三菱 アウトランダー 試乗レポート
- 筆者: 松下 宏
- カメラマン:小平寛
三菱としても相当に気合の入ったクルマ
企業不祥事なども影響してしばらく新型車を投入することができなかった三菱自動車が、実に2年半ぶりくらいで投入した新型車がアウトランダーだ。エアトレックをフルモデルチェンジしたクルマだが、海外では従来からアウトランダーの名前で販売されており、今回から国内も統一した名前で販売することになったという。
久々の新型車ということで、三菱としても相当に気合の入ったクルマ作りをしている。乗用車系の新しいプラットホームを採用し、オンロードでの乗り心地にも優れたSUVとしたほか、搭載エンジンはダイムラー・クライスラーやヒュンダイ自動車との共同開発によるアルミブロックの新しい2.4Lの直列4気筒で、 4WDシステムも電子制御4WDとするなど、意欲的なクルマ作りがなされている。
ルーフ部分にアルミ製のパネルを採用して重心が高くなりがちなSUVの重心高を下げる工夫をした点なども、見逃せないポイントだ。
オプションで収納が可能な3列目シートが装着
エクステリアはSUVらしい力強さを表現したもので、全幅も1800mmというかなり大柄な感じのボディとなる。張り出した大きなフェンダーアーチは走りの安定感やボリューム感を感じさせるものとなる。
全幅が広いこともあって室内空間は十分な広さがある。シート高が適度な高さに抑えられているので、自然な姿勢で乗り降りできるのも良い。後席は足元にも頭上にも十分な余裕がある。
アウトランダーでは5乗りが基本だが、わずか2万1000円を追加するとオプションで折り畳み収納が可能な3列目のシートを装着できる。完全にエマージェンシー用のシンプルなシートだが、イザというときに7人乗れることにメリットを感じる人はいるだろう。
2列目のシートはワンタッチで折り畳んでラゲッジスペースを広げることができる。この操作は簡単だが、それを元に戻すときに大きな力を必要とするのは、やや難点といえる。
SUVというよりも乗用車に近い走りのフィール
新開発の2.4Lエンジンは好印象を与えるものに仕上がった。ブロック部分は共同開発だが、ヘッド部分は三菱独自のMIVEC仕様とされており、 125kWのパワーが示すように2.4Lクラスの4気筒エンジンとして水準を超えた実力を発揮する。吹き上がりも軽快なもので気持ち良く、回転が伸びていくと同時に、パワーも盛り上がっていく。
組み合わされるINVECS-ⅢのCVTによって、滑らかな加速フィールが得られる点も評価できるポイントだ。ただ、Dsレンジを選ぶとCVTの機械音がけっこう大きい。SUVとはいえ乗用車的な快適性が求められる時代だけに、もしう少し静かな走りを期待したい。
足回りは全体に安定感の高さを感じさせる。重心を下げるためにアルミ製のルーフを採用したことなどが、操縦安定性の高さに貢献している。乗り心地の良さも含めてSUVというよりも乗用車に近い走りのフィールが実現されている。
オンロードでの試乗だったので新しい4WDシステムの悪路走破性を試すことはできなかったが、通常は4WDオートにして走れば余分な操作は必要ない。
ロックフォードフォズゲートのプレミアムサウンドシステムを装備
アウトランダーの装備で特筆されるのは、アメリカでカーオーディオの高級ブランドとして知られるロックフォードフォズゲートのプレミアムサウンドシステム。しかもこのオーディオシステムを採用するために、スピーカーを取り付けるドアを大幅に強化するなど、サウンドの良さを生かすために特別の仕様が設定されている。オーディオ好きの人ならずとも見逃せない仕様だ。
ラゲッジスペースの使い勝手も上々だ。バックドアは上下に開く仕組みで、簡単な手荷物などは上側のゲートを開くだけで積み下ろしできる。大きくかさばる荷物や重い荷物などを積むときには、下側のゲートも開けば楽々と積載できる。
セカンドシートは後方からスイッチのレバーを引くだけで、簡単にタンブルして折り畳んだ状態になる。前述のように戻すのに力がいるが、フレキシブルな使い勝手を実現できるラゲッジスペースだ。
3列シートを注文すればミニバン感覚の使い方も可能なので、アウトドア志向の強いヤングカップルからファミリーユーザーまで幅広いユーザーに対応できるクルマだ。
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