日産 ジューク デザイナーインタビュー/プロダクトチーフデザイナー 渡辺誠二(2/3)
- 筆者: 森口 将之
- カメラマン:オートックワン編集部
大事なのはクーペライクに見えること
AO:日産らしさにこだわった部分があれば教えてください。
W:グリルがワイドで、中央にU字型のメッキが入るのはムラーノやデュアリスと同じです。サイドビューでいうと、ルーフが下がってCピラーがキュッと跳ね上がったシルエットには、ZやGT-Rの要素が入っています。
ブーメラン型のリアコンビランプもZに通じるものです。どこかのグラフィックを似せることはせず、シンプルかつピュアにスポーツカーらしさを表現しました。
AO:ヘッドランプが上下に分かれているのは?
W:小さいのに強いプレゼンスを持ったクルマを作ろうと考えました。目線が高いと、自信に満ちた表情を作りやすいのです。法規的にはメインランプをここまで高い位置には持ってこれないので、グリルにサークルランプを埋め込みました。
丸にしたのは、ラリーカーのフォグランプのように、洗練された面のなかに大胆についているという表現を狙い、上とのコントラストをつけたのです。でもどこが目ですか?と聞かれたらもちろん上になるでしょうね(笑)
AO:サイドのフェンダーラインには圧倒されてしまいました。
W:ここも、どんなラグジュアリーカーがきても、ボリュームで負けないようにしようとしたのです。脱ヒエラルキーへのこだわりですね。
フェンダーは足腰を示すので、サッカー選手のように筋肉がつき、腰まわりがしっかりして、タックルを食らってもぐらつかないような強い下半身をイメージしました。
AO:これからは「背の高いクルマがスポーティ」になるということでしょうか?
W:いえ、低いクルマはなくならないと思っています。ただBセグメントでスポーツカー風に低く座らせたら、リアシートが使えなくなってしまいます。4人がちゃんと座れるスペースも大切です。
そのなかで、スポーツカーっぽくするために、センターコンソールを旧型GT-Rと同じレベルまで高くしました。ウエストラインも囲まれ感を強調して上げ、ステアリングはアップライトにならないよう角度を調節しています。
Aピラーを後ろに引いたことも大切です。インパネの奥行きの短さと合わせて、スポーティさを表現できたと思っています。
AO:ヒドゥンタイプのリアドアヒンジは日産ではテラノ以来ですね。
W:そうなんです。でも実は社内からはすごい反対食らったんですよ(笑)なんで共用部品を使わないんだと。でもこのフェンダーにはドアハンドルなんか付かないじゃないですか。
それ以上に大事なのはクーペライクに見えることでしたから。ただ小さい子供が乗るときに手が届かないと困るので、当初の設計より下げています。
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