日産の自動運転が示す自動車の壮大な未来予想図 ~日産「IDSコンセプト」徹底解説~(2/5)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:日産自動車・オートックワン編集部
実際、すでに市販されている快適装備には、路上の白線に合わせて電動パワーステアリングにアシスト・トルクを与えるタイプがある。クルーズコントロールの発展型として、ハンドル/アクセル/ブレーキの運転支援(自動運転ではなく支援)であれば、5年後の実現も不可能ではないだろう。
ただし今のクルーズコントロールは、ペダル操作は自動でも、ステアリングはドライバー自身が操作するから「運転している自覚」を持てる。ステアリング操作まで自動になると、運転支援のスーパークルーズコントロールでも、実質的には助手席に座っているのと同じだ。激しく眠くなるだろう。開発者にそこを尋ねると「ドライバーの注意が散漫になっていることを警告する機能などが必要になる」とのことであった。
「手動から自動運転へ」の過渡期は、思った以上に長く続く!?
一方、完全な自動運転を実現するにはインフラの整備も行わねばならず、「手動から自動運転へ」という過渡期の時代が相当に長く続く。だからインパネがトランスフォーマーのように切り替わることはないにせよ、2つの操作方法に対応せねばならない。
この手動と自動を兼ね備えた機能は、「自動車の魅力」に迫ることになりそうだ。
元来の(自分で運転する)「自動車」は、ドライバーの肩幅がまるで車両の全幅まで拡大されたような一体感を得られる機械で、このように積極的に自ら操れる楽しさこそ、自動車の根源的な魅力である。
その一方で、自動運転モードがあれば、ドライバーが疲労している時にも、自動車は癒しの空間となって目的地まで優しく移動してくれる。
日産 IDSコンセプトのMD/PDモードは、このユーザーの気持ちに合わせた自動車の二面的な効能を、さらに強めるだろう。
[過去のコンセプトカーから受け継がれていた、意外な思想・・・次ページへ続く]
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