実はフランス車のような快適な乗り心地・座り心地!?乗ってみると分かる三菱 「eKワゴン」&「eKカスタム」試乗レポート(3/3)

実はフランス車のような快適な乗り心地・座り心地!?乗ってみると分かる三菱 「eKワゴン」&「eKカスタム」試乗レポート
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改善された「乗り心地」「シートの座り心地」「内装の上質感」の結果、セダン感覚の軽自動車に

三菱 eKカスタム

今回試乗したのはターボを装着したeKカスタムT・Safety Packageで、タイヤは15インチ(165/55R15)のブリヂストン・エコピアEP150を履いていた。指定空気圧は240kPaだから、高めではあるが極端な数値ではない。

ショックアブソーバーの減衰力を変えるなど足まわりの設定を改めたこともあり、従来型に比べて乗り心地が向上した。スズキワゴンRやダイハツムーヴなどのライバル車と比べても、デコボコを乗り越えた時の突き上げ感が若干穏やかに感じられる。路面の状態によっては硬めにも受け取られるが、軽自動車ではどっしりした印象だ。

三菱 eKカスタム

この変更に伴って操舵に対する反応も変化した。変更前のスタビライザー装着車は、硬めの設定と相まって、やや機敏すぎる印象があった。この点も改められ、全体的な動きをマイルドにしたことで、後輪の安定感が相対的に高まっている。

そしてこの運転感覚は、eKワゴン&eKカスタムの内装ともマッチする。シートの座り心地は軽自動車では柔軟な部類に入り、特に後席の座面奥行は535mmだから、前席を45mm上まわる。小型&普通車を含めて日本車では最長レベルだ。

座面が長ければ快適という話ではないが、足元空間を広く見せる目的で短めに抑える車種が多い中で、eKワゴン&eKカスタムは座り心地を重視している。

三菱 eKカスタム

また主力グレードのインパネには、タッチパネル式オートエアコンが備わる。タッチパネルは手探りの操作がしにくく、指紋も付着しやすい。欠点もあるが、車内を上質に見せる効果も見逃せない。

以上のように、マイナーチェンジで改善された乗り心地、以前からの特徴だったシートの快適な座り心地、内装の上質感が相まって、セダン感覚の軽自動車に仕上げている。

eKワゴン&eKカスタムは、乗り心地や座り心地が快適なフランス車というイメージ

三菱 eKカスタム

注意したいのはノーマルエンジンの動力性能で、この点は依然として不満が生じやすい。背景にある理由は、もともとこのエンジンが、ミッドシップの「i」に搭載することを目的に開発されたことだ。荷室の下に収めるためにエンジンの高さを抑える必要があり、シリンダーの内径と行程寸法が等しいスクエアタイプになった。軽自動車のエンジンの多くは、行程が内径を上まわるロングストロークタイプにして実用回転域の駆動力を確保しており、eKワゴン&eKカスタムには動力性能で本質的な不利がつきまとう。

この欠点を解消したのがターボだ。ノーマルエンジンの最大トルクは5.7kg-m(5500回転)だが、ターボでは10kg-m(3000回転)になる。ノーマルエンジンに比べると、実用回転域で175%に相当する駆動力を発揮するから、動力性能が大幅に向上して運転しやすい。

その一方で燃費数値は86%だから、動力性能の向上率に比べて燃費の悪化率は小さい。だからeKワゴン&eKカスタムでは、ターボを積極的に選ぶべきだ。前述のように価格が5万4000円なら買い得だろう。

三菱 eKカスタム三菱 eKカスタム

このようにeKワゴン&eKカスタムには、実際に使うと見えてくる良さがある。輸入車に例えれば、ダイハツ/スズキ/ホンダはドイツ勢で、eKワゴン&eKカスタムは、乗り心地や座り心地が快適なフランス車というイメージだろうか。軽自動車を選ぶなら、ディーラーに出かけて試乗してみると良いだろう。

心配なのはむしろそのディーラーで、経営面で苦戦を強いられている。前述のように軽自動車の新車市場に占める三菱のシェアは3%、小型&普通車は1.3%だ。国内販売全体では2%だが、ディーラーの店舗数は約700店舗で、スバルに比べると200店舗ほど多い。

メーカーは海外でも稼げるが、国内の販売会社はそうはいかない。三菱では2016年に発売予定の新型SUVが2017年にズレ込んだという話も聞かれたが、それ以前に、低コストで開発できる派生モデルなどのバリエーションを増やし、売り上げを高められるように支援すべきだろう。

例えば三菱が得意とするSUV風の派生車種だ。かつてのeKアクティブはあまり売れなかったが、今は時代も変わった。改めてeKワゴンやeKスペースをベースにSUVを開発する余地はあるだろう。スズキが製造するOEM車のデリカD:2をSUV化しても、楽しいクルマになりそうだ。デリカD:5にアウトランダーPHEVの機能を移植するのは構造的に困難だが、アウトランダーのクリーンディーゼルターボ搭載車は成り立つ。日産などにも当てはまる話だが、国内向けの新型車を投入することが急務になっている。

自動車評論家の渡辺陽一郎さん

三菱に限らず各メーカーは、「ディーラーの向こう側に日本の顧客がいる、ディーラーが困れば日本のユーザーが不便を感じる」ことを忘れないで欲しい。

最近の各メーカーの動向を見ていると、「ディーラー不在」で進んでいる事柄がとても多いように思う。日本のメーカーなら、日本の販売会社を、そして日本のユーザーを、もっと大切にしてください。

[レポート:渡辺陽一郎]

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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