モルフォ、自動車向けに一つのRGBカメラで距離推定を可能にする技術『Morpho Distance Scanner(TM)』を提供開始


ADAS・自動運転の未来を加速させる、単眼カメラによる距離測定技術

株式会社モルフォ(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:平賀 督基、東証グロース市場:3653、以下 モルフォ)は、RGBカメラ1台のみで距離推定を可能にする新技術『Morpho Distance Scanner(TM)(モルフォ・ディスタンス・スキャナー)』の提供を開始しました。




本技術は、ADAS(先進運転支援システム)および自動運転領域において、LiDARやステレオカメラ、ソナー、ミリ波レーダーに代わる新たな距離推定ソリューションとして、車載カメラシステムの低価格化・高機能化に貢献します。
すでに自動車に搭載されているカメラを活用できるため、ハードウェアの追加なしで高度な距離推定機能を導入することができます。ADAS機能の強化を図るOEMやTier1サプライヤーにとって、実装しやすく即戦力となるソリューションです。
また、本技術はスマートフォンやロボティクス分野など、車載以外にも応用できる高い拡張性を備えています。



上段左:元動画
下段:距離推定結果(対象までの距離をヒートマップで表示)
上段右:鳥瞰図(ピクセルごとの推定距離から作成した15m x 20mの鳥瞰図。鳥瞰図が崩れていないことは、距離推定の精度が高いことを示しています。青色部分は元動画に映っていない部分。)

開発の背景

自動運転やADASの高度化に伴い、自動車に搭載されるセンサーの数は年々増加しています。その中でも車両とその周囲の距離を正確に把握することは、安全性確保の観点から極めて重要な要素です。従来、距離推定にはLiDARやステレオカメラが用いられてきましたが、これらは高コストであり、中価格帯以下の車種への搭載は困難でした。また、設置スペースの制約や車両設計の自由度を損なう要因にもなっています。
こうした課題を解決するため、モルフォはRGBカメラ単体で動作するソフトウェアによる距離推定技術を開発しました。車両設計の柔軟性とコストパフォーマンスを両立しながら、安全機能の強化を実現します。

製品の特長

単眼カメラ距離推定『Morpho Distance Scanner(TM)』について
『Morpho Distance Scanner(TM)』は、RGBカメラで撮影された1枚の画像から、対象物までの距離を推定するソフトウェアです。追加のハードウェアを必要とせず、既存の車載カメラをそのまま活用することが可能です。
主な特長
- RGBカメラ1台で動作:距離推定を行うLiDARやステレオカメラ、ソナー、ミリ波レーダーの代替として利用できる
- 設置自由度が高い:カメラの位置や角度に厳密な調整は不要
- 2種類のモデルを用途に応じて選べる- 高精度モデル(3,000ms/1frame)- 高速モデル(33ms/1frame)
※測定条件:Nvidia社 Jetson AGX Orin
- リアルタイム処理に対応:自動車に搭載するため最大30fpsでの推論が可能
- SDV(Software Defined Vehicle)に最適:ソフトウェアアップデートによる機能追加が可能で、ハードウェアを変更することなく幅広い車種・プラットフォームに導入できる

精度評価

近距離(1-4m)と中長距離(5-30m)、それぞれの距離に対応するデータセットを用いて評価を行いました。以下のグラフは、カメラ撮像面と対象との距離について、真値に対する距離推定の相対誤差の平均値を示しています。
たとえば、対象までの距離が10mの場合、高精度モデルでは距離推定の相対誤差は3.8%で、これは平均して38cmほどのズレが生じることを意味します。中長距離全体(5-30m)では、相対誤差の平均は5.5%です。
今後は、データセットの強化やモデルのチューニングを進め、より多様な状況でも安定して高い精度を維持できることを目指します。
距離推定の相対誤差グラフ
- 高精度モデル





- 高速モデル





※近距離向けデータセットと中長距離向けデータセットで別々に評価を実施
※近距離(青色):深度カメラで取得されたデータを真値として評価
※中長距離(オレンジ色):LiDARで取得されたデータを真値として評価

今後の展望

『Morpho Distance Scanner(TM)』は、ADASや自動運転向けのリアルタイム距離推定システムとしての活用にとどまらず、車載映像の自動サマライズやアノテーション支援、検出・セグメンテーションなど他の認識モデルとの統合による精度向上といった、様々な応用が期待されています。さらに今後は、スマートフォンアプリやロボティクス、監視カメラなど、より身近な領域にも展開し、距離推定技術の活用範囲を広げていく予定です。
モルフォは、車載用途の枠を超えて、安全性と利便性を高める社会インフラの一部として本技術を進化させてまいります。
株式会社モルフォについて
モルフォは「画像処理/AI(人工知能)」の研究開発型企業です。高度な画像処理技術を組み込みソフトウェアとして、国内外のスマートフォン、半導体メーカを中心にグローバルに展開しています。また、カメラで捉えた画像情報をエッジデバイスやクラウドで解析する、AIを駆使した画像認識技術を車載や産業IoT分野へ提供し、様々なイノベーションを先進のイメージング・テクノロジーで実現しています。
所在地:東京都千代田区神田錦町 2-2-1 KANDA SQUARE 11階WeWork内
代表者:代表取締役社長 平賀 督基(まさき)、【博士(理学)】
設立:2004年5月26日
資本金:1,858,943千円(2024年10月31日現在)
事業内容:画像処理およびAI(人工知能)技術の研究・製品開発。スマートフォン・半導体・車載・産業IoT向けソフトウェア事業をグローバルに展開。
ホームページ:https://www.morphoinc.com/
Facebook:https://www.facebook.com/morphoinc
X:https://twitter.com/morpho_inc

お問合せ先
株式会社モルフォ 広報担当 佐藤
TEL:090-1051-0138
お問い合わせフォーム: http://www.morphoinc.com/contact
*モルフォ、Morphoおよびモルフォロゴは株式会社モルフォの登録商標または商標です。


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