トヨタ、ル・マン24でポール獲得!小林可夢偉が驚異的な速さでコースレコードを更新

ル・マン24 トヨタ7号車がポール獲得

6月15日、『第85回ル・マン24時間レース』の公式予選でトヨタのTS050 HYBRID #7号車を駆る小林可夢偉選手が3分14秒791という従来のコースレコード※を約2秒上回る驚異的なタイムでポールポジションを獲得した。

前日の予選第1回目に記録した自らのタイム3分18秒651から約4秒ものタイム更新で、最終的に2番手グリッドにつけたTS050 HYBRID #8号車にも2秒半の大差をつける大記録となった。

なお、日本人ドライバーでポールポジションを獲得したのは2014年の中嶋一貴選手以来2人目。

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ル・マン24 トヨタ7号車がポール獲得

小林可夢偉選手は、「チーム全員のおかげでこの結果が得られ、本当に感謝しています。100%のアタックが出来、思い通りの速さを示せました。TS050 HYBRIDも快調そのもので、最高のアタックラップでした。赤旗中断からの再開直後というタイミングも絶好で、コース上もクリアな状況であり、フルアタック出来ました。ポールポジションを獲得出来たことは本当に誇りに思います。とはいえ、まだ24時間レースはスタートしていません。重要なのは決勝レースの結果であり、それこそが我々の目標です」とコメントしている。

※ル・マン24時間レースが行われるサルト・サーキットは、24時間レースが始まった1923年に現在とほぼ同じレイアウト・距離になり、以後少しずつ形状を変えて現在に至っている。これまでの最速記録は1985年にポルシェ962のハンス・ヨアヒム・シュトック選手がマークした平均251.815km/hで、この記録はユノディエールにシケインが設置される前のもの。最高速が400km/hを越える車両が出始めたため、1990年、ストレート上に2カ所のシケインが設置された。シケイン設置後のベストラップは、2015年にポルシェ919のニール・ジャニ選手が記録した3分16秒887(平均249.2km/h)だった。今年、小林可夢偉選手はそのタイムを大幅に破るとともに、最速記録を更新(251.882km/h)したことになる。

◆予選総合結果 詳細

1位:#7 トヨタ TS050 HYBRID

2位:#8 トヨタ TS050 HYBRID

3位:#1 ポルシェ919ハイブリッド

4位:#2 ポルシェ919ハイブリッド

5位:#9 トヨタ TS050 HYBRID

◆トヨタ予選レポート

ル・マン24 トヨタ7号車がポール獲得

小林は予選第2回目が始まって1時間ほどで起きたアクシデントで赤旗中断になっていたセッションが再開してすぐ、コースがクリアな状況でタイミングよくタイムアタックを開始。ミシュランのミディアムタイヤを使用したTS050 HYBRID #7号車は1周13.629kmのコースで、まるでフォーミュラカーの様な走りを見せた。

トヨタにとってル・マン24時間レースでのポールポジションは、1999年のマーティン・ブランドル、そして2014年の中嶋一貴に続く3回目。

予選2番手にはTS050 HYBRID #8号車の中嶋一貴が、予選第3回目の序盤に3分17秒128をマークし続いた。しかし、TS050 HYBRID #8号車は、予選第2回目が始まってすぐ、セバスチャン・ブエミがタイムアタックを始めた直後に、ユノディエールの直線の終わりでスローダウン。原因はエンジンの不調で、ブエミはそこからTS050 HYBRID #8号車を電気エネルギーだけでピットまで持ち帰った。その後、大事を取ってエンジン交換が行われ、修復なったTS050 HYBRID #8号車はコースに復帰したが、その直後に他車のクラッシュによりセッションは再び赤旗中断となり、そのまま予選2回目は終了した。

小林の衝撃的なタイムの感動が覚めやらぬまま、10時から予選3回目が行われた。すっかり夜の帳が降りたコースで、まずTS050 HYBRID #8号車の中嶋がタイムを3分17秒128まで縮め、予選2番手のポジションを確実にした。TS050 HYBRID #9号車はニコラス・ラピエールのマークした3分18秒625がベスト・タイム。予選順位は2台のポルシェに続く5番手だった。#9号車は他の2台と異なり、国本雄資、ホセ・マリア・ロペスという2人のル・マン未経験ドライバーがラインアップに加わっており、予選セッションを通してナイトランの経験を積むことも忘れなかった。

決勝レースは、6月17日(土)15時にスタートを切る。

◆トヨタ予選結果

▽TS050 HYBRID #7号車:(小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ステファン・サラザン)

予選第2回目 : 1番手 (3分14秒791), 22周

予選第3回目 : 4番手 (3分19秒928), 28周

グリッド : 1番手 (3分14秒791)

▽TS050 HYBRID #8号車:(中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、アンソニー・デビッドソン)

予選第2回目 : タイム未計測, 4周

予選第3回目 : 1番手 (3分17秒128), 32周

グリッド : 2番手 (3分17秒128)

▽TS050 HYBRID #9号車:(ニコラス・ラピエール、国本雄資、ホセ・マリア・ロペス)

予選第2回目 : 4番手 (3分19秒889), 20周

予選第3回目 : 3番手 (3分18秒625), 31周

グリッド : 5番手 (3分18秒625)

アウディは2016年いっぱいでWECから撤退。フォーミュラEに本格参戦することを発表した。

各コメント

▽TS050 HYBRID #7号車ドライバー

マイク・コンウェイ

「可夢偉がスーパーラップを決めてくれました。全てが完璧でした。チームの皆と見守っていましたが、本当に凄いアタックでした。3分14秒台というのは信じられないタイムです。テストデーから可夢偉はここまでずっと速さを見せており、彼はやってくれると信じていました。」

ステファン・サラザン

「可夢偉はどのサーキットでも速さを持っているドライバーですが、今回は本当に、本当に速かったです。チームが献身的な努力によって、コースレコードを更新するだけの速さを持つTS050 HYBRIDを用意してくれました。チーム全員に感謝します。ポールポジションからスタート出来るのは素晴らしいことですが、それは過程にすぎず、真の目標へ向かって立ち向かわなくてはなりません。」

▽TS050 HYBRID #8号車ドライバー

中嶋一貴

「時間の経過と共にコースコンディションが徐々に向上して行くのが感じられた一日でした。トラブルがあり、我々は満足いく予選アタックが出来ませんでしたが、それでも2番手グリッドを獲得、チームの最前列独占という素晴らしい結果に貢献出来ました。決勝レースへ向けたTS050 HYBRIDのバランスには満足していますし、自信を持って決勝レースに臨めます」

セバスチャン・ブエミ

「トヨタにとって素晴らしい一日になりました。#7号車と可夢偉に祝福を送ります。コースレコードの更新は本当に素晴らしい結果です。チームは良い仕事をしてくれて、最終的な予選結果には満足しています。我々にとってはスムースに行った一日とは言い難かったですが、予選2番手というのは良いスタートポジションだと思います」

アンソニー・デビッドソン

「我々の#8号車は予選第2回目でエンジン交換を強いられ、順調なスタートではありませんでした。このトラブルは残念でしたが、その後は決勝レースでのペースに集中しながらも予選2番手を獲得出来ました。チームメイトがポールポジションを獲得したのは嬉しいですし、TS050 HYBRIDが最前列グリッドを占められたのも良かったです。可夢偉と#7号車のドライバー、チームスタッフを祝福します」

▽TS050 HYBRID #9号車ドライバー

ニコラス・ラピエール

「今日の予選はフラストレーションの溜まるセッションでした。再三、先行車に阻まれてタイムを伸ばすことが出来ませんでした。タイミングさえ良ければ、他の2台のTS050 HYBRIDに並ぶタイムも可能だったと思いますが、切り替えてレースに向けての準備に集中しました。いずれにせよ、チームが成し遂げた快挙をとても嬉しく思います」

国本雄資

「可夢偉さんとチームの快挙には心からおめでとうを言いたいと思います。我々の予選はとても難しいものでした。ニコラスが頑張ってくれましたが、遅い車に阻まれたのが最大の問題でした。ただ、自分自身の走りは、ラップを重ねる度に良くなっていると感じています。それにしてもTS050 HYBRIDは素晴らしい仕上がりです」

ホセ・マリア・ロペス

「チームのパフォーマンスには満足すると同時に仕事振りには大いに感激しています。ポールポジション獲得は素晴らしい偉業です。私はTS050 HYBRIDとコースに慣れることに集中しました。特に遅い車両をかわす術を身に着けることに集中しました。予選が終わった今、最も重要なのはレースでの結果です。日曜日午後3時のゴールが目標です」

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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