三菱 i 試乗レポート

  • 筆者: 竹岡 圭
  • カメラマン:原田淳
三菱 i 試乗レポート
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スペシャル軽は、なにもかもが新しい

モータショーに出展される、コンセプトカーがそのまんま市場に出てきたみたいな、チャレンジングなデザイン。そして、三菱初のリアミッドシップレイアウト、軽ナンバー1のロングホイールベース、前後重量配分45:55、軽初フルフラットアンダーカバーなどという運動性能的キャッチフレーズで、見た目にもメカニズム的にも、興味をそそられるi(アイ)。新プラットフォーム&20数年ぶりの新エンジンというのも、もちろんワクワクさせる要因のひとつとなっている。

そして、タイヤを本当に四隅ギリギリに配したワンモーションフォルムのデザイン、エクステリア同様に曲線を生かしたインテリア、上級車に匹敵するコンピューター制御の安全・快適装備、そして、走りすべてにおいてプレミアム性というものをクローズアップしているのも、i(アイ)の特徴である。カテゴリー的にはスペシャル軽に分類していいだろう。

興味をそそるユニーク性

「いまの何?」なんて振り向く人が続出しそうなi (アイ)のエクステリア。とにかく目立つこのデザインは、誰もが一度は乗ってみたいと思うような、未来の乗り物のカタチをしている。まずは一度は「乗ってみたいと思わせる」デザイン性能的には満点だ。

そして、タイヤが四隅に踏ん張っているのでいかにも走りそうなイメージと、うさぎを彷彿とさせるキュートなイメージの二つが伝わってくる。ユニセックスなデザインというよりは、男女ともに違う観点から受け入れられる、ユニークなデザインと言える。

インテリアはエクステリアの曲線に合わせて、丸味を帯びたデザインが取り入れらているが、外からフロントウィンドウ越しに見えるダッシュボード上のデザインまでこだわるという凝りようだ。

カラーもレッドインテリアとグレーインテリアの2色を用意。外装色とのコーディネートで全体で魅せる演出がなされている。

小さいけど頼りがいはある走行性

まず、アルミシリンダーブロックが採用された新開発エンジンだが、電子制御スロットルが使われ、扱いやすさが際立ったターボエンジンとなっている。ペダルコントロールに沿って、パワーがついてきてくれるといったフィーリングで、リニアなコントロール感がある。特に中間加速で最大限のパフォーマンスを発揮してくれるのだ。

ハンドリングは、見える風景はマルチワゴンのごとく視点が高いのに体感的にはスポーツタイプのクルマに乗っているという、不思議なフィーリング。縦長に四角いフロントウィンドウ越しの景色と合わせて、新しさが伝わってくる。

そして、ライントレース性の高さや、ちょっとオーバースピードで突っ込んでしまってもなんなく曲がってくれる、アンダーステアが出にくい粘り強さもたいしたもの。また、レイアウトのおかげでブレーキがしっかり安定して効くのも、安心感が高い。

新しい世界を提案する

いろいろと新しいことづくめのi(アイ)だが、およそ軽自動車で考えられなかった装備としては、ETACSと呼ばれるコンピューター統合制御によって得られる高級快適装備が挙げられる。その代表選手は、コンフォートフラッシャー、車速感応ワイパー、ヘッドライトオートカット、マルチモードキーレスエントリーといったところ。いずれも上級車にしかついていないような装備だ。

続いて安全性についても特徴がある。エンジンがフロント部にないために、クラッシャブルゾーンが短くても効率よく衝撃吸収できるため、安全性は予想以上に高いのだ。前にエンジンがないと不安に感じる人も多いが、逆につぶれる空間があるからこそ安全なのだ。

21世紀に入ってから登場した新世代軽以降、新しい世界を提案してきたi (アイ)。未来の新しい乗り物を求めている人、エコロジーコンシャスなダウンサイジング思考の人のハートに、ピピッと響きそうな1台だ。

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竹岡 圭
筆者竹岡 圭

OLを経て、自動車専門誌を皮切りに、モータージャーナリスト活動を開始。国内外のレース、ラリーなど自らモータースポーツ活動に関わりながら、海外のモーターショーを精力的に回るなど、なにごとにも積極的に取り組んできた結果、近年は一般誌、女性誌、Web媒体、新聞、TV、ラジオなど、その活動はとても多彩なジャンルに広がっている。記事一覧を見る

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