石浦宏明が2015年スーパーフォーミュラチャンピオンに!「一緒に戦ってきた仲間の顔を見たら涙がこぼれた」

石浦がトップフォーミュラ参戦6シーズン目での悲願のタイトル獲得!

ドライバー】石浦 宏明/スーパーフォーミュラ2015 第7戦(最終戦)
スーパーフォーミュラ2015 第7戦(最終戦)

11月7日(土)と8日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットでスーパーフォーミュラの第7戦「第14回JAF鈴鹿グランプリ」が開催された。

最終戦となった今回、2レース制として行われ、レース1はアンドレ・ロッテラー選手(PETRONAS TEAM TOM’S)が独走のポール・トゥ・ウィン。第2レースでは中嶋一貴選手(PETRONAS TEAM TOM’S)が2位に入ったものの、ランキング首位の石浦宏明選手(P.MU/CERUMO・INGING)が4位でフィニッシュし、石浦選手が悲願のドライバーズチャンピオンを獲得した。

シリーズチャンピオンをかけた戦いは事実上、石浦と中嶋の日本人対決に!

スーパーフォーミュラ2015 第7戦(最終戦)

全7戦で戦われている2015年シーズンのスーパーフォーミュラもいよいよ最終戦を迎えた。今季のスーパーフォーミュラは、第2戦でトップフォーミュラ初優勝を飾った石浦選手が、第4戦で2勝目を挙げ、表彰台4回、残る2戦は4位と、全てトップ4フィニッシュを果たす好調ぶりでランキング首位につけている。

これを追うのがディフェンディングチャンピオンの中嶋一貴選手。WECでの負傷により1戦欠場も、それ以外のレースでは1勝、2位3回、4位1回と安定した成績で、石浦選手に6ポイント差のランキング2位で逆転タイトルを狙う。

昨年は僅差で7人がタイトルの可能性を残しての最終戦となったが、今年はこの2名がやや抜け出している。最終戦はポールポジションも含めると最大で18ポイント獲得出来るため、数字の上では、石浦選手と14ポイント差でランキング3位、4位のロッテラー選手とジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手(LENOVO TEAM IMPUL)も逆転タイトルの可能性を残しているが、事実上は日本人2名による一騎打ちの様相となった。

ほぼ同時代のTDP(トヨタ・ヤングドライバーズ・プログラム)出身の2人。中嶋一貴選手に比べれば遅咲きとも言える石浦選手が念願の初タイトルを獲得するか、過去2度のシリーズチャンピオンに輝き、名実共に現在最も速い日本人ドライバーのひとりである中嶋一貴選手がこれを阻止し、2年連続、3度目のタイトルを決めるか、日本人同士でのタイトル争いに注目が集まった。

今大会は8日(日)の午前中に20周のレース1、午後に28周のレース2という2レース制で実施。レース1はピット義務無し、レース2はタイヤ交換義務づけとなる。通常よりも圧倒的に短いスプリントの2レース制ということで、両レース共に熱い戦いが繰り広げられた。

▼トヨタレースレポート

レース1 「ロッテラーがポール・トゥ・ウィン!」

決勝日の8日(日)は朝から雨模様。レース1(20周)は、通常のスタンディングスタート(グリッド上に静止する)から、セーフティカー先導によるスタートに変更された。

2周を終えたところでセーフティカーがコースを去り、水煙を上げての本格戦開始。ポールポジションのロッテラー選手が好スタートを切り、その後方もほぼスターティンググリッド通りの順位で追走。そのままロッテラー選手が独走状態で後続を引き離して行った。

その後方では、2位の石浦選手に3位ロシター選手が迫り、オーバーテイクシステムを互いに使いながらの激しいバトルを展開。5位の中嶋一貴選手はペースが上がらず、徐々に上位から引き離されていくことに。

スーパーフォーミュラ2015 第7戦(最終戦)

逆転タイトルへは勝利しかないオリベイラ選手は、7番手スタートから前走車を攻めたが、9周目、高速コーナー130Rの立ち上がりで接触。オリベイラ選手の車両はフロントウィングの片側が脱落した。この2台は続くシケインでも競り合いコースアウト。オリベイラ選手は接触のダメージにより、ヘアピンでコースオフを喫し、レースを終えることとなってしまった。

その後、上位勢は間隔を開けたまま、ロッテラー選手、石浦選手、ロシター選手、小林選手、中嶋一貴選手の順で周回を重ねていたが、残り5周の頃から雨脚が強まり、コースの各所で川が出来るような状況に。各車必死に車両をコース上にとどめながらの走りとなったが、16周目、2位石浦選手を追っていたロシター選手がコースオフ。表彰台圏内につけながら無念のリタイアとなってしまった。

スーパーフォーミュラ2015 第7戦(最終戦)

このリタイアで3位に上がった小林選手は猛追を開始。2位の石浦選手に迫り、18周目のシケインで仕掛けたが、小林選手は止まりきれずオーバーランし、石浦選手が2位をキープした。後方では、12位を走行していた中山選手が130Rでクラッシュ。中山選手は無事だったが、こちらもリタイアとなった。

首位のロッテラー選手は2位に6秒近い差をつけ、独走のポール・トゥ・ウィンで今季3勝目を挙げた。

石浦選手と小林選手の2位争いはファイナルラップまで続いたが、石浦選手が逃げ切り、2位フィニッシュ。この結果、優勝したロッテラー選手の逆転タイトルの可能性は消失した。

3位は小林選手が入り、トヨタ勢が表彰台を独占。中嶋選手は苦戦し大きく引き離されながらも4位でチェッカー。僅かながらレース2へ逆転タイトルの可能性を残して臨むこととなった。

スーパーフォーミュラ2015 第7戦(最終戦)

レース2 「石浦が4位でチェッカーを受けシリーズチャンピオンに」

サポートレースなどが行われたレース1とレース2の間も雨は断続的に降り、レース2もウェットコンディション。このため、ドライでは義務付けられていたタイヤ交換は必要なくなり、レース2(28周)もノーピットのスプリントで争われることとなった。

レース1とは異なり、レース2は通常通りスタンディングスタートで切られることに。1周のフォーメーションラップの後、全車がグリッドにつき、スタートが切られるかと思われたが、5番手グリッドにつけていた小林選手の両前輪内から出火。すぐに火は消し止められたがスタートはやり直しとなり、小林選手は最後尾へと後退してスタートすることとなってしまった。

当初の予定より1周減算の27周で争われることとなり、再度のフォーメーションラップから全車グリッドに停止し、スタートが切られた。2番手、イン側最前列のロッテラー選手が出遅れ、その後方4番手グリッドの中嶋一貴選手がこれをかわすようにさらにイン側へ。アウト側からは6番手スタートのオリベイラ選手がポジションを上げ、水煙の中、ホンダ勢を挟んでの3ワイド状態で1コーナーへ。しかし、オリベイラ選手は行き場を失いコースを外さざるを得なくなった。

スーパーフォーミュラ2015 第7戦(最終戦)

中嶋一貴選手が2位、オリベイラ選手4位、ロッテラー選手5位、石浦選手6位で序盤戦へ。10番手スタートの中山が8位へと2つポジションを上げた。

このレース、勝利でしか逆転タイトルの可能性のない中嶋一貴選手は好ペースで周回を重ねるも、首位の車両がさらにハイペースで逃げ、差は徐々に広がることに。

6周目、3位を争っていたオリベイラ選手がバックストレートで前走車をパスし、3位へ浮上。

その後、上位3台の間隔が空きそれぞれ単独走となる一方で、4位以下は連なっての走行に。11周目に4位を走行していた車両がトラブルでリタイアしたため、ロッテラー選手、石浦選手以降、ひとつずつポジションアップ。

しかし12周目、4位に上がったロッテラー選手のエンジンが突然停止。ロッテラー選手はコース脇に車両を停め、レースを終えることに。

これで石浦選手は4位へ浮上。その後方、5位争いを展開していたロシター選手は、シケインで前走車をパスしようと試みたがブロックラインを取られ追突。車両にダメージを負ってしまい、戦線離脱を余儀なくされた。

スーパーフォーミュラ2015 第7戦(最終戦)

上位勢が次々にアクシデントやトラブルで脱落していく中、着実な走りを続けてきた中山選手はこれで5位に浮上。しかし、平川選手がこれに追いつき、TDP出身の同世代の若手同士による5位争いが終盤まで繰り広げられた。

後方では、最後尾スタートを強いられた小林選手がオーバーテイクショーを展開。序盤2台パスしてから、8周ほど前走車に阻まれたものの、17周目のシケインでインをつき、12位に浮上すると、21周目、24周目、25周目と次々に前走車をパスして行き、9位へとポジションを上げて見せた。

中嶋一貴選手は一時8秒近くあった差を5.7秒まで詰めたが届かず2位でフィニッシュ。オリベイラ選手が3位。石浦選手は4位でチェッカーを受け、中嶋一貴選手に6ポイント差をつけて2015年シーズンスーパーフォーミュラのドライバーズチャンピオンに輝くこととなった。

石浦選手は、2003年にフォーミュラ・トヨタでデビュー。F3を経て、2008年より2011年までフォーミュラ・ニッポンを戦い、2年間のブランクを経て昨年スーパーフォーミュラに復帰。トップフォーミュラ参戦6シーズン目での悲願のタイトル獲得となった。チームのセルモ・インギングにとっても初のタイトル。

【チーム】P.MU/CERUMO・INGING /スーパーフォーミュラ2015 第7戦(最終戦)

若手同士の争いは、平川選手が制し5位。中山選手は6位でフィニッシュし、参戦2年目にして最終戦で初ポイントを獲得することとなった。小林選手は国本選手を激しく攻め、最後まで8位を争ったが、コンマ5秒差で国本選手が逃げ切り8位。小林選手は最後尾スタートから9位フィニッシュとなった。

スーパーフォーミュラでのもう一つのタイトルであるチームタイトルは、前戦終了時点でPETRONAS TEAM TOM’Sが決めており、トヨタエンジンは2年連続で両タイトルを制することとなった。

【チーム】PETRONAS TEAM TOM’S /スーパーフォーミュラ2015 第7戦(最終戦)

石浦宏明選手コメント

「とりあえずほっとしている。やっぱりプレッシャーもあったし、眠れないほどではなかったのものの、結構緊張もしていた。チームの雰囲気が明るいので予選前の緊張も雑談などでほぐれ、笑顔で送り出してくれて、その雰囲気に助けられた。優勝してタイトルが決まっていれば、ウィニングランなどで感激したかもしれないが、今回はレース後体重を計っていた際にチーフメカの顔を見たら、涙が込み上げてきた。チーフメカも、体調を崩したことがあり、また同様にプレッシャーを感じ、さまざまなことを負担に思っているだろうなあと思っていたので、絶対トラブルを出さないという気持ちでいた。また、自分と一緒にチームを移籍したメカもいるし、その一緒に戦ってきた人たちの顔を見たら実感が湧き涙がこぼれた。今週は実力を出し切れたと思うし、無事に終われて良かった。」

中嶋一貴選手のコメント

「今朝からの流れで言えば、レース1のセーフティカースタートの時点でほぼ終わったかなと思った。レース自体のペースも良くはなかった。このレースウィークはクルマの調子も良くなく、どうしようかと考えながらのレースだった。レース2のスタートだけは狙っていたのだが、山本選手も伸びてきて、スペースがなかった。このまま行ったらぶつかるのではと思うような感じで、山本選手からの気持ちも伝わって来て、正直、どうやって走ったかわからない状況で1コーナーを通過した。レース2は、レース1に比べれば良いレースだった。レースウィークを通して調子が悪く、走っては直しの繰り返しだったが、最後のレースを表彰台で終えることが出来て良かった。」

ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手のコメント

「朝からペースは良かった。レース1に関しては、あのようなコンディションでは、セーフティーカースタートではなく、スタンディングスタートで大丈夫だったと思う。あのスタートで全ての勝負が決まってしまい、残念だ。セーフティカースタートだと、スタートでの追い抜きは困難だ。レース2は、スタート直後の1コーナー進入で一番アウト側にいたのだが、行き場がなくなり、アウトへコースオフせざるを得なかった。それで4位に下がったが、その後野尻選手をパスでき、中嶋選手を追ったがそのままチェッカーを受けることになった。」

リザルト

レース1 リザルト/スーパーフォーミュラ 2015年 第7戦
レース2 リザルト/スーパーフォーミュラ 2015年 第7戦
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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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