日産 エルグランド 実燃費レビュー【総評編】(2/2)
- 筆者： 金子 浩久
高級ミニバンとしての質は今一歩、さらに磨きを掛けて欲しい
ミニバンの特徴にもなっているスライドドアの操作感にも、もう少し繊細なタッチが宿っていればよかった。せっかくの電動開閉式なのに、力を入れてノブを操作しないと、開閉しないことがあった。
操作する力の入れ方にもコツが必要なようで、これでは、なんのために電動開閉式にされているのかわからない。特に、2列目シートに座って、車内からドアを開閉する時に、それを強く感じた。
この点では、来年、日本に導入されるフォルクスワーゲンのシャランは、Bピラーに設けられたボタンを押せば、スムーズに開閉できる。
エルグランドのスライドドアの開閉方式は、もっと吟味されていいのではと思った。
ミニバンの空間を贅沢に使うようになれば、必然的に乗り心地や掛け心地の質も問われてくるものだ。
エルグランドは、せっかくFF化し、CMでも「キング・オブ・ミニバン」と自称しているのだから、ただ走るだけでなく、その走りの質、特にシートとさまざまな装備の使い勝手をもっと上げて欲しかった。
エンジンやトランスミッション、ハンドリング、燃費などにはFF化した効果が現れていたが、質に関しては、いま一歩の感が拭えなかった。
クルマの実体や内実は、どうしても細部に現れてしまうものだ。
“王者”トヨタ・アルファード／ヴェルファイアとは異なったセンスと方法論による日本の高級ミニバンをエルグランドには期待しているので、この路線は変えずに、“質”に磨きを掛けて欲しい。
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モータリングライター 1961年東京生まれ。 自動車と自動車に関わる人間について執筆活動を行う。主な著書に、『10年10万キロストーリー』（１～４）、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、『ニッポン・ミニ・ストーリー』、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』など。記事一覧を見る
自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。
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