大人気ミニバンのトヨタ アルファードVSトヨタ ヴォクシー! 3列目シートにはどんな違いがあるのか?

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ミニバンを買う。それは多くの場合、5名を超える多人数乗車のために3列目席が必要だからのはずだ。SUVやワゴンに3列目席のあるクルマがないわけではないが、それはもう緊急席、補助席、子供専用席という代物であり、近所のチョイ乗りならともかく、ロングドライブともなれば、大人が快適に座っていられるはずもない3列目席であることがほとんどだ(一例としてマツダ CX-8を除く)。

で、ミニバンの3列目席に大いに期待したいところだが、それでは、今、人気爆発中の2021年1〜6月の乗用車販売台数ランキングで、堂々の3位、8位に位置する大人気ミニバンであるトヨタ アルファード(3位)と、そのスケールダウン版とも言えるトヨタ ヴォクシー(8位)では、3列目席にどんな違いがあるのだろうか?

クルマのパッケージについてこだわり、クルマの各部の計測を手掛け続けて早35年!?の筆者が解説したい。

目次[開く][閉じる]
  1. アルファード3列目席の快適性は、2列目席の形状によっても大きく異なる
  2. シートそのものの比較ではヴォクシーも負けていない!
  3. 実際の使用場面を想定するとエグゼクティブラウンジシート以外のアルファードが良さそうだ

アルファード3列目席の快適性は、2列目席の形状によっても大きく異なる

いきなり3列目席そのものの話をするのは早い。3列目席があるということは、3列目席に乗り降りしなければならず、その容易性(乗り降りのしやすさ)から語るべきなのである。

アルファードの場合、両側スライドドアから3列目席の乗り降りにかかわる、乗降間口幅(ウォークイン幅)は、2列目席の仕様によって微妙に異なる。2列目席を前方スライドさせた際の間口幅は、ベンチシート550mm、ベーシックなキャプテンシートのリラックスキャプテンシート320mm、上位キャプテンシートのエグゼクティブパワーシート320mm、最上級のエグゼクティブラウンジシート355mmとなる。3列目席により乗り降りしやすいのは、ベンチシート、エグゼクティブラウンジシートということになる(それ以外でも問題なし!!)。

ヴォクシーはどうかと言えば、2列目ベンチシート480mm、キャプテンシート380mmとなり、どちらもこのクラスでは乗降間口幅が比較的に広いことになる(セレナ230~340mm、ステップワゴン350mm)。

合わせて、スライドドア開口部とステップ高も3列目席の乗り降りの容易性にかかわってくる。アルファードはスライドドア幅780mm、高さ1310mm、ステップ高350mm、フロア高450mm(階段を2段上がる感じで、掃き出しフロアではない)。ヴォクシーはスライドドア幅760~805mm、高さ1260mm、ステップ高360mm(階段を1段上がる感じの段差のない掃き出しフロア)。両車に微妙な差はあるものの、実際問題としては、どちらも3列目席(もちろん2列目席でも)の乗降に不満が出ることはないが、フロアが低く、足運びしやすいのは、極薄燃料タンクを採用した、ホンダも真っ青な低床フロアを実現したヴォクシーになるだろう。

シートそのものの比較ではヴォクシーも負けていない!

さて、いよいよ3列目席そのものについての比較だが、シートの仕立てについては、アルファードがシート座面長460mm、シート幅1130mm、シートバック高600mm。フロアからシート座面前端までの高さを示すヒール段差330mm。ヴォクシーはシート座面長460mm、シート幅1130mm、シートバック高520mm。ヒール段差360mm。2列目席下の、3列目席の乗員のつま先が入る空間はどちらも文句なしだ(ここは足の置きやすさという点で重要)。

この筆者の実測数値で分かるのは、意外にも、アルファードとヴォクシーで、シート座面長は同等、シート幅はヴォクシーのほうがやや広いということ。しかし、注目すべきはヒール段差で、ここが高いと、椅子に座っている感覚となり、着座、立ち上がり性がよくなり、またより自然な姿勢で座れることになる。この点でも、ヴォクシーは負けてはいない。

ただし、シートクッション厚み、かけ心地の良さという点では、さすがに国産車の真のキング・オブ・ミニバンと呼べるアルファードが勝り、よりソファ感覚のゆったりとしたかけ心地が得られる。

もっと言えば、アルファードの場合、走行中、荒れた路面でのシート振動の少なさは、高級感あふれる豪華な2列目キャプテンシートより、3列目席のほうが優れていたりする。

理由は、アルファードのキャプテンシート、それもより豪華なエグゼクティブパワーシートとエグゼクティブラウンジシートはロングスライドし、重く、重心が高いため、シートの取り付け部剛性の面で不利だから。なのでシートバックには振動を吸収するダンパーが仕込まれていたりするのだが、特にひじ掛けの振動は消し切れず、ひじ掛けに肘を置くと目立つ傾向にある。

ところが、3列目席は5:5分割のシート1脚が比較的軽く、スライド距離が短く、左右端がボディ側に接しているため、走行振動が出にくいというわけだ。実際、ある日、アルファードに4人乗車で東京~大阪間を走らせたのだが、出発時点では優雅に2列目席に陣取っていた2名が、気が付くと3列目席に移動しているではないか。こちらもけっこう快適だから……との理由だった。

つまり、アルファードクラスの大型ミニバンともなれば、3列目席は決してハズレ席ではなく、大切なゲストを迎えるにも遜色ないシートということになる。この時代の新しい生活様式の下、車内の密を避けたミニバン移動、という点でも、これはより安心できる乗車フォーメーションとも言えるのではないだろうか!?

実際の使用場面を想定するとエグゼクティブラウンジシート以外のアルファードが良さそうだ

では、身長172cmの筆者が実際に両車の3列目席に座ってみるとどうか。アルファードは頭上に145mm、2列目席を最後端位置にセットした時の膝周り空間はベンチシート255mm、リラックスキャプテンシートとエグゼクティブパワーシート130mm、エグゼクティブラウンジシートは0mm(2列目席最優先のパッケージ)となる。

もっとも、3列目席のスライド量は460mmもあり、2列目席の前方スライドと合わせると、膝周り空間をグーンと広げることが可能だ。

一方、ヴォクシーは頭上に160mm(サンルーフなし)、、2列目席を最後端位置にセットした時の膝周り空間は40mm。

ちなみに、最大300~600(ロングスライド時)mmある2列目席の膝周り空間を、あえて筆者の着座基準で200mmまでシートを前方にスライドさせると、3列目席の膝周り空間は160mm(シエンタFUNBASEの後席と同等)と、大人でも無理なく座れるスペースが確保される。

そうは言っても、アルファードの3列目席の掛け心地はもはや世界のミニバン最上の部類。しかも2列目キャプテンシートなら2-3列目スルー(乗降性にも寄与)はもちろん、前方見通し性の良さによる解放感もたっぷり(ここはヴォクシーも同じ)。

基本、運転席に運転手、助手席に秘書、2列目席に主役のVIPが乗り、3列目席はVIPの手荷物置き場前提!?のエグゼクティブラウンジシートを別にすれば、膝回りスペースにも余裕があり、足元広々。夜間、まるで飛行機の機内を彷彿させる約1.5mもの天井LED照明のムーディな演出を100%堪能できるのも実はこの3列目席なのである。

というわけで、3列目席を頻繁に使うのであれば、アルファードのエグゼクティブラウンジシート仕様以外のグレードが、3列目席の居住性、快適性、シートのかけ心地という点でベストだが、3列目席の乗員が主に子供、というなら、ヴォクシーの3列目席でも不満など出るはずもない。

なお、3列目席に足腰が弱ったシニアを乗せるのであれば、立った状態から腰を落とす距離、座った状態からの立ち上がりやすさの面で、ヒール段差がたっぷりあるヴォクシーのほうがやや有利と言える。

ちなみに、ヴォクシーの初期モデル(エアログレード)の3列目席のシートファブリックはお尻が前後に滑りやすかったのだが、今では改善されている。

【筆者:青山尚暉】

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青山 尚暉
筆者青山 尚暉

学生時代はプロミュージシャン、その後自動車専門誌2誌の編集を経てフリーのモータージャーナリストに。現在は自動車業界だけでなく、愛犬のラブラドールとジャックラッセルとともに、愛犬との快適で安全なクルマ旅を提案するドッグライフプロデューサーとしても活動中。また、クルマのパッケージを寸法で比較するため、独自の計測ツールを開発。1台につき25項目以上を詳密計測。実用性の目安として、記事中で展開している。現在、自動車用純正ペット用アクセサリーの企画、開発も行う。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。記事一覧を見る

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