三菱版サブスク「ウルトラマイカープラン」が超人気! ライバル社が苦戦しているなか、好調なワケとは!?
- 筆者: MOTA編集部 木村 剛大
- カメラマン:MOTA編集部
いま、新車の買い方が大きく変わる転換期の真只中だ。かつては現金一括かローンといった2択であったが、ここ最近は数年後の下取り分を据え置く残価設定ローンが一般化。さらにサブスクリプションサービス(サブスク)も浸透しつつある。今回はサブスク市場に参入を果たした三菱自動車にフォーカスし、その実態を深堀り! かなり好調だというが、そのワケとは!?
続々参入のクルマ版サブスク! キモは任意保険料にあった
本題に入る前に、そもそもサブスクリプション(以下サブスク)とはAppleミュージックやAmazonプライムビデオなどのように、定額料金を払えば好きなだけ楽しめるサービスのこと。今回取り上げるのはそれのクルマ版で、定額料金を毎月納めさえすれば新車に乗れるというモノ。
一定の料金を払えば乗れるとあらば、従来のローンと一緒では? と思うだろうが、最大の違いは定額料金以外は原則燃料代と駐車場代しかかからないという点だ。
加えてサブスクの一番のキモは任意保険料にある。当然、こちらも支払い金額に含まれているのだが、等級が存在せず、保険料が高いとされている免許を取得したばかりの若年層であっても、高齢の方ですら同じ値段なのだ。
KINTOは苦戦も三菱は好調! その違いは!?
先に述べた通り現在、新車の買い方は何種類もある。近年は将来の下取り価格を予め設定し、その価格を引いた額に対してローンを組む、残価設定ローンなるものが台頭しているが、ここに来てさらなる新しい買い方が浸透しつつある。そう、それこそがサブスクだ。
トヨタが2019年にスタートさせたKINTOを皮切りに、ホンダのマンスリーオーナー、そこに三菱自動車がウルトラマイカープランなるサービスを2020年10月よりスタートさせたのだ。
まだまだ生まれたばかりのサービスであるため、すぐさまユーザーが飛びつくか? というと、現状はかなり厳しいという。というのも、日本でもっとも販売店の多いトヨタをもってしても2020年3月時点で3150台をKINTOで販売。2019年の国内販売台数が約13万台という数字から考えても決して多い台数とは言えないのだ。
三菱好調のワケは販売店教育にあった
ところが、だ。サービスがスタートしたばかりというのもあるが、当初の想定よりも2倍の台数を売り上げるなど、ウルトラマイカープランは好調なのだという。加えて、全体の約4割が新規顧客というほど、三菱のウルトラマイカープランは注目されているのだ。
しかも他のサービスとは違い、テレビCMなどを一切していないというのも興味深い。好調の理由を国内営業本部 国内商品販促部 部長 藤原 正明氏にそのワケを直撃すると「サービスを開始するにあたり、販売店スタッフへの教育を徹底した」と語る。
どういうことか? 以前、筆者が他社のサブスクを取材した際に、「ディーラーマンがサービス内容をしっかり理解していない」あるいは「非協力的なディーラーマンも多い」という話を聞いたことがあった。
一般にディーラーマンは毎月個々人に販売ノルマが課せられているが、サブスクで販売したとしてもそのクルマはカウントされないという販売店も存在するというのだ。筆者自身、以前ディーラーで新車販売を経験していたのだが、せっかく販売したのに台数がカウントされないとあらば、サブスクでクルマを売りたくないと思うのはもっともだと感じる。
三菱ディーラーに直撃するも、丁寧な説明に脱帽
そこで三菱は新たない買い方を、もっと言えば一人でも多くのユーザーに乗ってもらいたいという思いから、販売店スタッフの教育に力を入れたという。サービス内容の把握はもちろんのこと、既存の方法で販売したのと同じ評価をできる環境作りという点にも注力したのだ。
加えて、過去の反省も生かされたとも。今や当たり前となった残価設定ローンだが、三菱がサービスをスタートした際は他社に少し遅れての参入となったために、スタッフやユーザーにサービス内容が浸透するまでに時間を要してしまったのだという。そこで、今回ウルトラマイカープランを始めるにあたって、事前に教育を徹底したというワケだ。
今回の記事を執筆するにあたり、筆者は実際に三菱ディーラーでウルトラマイカープランのことを尋ねたのだが、メリット/デメリットを丁寧に説明してくれたのが印象的であった。
月々のローンに加え、毎年5月ごろに支払う自動車税や2年ごとにやってくる車検代など、クルマにかかる維持費は多種多様。種類がたくさんあり、手間がかかってしまうのもユーザーにとっては面倒なモノ。それだけにひとつの支払いで完了するサブスクは大いに魅力ある買い方なのだ。
サブスク市場に三菱が参入したことは、まだサービスをスタートさせていないメーカーにとっても、ユーザーにとってもいい刺激になるはず。音楽や映画などのようにサブスクが一般になっている今、クルマの買い方も大きく変貌するかもしれないのだ。今後のクルマ版サブスクに大いに注目だ。
【筆者:MOTA編集部 木村 剛大】
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