジン仕様に絞ってご紹介したい。

エクステリア

実は、セレナAUTECHのベースとなっているのは「セレナ X」である。そう、エアロパーツが装着されない標準車なのだ。その標準セレナをベースにハイウェイスター同等のエアロパーツを纏い、さらにAUTECH専用の加飾を施しているのだから驚きだ。

リアバンパーはAUTECH専用品となり、SPORTS SPECとSafety Packageにはバンパー一体式となる専用マフラーも装着。リアビューからも明確にAUTECHであることを静かに主張している。

外観の一番のアクセントになっているのは、大きな専用フロントグリルだろう。グリルにほどこされたドットは上に行くほどサイズが大きくなっており、グリル内に付けられた「AUTECH」エンブレムはそのドットが写り込まないように計算されて装着されているというこだわりっぷりだ。

さらに、メッキもグリル部分はダーク調のメッキを採用し、センターに装着される日産マークの存在が同化してしまわないようにしている点も見逃せない。

また、アルミホイールもグレードによって15インチ、16インチ、17インチの3種類が用意されるが、どれも専用デザインとなっており、ここでもAUTECHのプレミアム度を感じ取ることができる。

ボディカラーはツートーンカラーを含めた全8色が用意される。東京オートサロンで展示された車両が纏っていたカラーは残念ながらスペシャルカラーということで設定がなかったが、イメージカラーの青系が2色用意されるなど、選ぶ楽しみがあるのも嬉しい。

インテリア

セレナAUTECHの真骨頂ともいえるのが内装だろう。AUTECHの刺繍が入ったクリスタルスエードシートは、その専用の表皮パターンが特別感を演出している。そして、ドアトリムやインストパッドにもスエード調の生地を採用しており、常に目に入る部分なだけに、所有する歓びを乗るたびに感じ取れるだろう。

さらにシートやステアリング、インストパッドのステッチには新生AUTECHのイメージカラーであるブルーを採用。さりげない部分でもAUTECHであることをアピールしているのだ。

また、SPORTS SPECとSafety Packageの4WD車には、AUTECH専用本革インテリアがオプション設定される。これを選択すると、シートがブラックレザーに、そしてドアトリムやインストパッドがレザー調になり、よりプレミアムスポーティにふさわしい内装になる。

標準のセレナでは本革シートの設定がないことからも、セレナAUTECHのプレミアム感がお分かりいただけるだろう。

グレード体系と特徴

e-POWERを除くガソリンエンジン仕様のセレナAUTECHのグレード体系は大きく分けて4種類。

一番ベーシックな「セレナAUTECH」、LEDヘッドライトや両側ハンズフリーパワースライドドアなど装備が充実した「V Package」、SRSカーテンエアバッグやインテリジェントアラウンドビューモニターなど安全装備と専用マフラーが標準装備となる「Safety Package」、プロパイロットが標準となり、さまざまな専用チューニングが施された「SPORTS SPEC」のラインナップとなる。

NISMOとは違う!セレナAUTECH SPORTS SPECは大人プレミアムな乗り心地

セレナAUTECHのラインナップの中でも、やはり注目度が高いのが、専用チューニングの施されたSPORTS SPECだろう。

ボディ下部に9点(フロントクロスバー、フロントサスペンションメンバーステー、センタークロスバー、 センターサブメンバー、センターサブメンバーブラケット、センターアンダーブレース、 リヤクロスバー、リヤサブメンバー、リヤサブメンバーサポート)の補強パーツを装着し、専用サスペンション、専用チューニングコンピューター、専用パワーステアリング、専用VDCに205/50ZR17 93Yタイヤ(ミシュラン PILOT SPORT 4)&専用17インチダークグラファイトフィニッシュアルミロードホイールと、専用パーツが数多く装着されている。

実はこの補強や足回り、チューニングコンピューターは、すでに登場しているセレナNISMOと同じものが使われている。それだけ聞くと「なんだ、使いまわしか」と思ってしまうかもしれないがそれは誤解で、プレミアムスポーティを目指す上でさまざまなセッティングを比較した結果、NISMOと同じセッティングに落ち着いたというのが正解なのだ。

その証拠に装着タイヤが、セレナNISMOはブリヂストン POTENZA Adrenalin RE003なのに対して、セレナAUTECH SPORTS SPECはミシュラン PILOT SPORT 4となる。セレナNISMOのタイヤは“アドレナリン”の名が表す通り、グリップも剛性も高い明確なスポーツタイヤなのに対し、セレナAUTECH SPORTS SPECは、グリップ力は高いものの、角の取れた腰のある乗り心地となっているのだ。

正直、タイヤだけでこれほどクルマの印象が変わるのかとビックリしてしまうレベル。SPORTS SPECという名前に躊躇せず、ぜひ一度乗ってもらいたい仕上がりだ。

セレナAUTECHは欧州車好きな人におすすめ

プレミアムスポーティという名前に相応しい質感を持ち合わせたセレナAUTECHは、欧州車を乗り継いできた目の肥えたユーザーにこそ体感してもらいたい車両に仕上がってる。

特にSPORTS SPECは、芯がありながら角の取れた上質な乗り味が印象的。これなら「ミニバンが欲しいけど欧州車にはそういった車種がなくて…」とお悩みの欧州車ファンに自信をもってオススメできる1台だと言える。

グレード名がSPORT SPECという名前だけに、乗り心地の点で身構えてしまう人もいるかもしれないが、どちらかというとグランドツーリングカー的な仕上がりになっているので、後部座席の乗員からクレームがくることもないだろう。

[TEXT:小鮒康一/PHOTO:原田淳・島村栄二/協力:株式会社オーテックジャパン]

日産 セレナAUTECH SPORTS SPECの主要スペック

日産 セレナAUTECH SPORTS SPEC(2WD)の主要スペック

駆動方式

2WD(FF)

トランスミッション

エクストロニックCVT(無段変速機)

価格(消費税込)

356万7240円

全長

4810mm

全幅(車幅)

1740mm

全高(車高)

1850mm

ホイールベース

2860mm

乗車定員

8人

車両重量(車重)

1740kg

エンジン

「MR20DD」型直列4気筒DOHC16Vガソリン直噴エンジン+「スマートシンプルハイブリッド」(S-HYBRID)

排気量

1997cc

エンジン最高出力

150ps(110kW)/6000rpm

エンジン最大トルク

20.4kgf-m(200N・m)/4400rpm

モーター最高出力

2.6ps(1.9kW)

モーター最大トルク

4.9kgf-m(48N・m)

タイヤサイズ

205/50ZR17

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

小鮒 康一
筆者小鮒 康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後に急転直下でフリーランスライターへ。国産旧車に造詣が深いが、実は現行車に関してもアンテナを張り続けている。また、過去に中古車販売店に勤務していた経験を活かし、中古車系の媒体でも活動中。最近では「モテない自動車マニア」の称号も獲得。記事一覧を見る

MOTA編集部
監修者MOTA編集部

MOTA編集部は自動車に関する豊富な知識を持つ専門家チーム。ユーザーにとって価値のあるコンテンツ・サービスを提供することをモットーに、新型車の情報や、自動車の購入・売買のノウハウなど、自動車に関する情報を誰にでも分かりやすく解説できるように監修しています。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!

新車・中古車を検討の方へ

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

日産 セレナの最新自動車ニュース/記事

日産のカタログ情報 日産 セレナのカタログ情報 日産の中古車検索 日産 セレナの中古車検索 日産の記事一覧 日産 セレナの記事一覧 日産のニュース一覧 日産 セレナのニュース一覧

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる