スズキが猛追中! ホンダの鉄板人気「N-BOX」No.1の座をライバル車が奪う日は来るのか
- 筆者: トクダ トオル(MOTA)
- カメラマン:Honda
2021年10月の新車販売台数ランキング発表で衝撃が走った。単月とはいえ、スズキの「ワゴンR」が、2019年12月から軽自動車で毎月1位を取り続けてきた「ホンダ N-BOX」を破り1位となったのだ。ホンダのランクダウンは一時的な部品供給不足の影響が大きく、11月度には再びN-BOXが返り咲く可能性もあるが、いずれにせよホンダのNo.1が破られるのは大きなニュースだ。
ここで改めて、これまでNo.1を続けてきたN-BOXの強さと、これに対抗するスズキの動きについて見てみよう。
N-BOX一強の販売ランキングに異変!? 2021年10月の1位は「スズキ ワゴンR」だった
全軽自協(一般社団法人 全国軽自動車協会連合会)の調べによる「軽四輪車通称名別新車販売確報」によると、2021年10月度の車名別軽乗用車販売ランキングは、1位:スズキ ワゴンR(8808台)、2位:日産 ルークス(8696台)、3位:ホンダ N-BOX(7442台)となっている。
1位のワゴンRは、前月2021年9月のランキングが3位(7573台)、同8月は6位(5235台)、同7月は12位(2824台)となっており、見事な急上昇ぶりとなっている。
対するN-BOXは、2019年の12月から2021年9月まで、連続1位のポジションをキープしていた(2019年11月に単月で「ダイハツ タント」に敗れたものの、それ以前もN-BOXが連続1位を記録している)。
ワゴンRにスライドドアを備えた「ワゴンRスマイル」が追加され一躍人気者に!
軽ハイトワゴンのスズキ ワゴンRは2017年2月にフルモデルチェンジしており、現行型はデビュー5年目を迎えたベテランモデルだ。
近年はN-BOXをはじめとする背高で後席にスライドドアを備えた軽スーパーワイトワゴン人気が強く、ワゴンRがランキング上位に入ることはなかった。
しかし2021年8月末にワゴンRの派生モデル「ワゴンRスマイル」が発表され、9月10日より正式発売が開始されると、様子は一変した。背の低いワゴンRに後席スライドドアを備えたワゴンRスマイルに人気が集まったのだ。
全軽自協の統計上は、ワゴンRスマイルも「ワゴンR」としてカウントされるため、一気に販売台数が急上昇。そこへホンダの生産台数調整が重なり、見事TOPに輝いた。
N-BOXが長年に渡り支持される理由は標準タイプの強さにあり
単月でTOPを奪われたとはいえ、ホンダ N-BOXの安定した人気ぶりは相当なものである。N-BOXは標準タイプに加え、エアロパーツや内装の加飾によるカスタマイズを施したN-BOXカスタムの2タイプがあるが、ホンダによると人気はほぼ50:50で2分しているという。
他社の軽自動車でも標準タイプと、いわゆる“カスタム”タイプが用意されているが、多くのメーカーの場合6:4から7:3の割合でカスタム系の人気が高いようだ。
近年軽市場には、ミニバンなど小型乗用車などからの代替として初めて軽を購入する層が急増している。そうした乗換え層は、より見栄えが良く特別感のあるカスタム系を好む傾向がある、と他のメーカー担当者は語っている。
ところがホンダの場合、標準タイプでも乗換え層からの支持が厚いという。小型乗用車から乗り換えても違和感のない質感や格好良さがあるからだと、以前取材したN-BOX開発担当者は分析していた。
この標準タイプの強さこそ、N-BOXが他社を抑え長年に渡りランキング1位に輝き続ける原動力となっているという訳だ。
スズキが新開拓! 小型車などから乗り換えるユーザーが軽に求める新たなプラスアルファの特別感とは
今回ランキングを賑わせたスズキ ワゴンRスマイルには、いわゆる“カスタム”系グレードは設定されていない。ただし通常のワゴンRに対し単にスライドドアを追加しただけではなく、内外装の加飾や専用のデザインも与えられたオリジナルスタイルとなっている点が特徴となっている。
ユーザーからワゴンRスマイルが支持を集めた理由には、こうした特別感もあるのではないだろうか。“カスタム”系でない標準タイプであっても支持を集めるという点では、N-BOX人気に似た傾向を感じさせる。
“カスタム”系だけじゃない! スライドドアやSUV風スタイルなどで他とは違う魅力を開拓するスズキ
ちなみに2021年10月のランキング4位には「スズキ スペーシア」が位置している。こちらは軽スーパーハイトワゴンに属し、N-BOXと直接対抗するモデルだ。
こちらも標準タイプに加えカスタム系があるが、さらにもうひとつ、SUV風の「スペーシア ギア」がモデル途中で追加されている。標準タイプとは違う新鮮な特別感が支持を集め、人気も上昇中だ。
直近の販売比率は、標準4割強:カスタム3割強:ギア2割で、カスタムとギアを足せば標準タイプを超える割合だ。ギアの追加が、スペーシアの販売増にも大いに貢献しているのは間違いない。
流行りのSUVスタイルを持つ軽スーパーハイトワゴンは三菱が唯一ラインナップしているだけで、ホンダ、日産、ダイハツともにいまのところ用意はない。スペーシアの強さはこの先しばらく続くことだろう。
スズキがワゴンRシリーズとスペーシアの2枚看板で、王者N-BOXに迫る攻勢をみせている背景には、こうした従来のカスタム系頼み一辺倒ではない新たな戦略が効いている。そして今後もじわじわとシェアを奪っていくものと筆者は予想する。
2021年度下期の販売にスズキの猛攻がどう響いていくのか、注目しておきたいところだ。
[筆者:MOTA(モータ)編集部 トクダ トオル/撮影:Honda・SUZUKI・DAIHATSU]
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