“ルーキー関口が魅せた”驚異の走りで今季2勝目!「クラッシュする覚悟で攻めた」【スーパーフォーミュラ第6戦】
全7戦で戦われている2016年のスーパーフォーミュラもいよいよ残り2戦となり、最終戦へ向けての山場となる一戦の舞台は東北、SUGOのテクニカルコースで行われた。今季のスーパーフォーミュラは、ここまでの5戦6レース(第5戦岡山は2レース制)で、全レース勝者が異なるという、大混戦の様相を呈している。
そして9月25日に行われた決勝レース。セーフティカー導入などの不運をはねのけて圧倒的な独走劇を繰り広げた関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が今季2勝目を挙げた。2位は中嶋大祐選手(NAKAJIMA RACING)、3位は野尻智紀選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が入った。
関口は自身のツイッターで「セーフティカーのタイミングが最悪で実質ビリになりましたが優勝できました。『カッチーン』きちゃって本気でクラッシュしてもいいから攻めまくりました。最後まで諦めない大切さ。自分自身に教えてもらいました!皆様、応援ありがとうございました。」とコメントした。
▼トヨタレースレポート
予選
24日(土)は午前中こそ日差しも見えていたものの、昼を過ぎると雲が空を覆い、気温25度、路面温度29度というドライコンディションで13時にノックアウト方式のQ1(20分間)が開始された。
セッション開始の5分ほど前からほとんどの車両がピットロードに並び、まずアタック開始。5周ほどして一旦タイムをマークしたところで全車ピットに戻った。残り7分ほどのところでジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)を先頭に再びアタック開始。ここで、ピットロードにいた小林可夢偉(SUNOCO TEAM LEMANS)にガレージから出てきた車両が接触。ピットウォールに押しつけられる形で2台は絡み合って停まってしまい、小林は車両にダメージを負うと共に、予選アタックのチャンスも失うこととなってしまった。
コース上ではタイヤの温まった各車がアタックを開始し、次々にタイムアップ。前日の専有走行から好調な関口がその速さを見せ、残り30秒ほどでトップタイムをマーク。また、午前中のフリー走行で5番手と好調な中山雄一(KCMG)が4番手と好タイムをマークした。
このQ1では、前戦レース2で初優勝を飾り、ランキング首位につける国本が僅か0.067秒及ばず17番手でまさかのQ2進出ならず。不運な接触で車両不調を抱えながらもまずまずのタイムをマークしていた小林だったが、最後の最後に押し出される形で僅か0.017秒及ばず15番手。ウィリアム・ブラー(KONDO RACING)が16番手でQ1敗退となった。
Q2(7分間)では、3周目に中嶋一貴がマークしたタイムを誰も上回れず。関口が0.07秒差の2番手、オリベイラが3番手で続いた。Q1で4番手に着けた中山は、Q2では僅かにミスをしたというものの、ここでも4番手と好タイム。今季初、自身のキャリアでもドライでは初めてとなるQ3進出を果たした。
ジェームス・ロシター(KONDO RACING)が8番手で今季2度目のQ3進出。一方、1分5秒台に入れ、Q3進出かと思われたアンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM’S)と石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)は僅か0.01秒、0.025秒及ばず9、10番手でQ2敗退。ランキングトップ3がQ3進出を果たせないという波乱の予選に。ナレイン・カーティケヤン(SUNOCO TEAM LEMANS)は14番手となった。
首位の関口がじりじりと後続を引き離していく中、追う中嶋一貴は6周目に駆動系のトラブルに見舞われスローダウン。中嶋一貴はこのトラブルを抱えたままレースを続けることとなったが、このスローダウンで6位へと順位を落としてしまった。この中嶋一貴のスローダウンもあり、関口は2位に7秒もの大差で独走態勢に入った。後方では、7周目終了時点で8位を走行していたロッテラーが早くもピットイン。ロシター、オリベイラらも早めのピットで追い上げる作戦に出た。
18周を終了した時点で、関口は2位に約14秒もの大差をつけて独走。ところが、19周目にチームメイトのオリベイラがスピンしコースオフ。グラベルに捕まって脱出できなくなってしまったため、セーフティカーが導入された。このセーフティカー導入のタイミングが関口にとっては不運となり、関口を除いた2位以下の未ピット勢が一斉にピットへ。これにより、隊列が整ったときには関口は首位にはつけていたものの、唯一ピットに入っておらず、しかも後続との大きなマージンを失うという厳しい状況となってしまった。
しかし、23周目にセーフティカーが退出して再スタートが切られると、関口が猛烈なペースで後続との差を広げていった。ファステストラップを更新しながら、毎周約1秒ずつ2位との差を広げていった関口は、50周目を過ぎた頃には2位に30秒もの大差をつけ独走。約35秒差で55周目にピットインした関口は、燃料を給油すると、見事首位でコースに復帰して見せた。
その後も後続を引き離す走りを続けた関口は、最終的に2位に14秒もの大差でトップチェッカー。今季2勝目を挙げた。これまでの6レース、全て異なる勝者となっていた今年のスーパーフォーミュラで、ルーキーの関口が初めて2勝目を挙げたドライバーとなった。
この勝利で、関口はランキングでも首位に浮上。2位の国本に4.5ポイント差をつけ、最終戦に臨むこととなった。トラブルを抱えながらも、再スタート後は終始3位を追うバトルを続けた中嶋一貴が、惜しくも逆転表彰台獲得はならず4位。ロッテラーが5位、ロシターが8位でポイント獲得。ロッテラーは首位に6ポイント差のランキング3位、中嶋一貴が7ポイント差の4位へと浮上し、最終戦での逆転に望みを繋いだ。
関口雄飛 コメント
「スタートで不安要素はあったが、今週へ向けて色んな人が助けてくれて、ある程度コツをつかみ、自信を持って臨めた。中嶋一貴選手がやはり好スタートを切って迫られたが、予定通り抜かれずに1コーナーをトップで通過できた。クルマのバランスも、ペースも良く、セーフティカーが入るまでは予定通りだった。セーフティカーが入ったことで、あの時点では最悪の状況となってしまったが、選手権のことも考え、1ポイントでも多く獲得すべく、ピットイン後に少しでも良い位置で戻れるよう、諦めずに毎周毎周マージンを広げるためのプッシュを続けた。ピットインの直前まで、トップで戻れるとは思っていなかった。ポイントリーダーに復帰することは出来たが、最終戦は勝者のボーナスポイントが大きく、今のポイント差はあってないようなものなので、とにかく勝ちを狙っていく。第1レースで勝って、少し余裕を持って第2レースに臨めれば最高だ。」
リザルト
(1)#20 関口 雄飛 (ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
(2)#64 中嶋 大祐 (NAKAJIMA RACING)
(3)#40 野尻 智紀 (DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
(4)#37 中嶋 一貴 (VANTELIN TEAM TOM’S)
(5)#36 アンドレ・ロッテラー (VANTELIN TEAM TOM’S)
(6)#41 ストフェル・バンドーン (DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
(7)#34 小暮 卓史 (DRAGO CORSE)
(8)#3 ジェームス・ロシター (KONDO RACING)
(9)#65 ベルトラン・バゲット (NAKAJIMA RACING)
(10)#4 ウィリアム・ブラー (KONDO RACING)
(11)#10 塚越 広大 (REAL RACING)
(12)#7 ナレイン・カーティケヤン (SUNOCO TEAM LEMANS)
(13)#11 伊沢 拓也 (REAL RACING)
(14)#16 山本 尚貴( TEAM 無限)
(15)#2 国本 雄資 (P.MU/CERUMO・INGING)
(16)#1 石浦 宏明 (P.MU/CERUMO・INGING)
(17)#8 小林 可夢偉 (SUNOCO TEAM LEMANS)
(-)#19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ (ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
(-)#18 中山 雄一 (KCMG)
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