50年以上続く唯一の国産スポーツカーブランド “日産 フェアレディZ”を振り返る【初代S30型~3代目Z31型編】
- 筆者: 遠藤 イヅル
- カメラマン:NISSAN・MOTA編集部
日本車の中には、初代の登場から50年以上を経ているクルマも数多い。ところが思いのほか、デビュー時の名前を継承する車種は少ない。1969年に誕生した日産 フェアレディZは、その名を残す貴重な一台だ。次期モデルの発表も話題となっており、その存在感は年々増しているように思える。
そこでこの記事では、フェアレディZの52年を2回に分けて振り返りたい。まずは、初代(S30型)から3代目(Z31型)までを見てみよう。
ロングノーズの近代的スポーツカーとして生まれ変わった初代 “Z”(S30型)[1969~1978]
国産名車の筆頭にあげられる初代フェアレディZ(S30型)は、1969年に登場した。実は「フェアレディ」という車名自体は、1960年のフェアレディ1200(SPL212型)から出現していた。
これはオープンスポーツカー・ダットサン スポーツ(S211型)の改良版だった。1962年にはフルモデルチェンジを経てフェアレディ1500に発展。最終モデルのフェアレディ2000(SR311型)では145PSを発生する2リッターエンジンを搭載した。しかし機構的にはブルーバードのラダーフレーム、リーフ式リアサスペンションなど古い設計のままだった。
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モノコックボディと全輪独立懸架で、一気に近代化された初代フェアレディZ
しかし初代フェアレディZでは内容を一新。ロングノーズ・ショートデッキのクローズド・ボディはモノコックに、サスペンションはストラット式の全輪独立として一気に近代化。テールゲートも備えていた。
エンジンも海外のGTカーにも負けないSOHCツインキャブの2リッター直6を搭載。なんとスカイラインGT-R用の名機「S20型」を積んだグレード「432」も販売していた。
1971年には輸出用だった2.4リッターを載せたが、中でも「G(グランド)ノーズ」を装着した「240Z-G」は、オーバーフェンダーの迫力も相まって、今なお高い人気を誇る。その後432をカタログから落とし、4人乗りの「2by2」の追加、海外では2.6/2.8リッター版の設定・排出ガス対策の改良などを行い、1978年まで生産された。
初代フェアレディZは、流麗なデザイン・性能のみならず実用性も高いエンジンを持ちながら安価だったことから、北米市場をメインに大ヒットを記録。54万台も作られ、それまでの古典的な英国製小型スポーツカーをアメリカから駆逐してしまった。
キープコンセプトで正常進化 初のターボを初搭載した2代目(S130型)[1978~1983]
2代目フェアレディZ(S130型)は、外観を見てもお分かりの通り、初代のキープコンセプトで登場。北米市場を強く意識して開発されたボディは、初代とよく似るが新設計で、大きな違いは幅の拡大。リアサスペンションもセミトレーリングアームに変更され、当初から2.8リッターをカタログに載せていた。
ダッシュボードセンターに初代の3連メーターのイメージが残されたが、内装全体ではラグジュアリーな雰囲気も加味されていた。1980年のTバールーフ仕様追加では、そもそもアメリカの香りが強い2代目フェアレディZを、さらにアメリカ車風に見せた。
1981年にマイナーチェンジされ、前後バンパーをカラード化して近代化。
モデル末期の1982年になってアメリカで2.8リッターターボ、日本で2リッターターボ「200Z-T」を設定し、さらなる高性能化も果たしている。
オーバー200馬力! 高性能スポーツカーを目指した3代目(Z31型)[1983~1989]
フェアレディZは1983年にフルモデルチェンジを行い、3代目(Z31型)に。5年ぶりとなる新型は、フォルムこそロングノーズのフェアレディZらしいスタイルだったが、初代・2代目と続いた丸目2灯から矩形にチェンジ。直線基調も取り入れてモダンに大変身。3代目では、欧州製のスポーツカーに比肩できる性能の獲得が図られた。そこで選ばれたパワーユニットは2リッター&3リッターのV6ターボエンジン。前者は170PS、後者は230PSを発生し、欧州では最高速度250km/hオーバーも達成した。その一方で1985年には、新開発の直6ツインカムターボエンジンを搭載した「200ZR」も生まれた。
1986年にはマイナーチェンジが行われ、日産の北米デザインセンター(NDI)によって角が取れたスタイルにリデザインされた。この改良ではフェンダーまで変更しており、印象を一変することに成功した。この際、3リッターV6ツインカムの「300ZR」も登場している。パワーは190PS止まりだったが、ノンターボの大排気量ツインカムエンジンを積んだ300ZRは、新しいフェアレディZの帰還として君臨した。
次回も引き続き、Z32型から現在に至る “フェアレディZ・ヒストリー” をお送りしたい。
[筆者:遠藤 イヅル/撮影:MOTA編集部・NISSAN]
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